八月の雨てのひらに受けてゐる誰にも属してをらぬ冷たさ 黒田 和美
 
月光叢書 黒田和美歌集「六月挽歌」 (洋々社刊)より


時代の叛逆者たちへの慟哭 凛烈の抒情 衰弱しゆく時代に突きつける氷の刃 


                                     爆走する最前衛短歌結社「月光」



・・・・歌集より


   人ひとり心底憎む一瞬をハイビスカスのくれなゐ過ぎる

  

   静物となりしグレープ・フルーツが画布に晒せる赤き切り口

  

   冬幾つ越え来しわれか春色のスカーフ売らるる店過ぎりつつ

  

   寂しさを埋めむと空けし針穴のけふはうすべに珊瑚のピアス

  

   雪溶けて熱も解けたる風邪気味の午後ぽつねんとバスを待ちおり

  

   秋冷を抱きて眠れ三年わが袖を通さぬブラウスの皺

  

   さりげなく昔の男に会ふ日よりカラカラ天気続いてはゐるが

 



夜間飛行…人間…の闇へ、騎行する灰色の翼
─「六月挽歌」を読む─



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