「魚は外見がマズイ程味は良い」とは、よく聞く話です。
アンコウしかり、オコゼしかり、ヒラメしかり。
もちろん、格好もよくて美味しい魚もいますが(江田先生
念願の5キロの石鯛なんかは特に・・・。吉報、待ってます!)、
こういった魚はそう簡単に釣れてはくれず、めったにお目に
かかることができません。(お店では結構見かけます。大将、
盛り合わせお願いします!! あと甘鯛も。)
壱岐にやってきて、釣りを始めて早5年。
壱岐周辺で釣れる魚の種類からすれば、僕が釣り上げた魚の数なんぞ
ほんの微々たるものですが、僕が一番「釣れて嬉しい」「食べて美味しい」
魚は、アラカブ(標準和名ハチカサゴ・関西ではガシラ)なんです。
根掛かりか?と思ったアタリの後で、グイグイ引き込むように締め込み
ついにそのグロテスクな肢体を海上にさらしたときの喜びといったら!!
・・・じゅるるる。
刺身にしてあの独特な歯ごたえを楽しむのもよし、小振りであれば
みそ汁にして濃厚なダシを味わうのもよし。根魚はみなそうですが
身が締まっていますので、火を通しても身が崩れません。
ですから、煮付けや鍋にしてもコリコリとした食感が楽しめますし、
僕が一番好きなのが 何と言っても唐揚げ!もー最高です。
素揚げでもいいですし、あんをかけちゃったりしてもたまりません。
無言でヒレの付け根や目玉の裏を突っつき回し、気がついたら
尾っぽをくわえてカリカリかじっている自分に気がつくありさま。
もー何も思い残す事はありません。
さて。
アラカブ(カサゴ)は、カサゴ目に属する魚です。
カサゴ目の魚は種類が多岐にわたっており、種数で日本産魚類の
約1割を占め、スズキ目に次いでなじみの深い魚種です。
カサゴ目の魚にはお馴染みの物が多く、アラカブはもちろん
メバル・ソイ・オコゼ・ホウボウ・コチ・アイナメ・ホッケ
(これは北の海ですね)などもこの仲間に入ります。
目の上から背ビレまでの頭にくぼみがあり、でこぼこしているのが
形態上の特徴です。
アラカブは、磯続きの沿岸の浅い岩礁地帯から やや沖合の
水深80メートルほどの岩礁にピタリとついて生活し、エサを
取るときだけ少し岩礁を離れます。ですから、これを釣るためには
アラカブの目の前にエサを運んでやらなければいけません。
僕がよく釣りに行く所は、「桜曽根」という 宇土湾から数分走った
所にあるポイントです。周囲が水深30メートルなのですが、
ここだけ7メートルと急に駆け上がっています。
魚探で根の頂上を確認すると、そこから風上に向かってゆっくり
船を進め、下りきった辺りでアンカーを入れます。
アンカーロープはやや余裕を持たせておきます。こうすると
船は風でアンカーを中心に左右に振られますので、広い範囲を
探る事が出来ます。アタリが止まった時はロープを緩めてやると
さらに風下の広い範囲を探れるようになります。
アラカブ釣りは、クロやチヌ釣りなどと違って「寄せる」釣りでは
ありませんので、積極的にこちらが動いて魚のいる場所に
エサを運んでやらなければいけません。魚がいればほぼ確実に
食いついてきますので、微妙なウキのアタリを読む繊細な釣りでは
ありませんが「一風変わったダイナミックな釣り」ってとこでしょうか。
ブラクリ仕掛けにエサはアジの切り身を使っています。これを
海底に落とし、抵抗を感じたら少し引き上げまた落とし、を繰り返します。
ちょうど海底を仕掛けでトントン叩いて回る感覚です。
エサを落とした所にアラカブがいると、落とした直後に食いつきます。
根魚はみな口が大きく、しかも広く開きますのでエサを丸飲みするように
食いつきます。魚が食いますと引き上げたときに大きな抵抗が
(魚が大きかったら、の話ですが)ありますので、直ちに竿を上げて
魚がエラを張って踏ん張る前にまず海底から離します。
離れてしまったらシメたもの!仕掛けがゴツいですから糸が切れて
バラすなどという事は殆どありません。何回かの締め込みに耐え、
海面まで上げてしまえば一丁上がり!今夜はご馳走です。
同様の釣方でタカバやアコウ、クエの子供なんかも掛かります。
皆おいしい魚ですよね!(・・・時々エソも掛かりますが・・・。)
「新鮮な魚を食べることができる」のは、釣人の特権です。
できれば「新鮮な・・・」の前に「旬の」がつけば言う事無いのですが、
これはなかなか思うようにいきません。
幸い、アラカブは産卵期の最もおいしい時期(12月〜2月)を
はずしても極端に味が落ちる事はありませんので、年間を通して
季節に応じた調理法で美味しく戴くことが出来ます。
かくして今日も僕は、アラカブの美味で豊満な肢体を求めて
海の狩人(ハンター)となって大海原に乗り出してゆくのです!!
・・・え、「それと”朝ご飯”と何の関係があるか」ですって?
「カサゴ(アラカブ)ハンター」 ・・・・失礼致しました。

(平成14年度壱岐郡医師会報「イルカのためいき」掲載文)