ヘビについて
ヘビを嫌う人は多いようだが,佐賀県で毒を持つのはマムシとヤマカガシの2種のみであり,その他は無毒である。また,この2種も積極的に人に危害を加えることはなく,人の気配を感じると逃げ出すことが多い。たとえ鎌首を持ち上げて威嚇の姿勢をとっても,50cm以内に接近しな ければ咬まれることはない。
野外実習でヘビに出会った場合に引率者が騒ぎ立てると,生徒をパニックに陥れ,二次的な事故につながる可能性があるので,冷静に観察するくらいの余裕が欲しい。
一般に毒蛇と呼ばれるのは,コブラ科とクサリヘビ科のヘビで,毒の成分はヘビにより様々であるが,コブラ科のヘビの毒は神経毒,マムシなどのクサリヘビ科の毒は出血毒と呼ばれる。
ヤマカガシなどナミヘビ科の一部のヘビには,上顎の奥にデュベルノワ腺という毒腺があり,分泌物の中にプロトロンビンを活性化させフィブリノーゲンを減少させる酵素が含まれる。
アオダイショウの幼蛇(ようだ)の紋様(写真5)はニホンマムシによく似ているが,アオダイショウは無毒・無害であり,家に住み着くネズミを駆除してくれる有益な生物である。
シマヘビやアオダイショウは無毒ではあるが,追いつめられると噛みついてくることがあり,歯で外傷を負うことがある。細菌感染を防ぐために傷口は必ず消毒する。