『私とヒーローと、その候補生』 最近、昼休みに桜井兄弟と遭遇する事が多い。 「あれ?ルカ。これからお昼?」 「ううん。俺、もう食った」 これからバスケ部の助っ人に行くという彼に、健康的だなと考えていた私は、その直後やって来た 強面マネージャーの言葉を聞いて、頭痛を覚えた。 「えーっとですね…口にするのもアレなんだけど、それはちょっと『fixed game(八百長試合)』という モノにカテゴライズされるんじゃないでしょうか?」 「へ?ふぃくす…?」 「──いいんだよ。部活の連中とは相互利害が一致してんだ。むしろビジネスと言って貰いてぇな」 小首を傾げているルカに代わって、私の言葉を解したコウが、余計な口を挟むなといわんばかりに 返してくる。 高校生らしからぬ殺伐とした成り行きに、もはや私は乾いた笑いしか出てこない。 「今月は特にピンチでさ。俺らが試合に出る事で部活の連中も助かるっていうし、悪い事ばっかじ ゃないんだよ?」 「でも、貴方たちの行動によって、決して多くない『おぜぜ』を巻き上げられちゃう人もいるって事よね」 「うるせえな。だったら賭けなきゃいいだけだ。だまされる方がマヌケなんだよ」 私の小言を煩わしそうに聞き流したコウは、ルカに「急げ」と促す。 「こっからは、男の世界だ。いいか蔵田。お前は口出しすんじゃねえぞ」 「しないわよ。でも……『100回人をだましたヤツより、100回だまされてバカを見た人間の 方が…僕は好きだな』」 やや芝居がかった私の声を背に受けて、ふたりが訝しげに振り返ってきた。 「…何それ」 「んー?別に。私が子供の頃だ〜い好きだった、バイク乗り系ヒーロー番組の名台詞」 正確にはその番組のヒーローではなく、落ち込む主人公を慰める為に彼の親友が言った台詞を アレンジしたものだが、戦いに苦しみ悩む主人公たちを陰ながら支えるその親友も、私の中で は立派にヒーローのひとりとして数えられていたのだ。 「まあ、最近じゃ汚れヒーローも流行っちゃ流行だし?せいぜい、ちゃんと後でツケを払える程 度にね。ヒーロー候補生さん♪」 「ええ?俺、候補生なの?」 わざと語尾を強調させながら踵を返す私に、ルカくんが呼びかけてくる。 「ええ。だって貴方達なんて、私の好きだったヒーローに比べれば、まだまだ」 首だけ動かして斜に構えた視線をやる私を、ふたりのヒーロー候補生たちは、複雑な表情で 見つめていた。 今でも牛乳をはじめオンドゥルは、私の中のフェイバリットww 特にネタ的にもキャラ的にもダディヤ-ナさんは秀逸。(意味が判らない方、チンプンカンプンでごめんなさい;) |