「アノ人、きっと喜んでるわ、私達が今こうして、三人で在ること」 深夜の凪いだ海を見詰め、哀は誰にともなく呟いた。 月の無い深夜の海は、凪いでいても、波打つ音が響いている。 「人は海から生まれて海に還るって言うけど、名探偵もそうかな」 服部の隣に佇み、海からゆっくり隣に立ち尽くしている悪友に視線を移す。 隣の悪友の横顔は、元々精悍だった横顔が、ここ数日で驚くほどに削げ、シャープな陰影を深めてしまっている。その事が、快斗には少しだけ哀しかった。 立ち直ってくれるだろうか? 「泥棒さんも、ロマンチストな事、言うのね」 そう言えば、貴方最初から砂吐きそうな台詞言う人だったわね、と哀は呟いた。 「工藤・・・」 海から吹き付けてくる風。静かな波の音。求める愛すべき存在は、何処にも在ない。 「最期まで、残酷な奴ちゃな・・・・」 託された言葉。ただ一言。 『お前ぇは生きろ』 愛を傾ける存在を再び見つけ、生きて生きて、生き抜けと。 それが新一が最期に遺こした言葉。 |