| 楽屋裏の後日談 |
「黒羽〜〜よぉもお前、人の居ない時に、工藤にちょっかい出してくれたな」 「電話してきたの、服部じゃん」 「そぉだよ、お前ぇが、余計な事こいつに言うからだろ」 「俺は工藤に、カクテル作って呑ませろなんて、言ってないで。ましてなにが『ビトウィーン・ザ・シーツ』やて?」 「だって、こんな機会じゃなきゃ、名探偵と、二人っきりにはなれないっしょ?当然の権利じゃん。でもサ、名探偵、つれないなだもん。ランデヴーは嫌だって、即答されたんだよ。もぉ貞操堅すぎ」 「バーロー、何が貞操だ」 「だって名探偵、即答だったでしょ?なんだかんだ言っても、服部愛されてるよ」 「当然や」 「服部っ!何恥ずかしい事断言してやがるっ!」 「嘘言ってないで。ほんまの事やん、大体工藤も、少しは自覚しぃ。結局夜の散歩は行ったんやろ?風邪なんぞ引かせたら、黒羽、命なかったで」 「探偵の台詞じゃないよな、服部も。命ないなんて、怖い怖い、物騒」 「茶化すんやなぃっ!」 「でもまぁ。いいもん見せて貰ったぜ」 「工藤、元々夜景好きやん。よぉ見てたやろ?コナンの時」 「ああ、服部の親父さんのマンションから?そぉいや、あそこも夜景綺麗だよな、何せ都内の一等地だし」 「そぉいや黒羽、お前妙な事言ったよな?」 「何?」 「俺が探偵やってるのは、『人は心底からは信じられない生き物だから』とかなんとか」 「お前……また妙な事吹き込んだんやな、いらん事言うんやない」 「妙な事って自覚あるなら、説明してあげてよ、そう言っといたから」 「黒羽〜〜人に話し振るんやない。自分の発言には、責任持てや」 「ア〜〜やっぱ同じ事言うねぇ」 「服部、説明しろ」 「んな怖い顔して、睨まんでもええやん。ってより、俺睨んでもしょうがないやろ?」 「お前ぇ、黒羽の台詞の意味、判ってんだろ?」 「黒羽、今晩魚料理のフルコース食わしたるからな。遠慮せんでええよ、仰山作って、ご馳走したるから」 「ホラ俺深慮深いから、謹んで辞退します。美味しいデザート作った時お呼ばれしちゃう」 「遠慮せんでええよ。俺が市で吟味した魚やから、旨いで。今夜腕によりかけて、ご馳走したるから。食ってけや」 「お前ぇら〜〜服部っ!とっとと話せ!」 「だからなぁ〜〜言葉で説明すんのは、難しいんや。特に、お前の事説明すんのなんて、俺かて不思議や。お前なんて言う存在が在る事自体が」 「悪かったな。存在してて。判るように説明する事が出来るのも、探偵の資質の一つだろ」 「街見て、思ったんやろ?生きてるみたいな感じするって」 「だからだよ、名探偵」 「余計、判んねぇぞ」 「まぁこの話しは、またの機会ね」 「逃げんな」 「だって、俺服部の魚料理のフルコース食わされるの、嫌なんだもん」 「泥棒のくせに、魚怖がるな」 「それ理不尽だよ、名探偵〜。誰だって苦手な一つ、あるでしょ?魚怖いなんて、可愛いもんでしょ?」 「可愛いって言えば、お前ぇ可愛かったな」 「何なん?可愛い?こいつがか?」 「俺いつだって、可愛気あるよ」 「可愛気あるお前なんて、気持ち悪いだけやん」 「そう言いながら、その手の何〜〜」 「魚料理のフルコース、食わしたる言うたやろ」 「名探偵〜〜服部が苛める〜〜」 「知らねぇ、俺こいつの魚料理好きだから」 「名探偵〜〜助けてくれないわけ?」 「そういうこっちゃ、工藤のリクエストやからな。今夜は魚料理や」 「食ってけよ」 「やっぱ悪党なの、名探偵じゃない」 「違うで、工藤んは、タチ悪い、や」 「服部〜〜お前今夜、自分の部屋に直行な」 「工藤〜〜」 「人前で、痴話しないようにね。それじゃなくても、俺昨日惚気聞かされたんだからね」 「お前ぇは、魚料理の刑」 「タチ悪くって」 「悪党で」 「天性の人タラシ」 「二人でハモるなッ!」 「でも、アレだよ。俺昨日、すごい綺麗なもの、見せて貰ったから」 「やっはお前、今夜は魚料理の刑や」 腐敗と汚濁な満ちた世界。それでも、綺麗だと言える新一の横顔が、何より綺麗だと快斗は思った。その快斗の言外の意味を、判らない服部ではなかった。 願いと祈りを持つ強さ。その魂が、何より綺麗で輝いて見えた。夜の光の中で。どんな星の中でさえ。 「二人で、判り合ってるんじゃねぇよ。お前ら」 「工藤には、一生判らない台詞やな」 「そうそう、名探偵、国語苦手だし」 「お前ぇら〜〜」 「俺等は、誰より綺麗な星、もぉ知っとるから」 「約束だよ、名探偵」 どんな時も傍に。一際輝いて視える星。抱き締めてくれた腕の温もり。刻まれる鼓動の音。何一つ、忘れたりしないから。 「星に願いを」 君が抱き締めて伝えようとしてくれた言葉。何より雄弁に語る言の葉。それはきっと、何よりも勝る輝く星になる。 |