背後から伸びた腕に、塞がれていた悲鳴。殺された叫び。
左右に開かれ、拘束されている腕。腕の先、強引に雄の性器を握り込まされ、白濁とした粘稠の精液に塗れ
、穢された指。固く閉じ合わせた口唇を強引に開き、口内に侵入してきた雄の舌。強引に絡め取られ、吸わ
れ、雄の唾液を無理矢理飲みこまされた。
 耳朶を甘噛み、欲情に塗れた淫獣の荒々しい吐息。
片足を強引に背後から抱き上げられ、開かれた躯。幼い性を抗う術もなくしゃぶられ、悲鳴する精神とは裏腹
に、強引に与えられる偽りの快楽の中。射精を余儀なくされた肉体。
 吐精で崩れる躯を掬い上げられ、細腰を強引に背後に突き出す恰好で持ち上げられた腰。揺れる車両の
中。不安定な恰好で、雄の肉棒が無理矢理埋没してきた。
 たった一人の男の為だけに存在する『女』の部分に、有無を言わさぬ強引さで、引き裂く威勢で侵入を果た
してきた異物。
 根元まで埋没して尚、深々捏ねる動きを繰り返す雄に、ただ肉体も精神も喰われていた時間。腰を淫らに
突き出す恰好で貪られ揺さぶられる律動に、肉体を与えているしかなかった無力な時間。
 一人目の男が強引な侵入を果たし、その胎内に射精された瞬間。弾けてしまった意識は、其処で途切れて
いる。胎内に、何度雄の精液が吐き出されたのかも判らない。口内に、その感触は残されていないとは言え
、もしかしたら、見知らぬ雄の精を口にも出され、飲み込んだのかもしれないと思えば、強烈な吐き気が起こ
る。饐えたものが食道を迫り上がってくる気がして、蟀谷に冷や汗が滲む。
 纏い付く生温く重い空気の中。それは泥のような暗闇の中を、彷徨い歩く感覚に似ていた。歩いても、振り
払っても、纏い付く重い空気は決して拭い去ることはなく、ゲラゲラと卑猥に嗤う男達の声が、頭蓋の深い部
分から、途絶えることなく響いていく。


『お前も、感じてるんじゃねぇ?楽しませてみせろよ』


 ゲラゲラ嗤いながら、犯していった男達。振り払っても振り払っても、身の裡の深い部分から聞えてくる下種
で粗野な声。まるで暗い闇の中を、目的も希望も何もなく、ただ歩いて行くことしかできない気がした。


(助けて………助けて……助けて……桃先輩…桃先輩…)


 それはタチの悪いビデオを、目の前で延々繰り返されているような感覚だった。終わりのない出来損ないの
再生ビデオが、延々繰り返されている底なしの時間。犯される恐怖も感覚も何もかも、身の裡でリアルに再
現されていく。
 無力で非力で、男達に犯されているしかなかった時間が、長かったのか短かったのか、それさえリョーマに
は判らなかった。      


(助けて……ッ!桃先輩……ッッッ!)


 それだけが、リョーマの意識を現実に縫い止める言葉だった。



Next