雨降りの過ごしかた

after












 結局、英二と不二、手塚ばかりか、仕事を終え立ち寄った乾や海堂も交え、焼き肉パーティーは盛り
上がり、そして桃城とリョーマの愛娘のリアがうとうと眠り始めた夜9時頃、終了になった。
 大石は現在父親の後を継ぎ、国税局に勤務している。 大石の父親は、現在こそ税理士として税理
士事務所を開いているものの、以前は東京国税局査察部々長をしていたキャリアだ。
 査察部は、税務調査の芸術品と呼ばれる部署で、地検特捜部が引き当てる経済犯罪の捜査には、
必ずいっていい程、査察部も関与している。それは査察部には捜査権は在っても、警察や地検特捜部
のように逮捕権はないからで、地検特捜部といえど、査察部捜査官のように、ゼロの単位を素早く読み、背後関係を組み立てる、分析力には劣るからだ。
 普通捜査権と逮捕権はセットで考えられがちなものの、実際逮捕権と捜査権はセットでは存在しない。それはあくまで携わる部署によるからだ。現に警察でも、地域課警察官には、逮捕権は在っても、
捜査権は与えられていない。捜査権があるのは、刑事という捜査員に存在しているからだ。
 そうい特殊機関で勤務している大石は、休みや勤務時間が不定期になっているから、なかなかリョー
マや桃城とあえる時間が少なかった。その為今夜も残念だと、携帯の向こうで謝られた程だ。
「リマ」
「ちょっ……桃先輩、何考えてるの?」
 大人数の後片付けは、英二や不二が手伝い殆ど終えているものの、細々しているものが残っていた。
 子供達が食べた可愛らしい食器を荒いながら、その隣で食器乾燥機から乾いた食器を取り出してい
た桃城が、不意に背後から柔らかくリョーマを抱き締めれば、リョーマはビクンと顫えながらも、何処か
呆れた吐息を吐き出した。それはこんな場所での行為が、実は初めてではないからだ。
「ん〜〜〜楽しかったなぁって」
 まだシャワーを浴びていない愛妻の躯からは、それでも何処か甘い花の香りが漂ってくるのが、桃城
には不思議だった。
 細い項に纏い付く柔らかい髪を指先でソッと避け、白い肌に口唇を落とせば、腕の中でリョーマが顫
えるのが判る。
「なぁリマ」
「なぁに?」
 桃城を甘やかすことができるのは、自分だけの特権だと昼間不二達に言ったそれは、リョーマの本音
だ。こうして桃城は自分にだけ、甘えた仕草を仕掛けてくる。細腰に押し当たる桃城の下腹部は、すで
に雄の欲望がカタチを変えていて、リョーマは甘い吐息を漏らすと、けれど桃城を拒むことはなかった。
「欲しい」
「ぁん……」
 項から首筋を這い上がり、濡れた舌先が耳朶を舐め回す。掠れた低い吐息混じりの声に、リョーマの
口唇から甘い吐息が溢れて行く。
 背後で蠢く雄の欲望より何よりも、耳朶を濡らす舌の感触と、掠れた低い声が、リョーマには何より官
能を煽りたてるものだった。
 それは昼間明るい笑顔を見せ、子煩悩に子供を甘やかす桃城とは、一段も二段も趣が違うからだ。
背後から抱き締めてくる桃城は、野性味溢れるテニス同様、精悍な造作に雄の情欲を刻みつけている
のがリョーマには判る。
「あとちょっと待って…」
 こんな科白は、今の桃城には通用しないだろうなと思いながら、リョーマは愛娘のプラスチック製の皿
を濯ぎながら、それを食器乾燥機に移していく。
「ん〜〜〜」
 グリグリと頭を愛妻の肩口に押しつけながら、桃城は駄々をこねる子供のように、リョーマの細い躯を
抱き締める腕に力を込める。
「本当、桃先輩って、遼やリアより手のかかる子供」
「子供は、こんなことはしないだろう?」
 クスクス笑う愛妻の細腰を抱き抱え、片手で形よく張り出す胸を柔らかく揉むと、途端にリョーマは甘
い嬌声を零し、細い躯から力が抜け落ちた。
「リマ」
「ぁん…桃…せんぱ……」
 薄いブラウスの上から柔らかく胸を揉まれれば、胸の突起が屹立を増し、それは痛い程張り詰めてい
く。同時に、細腰の奥が熱く熟れていくのが生々しく感じ取れ、リョーマは無意識に下肢を閉ざした。
「此処で……」
 するの?
白皙の貌を紅潮させ背後を振り返れば、精悍な面差しに野性味溢れる笑みを刻み付け、桃城が顔を寄
せてくるのに、リョーマはゆっくり瞳を閉ざした。
「んっ……」
 胸に愛撫を施されたまま、貪婪に口唇を貪られ、重なる口唇の隙間から、甘い吐息が溢れていく。
 桃城の節のある指先はゆっくりブラウスのボタンを外すと、淡いオレンジ色のブラジャーの上から数回
胸を揉み、ブラを押し上げると、愛しげに愛妻の胸をじかに揉み始めた。
「やっ……んっ……桃…せんぱ…」
 口吻から開放されたリョーマの口唇から、嫋々の嬌声が陶然と溢れていく。当時に、瀟洒な指先が、
咎めるとも縋るともとれる動きで桃城の腕に触れる。
「リマ……」
「ゃん……あの子達……」
 シンクと桃城の体躯に挟み込まれ、背後から大胆に両の乳房に玩弄の意味を持たない愛戯を加えら
れるのに、リョーマの下肢は一人で立っている困難を訴え始め、薄い布地は、胎内からの愛液で濡れ
始めているのが嫌でも判る。
「もう夢の中だろう?」
 リョーマの科白が、建て前の抵抗にもならないことを、桃城はちゃんと理解している。子供達はもう夢
の中だ。それでなくても長男の遼は、自分達夫婦の有り様をしっかり理解している子供だったから、夢
の中にいなくても、キッチンに降りてくる真似はしないだろう。
 遼に言わせれば、万年新婚莫迦夫婦の性行為現場など、見たい筈もないのだから。けれどリョーマ
は知らないのだ。自分達の息子が、歳不相応に性知識を持ち得、それがすべて自分達夫婦の所為だ
ということを。けれど桃城は男親として複雑な心境だろう遼の内心も推し量れるから、自分達夫婦は随
分子供に甘えている自覚はあった。
「ヒッ……」
 桃城の指が、ゆっくり胸元から下腹を滑り、スカートの上か敏感な部分に触れれば、リョーマは咄嗟に
上がる嬌声を噛み殺した。
「……め……ダメ……ここ…じゃ……」
 キッチンの行為が初めてではないとはいえ、それはまだ子供達が随分幼かった時分の話だ。
逃れようと無自覚に動く腰を、けれど桃城の腕はしっかり愛妻の細腰を捕らえ、自らの昂まりに導くよう
に抱き込んでしまう。そうすればリョーマはもう抵抗らしい抵抗などできないのは、いつものことだった。
リョーマとて欲しがっているのは明白だったからだ。
「桃せんぱ…」
 羞恥とそれだけではないものに支配され、上気する頬。陶然と耽り、婬らな熱を浮かべる色素の薄い、空色の瞳。それらすべてが、桃城の雄を煽情する被虐美だと、リョーマは気付かない。
「リマも、欲しいだろう?」
 数日前帰国した夜は、子供達を早々に寝かし付け、寝室に籠ることに衒いを見せないリョーマだった。
「俺が」
「んっ……!」
 スカートをたくしあげ、薄い布地に触れれば、そこはもう愛液でしっとり濡れている。それをダイレクトに
桃城に抉摘され、リョーマは嫌々と細い首を頑是なく振り乱す。羞恥で白皙の貌が更に血の色を透か
せていくのが婬らであると同時に、桃城には殊更愛しかった。
「ゃめ…ダメ…お…ねがぁ……」
 キッチンでの行為も、立ったままの行為も始めてではないにしても、子供達が寝ているとはいえ、いつ
現れるかもしれない場所での行為に、リョーマは羞恥と同時に、どうしようもない軽い興奮を覚え、必死
になって嬌声を噛んでいる。
「くふ…ぅん……ッッ」
 節のある桃城の武骨な指が、薄いパンティーの上からゆっくり婬らがましい動きで愛戯を始めると、
リョーマは腰を揺すり立て、瀟洒な面差しを紅潮させ、嫌々と身悶える。けれど逃れようと無自覚に蠢く
華奢な腰は、しっかり桃城の腕に縫い止められ、抗いらしい抗いは皆無に等しい。そればかりか、抗え
ばますます、桃城の雄を背後に押しつけられてくるばかりで、リョーマは泣きじゃくりそうに喜悦に顔を
歪めた。
「なぁ、リマ?立ったまままとテーブルの上、どっちがいい?」
 とんでもない桃城の科白に、リョーマは頑なに嫌々と頭を振り乱す。けれど眼前に曝される白い項を
黙って見逃す桃城ではなかったから、白い項の上にも、殊更の愛撫が加え始められていた。
 濡れた音を立て項から耳朶を這う舌と口唇。時折歯を立て薄い肌を吸い上げられれば、其処には淡
紅色の花が咲く。
「なぁ?」
 快楽を押しとどめようと必死になればなる程、触れているリョーマの秘花は、薄い布地の上からでも判
る程、蠢きながら、愛液を滴らせているのが判る。それが愛しさと同時に、雄の嗜虐をも煽情してしまう
のだとリョーマは知らない。
「んんっ……バカァ…………ヒィッ…!」
「あんま嬌声大きいと、遼とリアに聞こえちゃうぞ?」
「んん……!」
 薄布の上からねっとり愛撫され、武骨な指が布地を掻い潜り、粘稠な花蜜で濡れきっている秘花へと
伸びてくるのに、リョーマは寸前のところで愉悦の嬌声を押し殺し、シンクに爪を立て、態勢を保ってい
た。
 ヌルリと擬音を伴い、節だった二本の指が、肉の花片を掻き分け蜜壺に埋没してくるのに、リョーマの
華奢な腰は、崩れるように力を失った。尖りきって充血する花芯は放置され、敏感に喘ぐ柔らかい肉を、
2本の指が擦り始めた。
「ヒッ…ん…ぁぁん…やっ…ぁん…」
 ガクガクと顫える下肢は、既に指がシンクに掴まっていないと、態勢を保つのには困難だった。濡れき
っている内部の内側から自分を支配する男の指先に、リョーマは嫌々と頭を振り乱す。根元まで埋没し、ゆっくり速度を上げ抜き差しされる指に腰が揺れ、蜜で濡れる花芯が更に熱を孕んでいく。
「んっ…んっ…も…ダ…メェ…」
 小さいアクメを迎えるのか、リョーマが限界の嬌声を上げるのに、桃城の指が鋭く胎内に埋没し、そう
して充血しきっている花芯を数回擦り上げてやれば、リョーマは腰を大きく顫わせ、
「ぁぁん………ヒィ…ッ!」
 子供達のことももう頭から取り払われてしまったかのように、リョーマは甘い嬌声を張り上げ、絶頂に
達した。
 ガクガク顫える細い腰と下肢。花肉に埋没した指先に絡み付き収縮する媚肉は、確かにリョーマの愉
悦を桃城に伝えていた。
「リマ」
 白痴の面差しを曝しながら、腕の中で力を失い崩れていく細い躯をしっかり抱き留めると、桃城はキッ
チンのテーブルの上に愛妻を横たえた。








「待ってぇ……桃先輩…まだ…ダメぇ…」
 のし掛かってくる桃城に嫌々と頭を振り乱し、けれど男を受け入れるようにM字に割かれた下肢の間
に割り込んだ桃城に、リョーマが完全に抵抗できた試しは一度もなかった。
「俺ももう限界」
 自分が乱れされたとはいえ、愛妻の綺麗に乱れ啼く姿を目の当たりにすれば、桃城の雄が限界を訴
えても当然だろう。
 絶頂に忘我を漂うリョーマをキッチンの広いテーブルに横たえると、スカートはそのままにパンティーだ
けを取り払い、問答無用で下肢を割いた。自分もジーンズのズボンを下げると、威勢よく飛び出した怒
張を、粘稠の花蜜に濡れそぼり、喘ぐように収縮する秘花の入り口に先端を擦り付けた。
 絶頂の余韻に収縮する肉を、鋭い雄で押し開かれるのは、リョーマにとっては快楽が強すぎて、きつ
いことを桃城は知っている。けれど今夜は桃城も限界なのか、リョーマの哀願にゴメンなと優しく笑うと、
滾る自身をゆっくり花園の中へと埋めていった。 
「ダメェ……あぁん…やぁぁん……」
 怒張に押し開かれていく花襞と、容赦なく根元まで埋没してくる雄に、リョーマの下肢が反り返り、逞
しい背に回した指が、快楽を怺えるように、爪を立てた。
「リマ…リマ…」
 情欲を滲ませ掠れた桃城の声に、リョーマの快楽は更に煽られる。
 昔からリョーマは、桃城の声に弱い一面があったものの、情事の最中の掠れた低い桃城の声は、そ
れだけでリョーマの性感をダイレクトに刺激するナニかを持っていた。
「ぁんん……」
 尖りきった乳首をしゃぶられ、リョーマの背が綺麗に撓う。濡れた音を立てしゃぶられ揉みこまれてい
く胸に更に愉悦を煽られ、細い腰がのたうつように桃城の律動に合わせて揺すり立てられる。けれどリ
ョーマにそんな自覚は欠片もない。
 今のリョーマに、此処が日常的に使用するキッチンで、階上では子供達が寝ていることは、綺麗に忘
れ去られている。ただ胎内の深みで熱を増す桃城に翻弄され、狂奔を曝すだけが根深い愉悦に繋がっ
ていく。
「桃…せんぱぁ……」
 コートという戦場で戦う桃城は、一年の内の半分以上は海外生活を強いられている。それでも桃城の
女性問題などで不安にさせられたことは、リョーマは一度もなかった。テニス界きっての愛妻家という桃
城は、伊達ではないのだとこんな時いつも思い知る。
 桃城に甘やかされるだけ甘やかされているから、こんな風に求めてくる桃城を目一杯甘やかしたくな
るのだ、リョーマは。
「リマ…愛してる…」
「私も……」
 お互いだけを求めていられる瞬間。二人は貪婪に口唇を重ね、キッチンでの情交は続けられた。

















「………ったく、どうにかしてくれよあのバカ夫婦……」
 これで子供にバレていないと思う母親は、どうかしていると、遼はベッドに潜り込み、深々溜め息を吐
いた。
「親父の奴は、ゼッテェー判っててやってるよな」
 見た目だけなら母親が父親に目一杯甘やかされているように見える光景は、けれど帰国すれば父親
が目一杯母親に甘やかされているのが息子である遼には判っていた。
「俺絶対、スゲー苦労性だよ……」
 階下かれ漏れてくる母親の甘い喘ぎ。何が行われているのか判らない程、遼は子供ではなかったが、それが不幸だった。普段小学生低学年は、そんな知識はもっていないのが普通だからだ。幾ら性教
育が進められているとはいっても、低学年男子はまだそういう教育を受けてはいない。持っている知識は、両親の情交故だ。
 それでも、自分達の親が、離れていても確かな絆に支えられてる夫婦なのだと判るから、遼は苦労性
だと思うものの、それでもやっぱりバカ夫婦とはいえ、あの両親の子供に生まれて倖せだと思った。
「……少しは考えろよなぁ…」
 深々溜め息を吐きだすと、明日晴れたら父親に突き合わせ、テニスの練習をしようと、遼は瞳を閉じた。