| 罅割れた悲鳴 act2
RISKY
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「嫌だ…桃先輩……ッ!嫌ッ……ッッッ!」 フローリングの床の上、桃城に抱き竦められる恰好で押し倒され、リョーマは必死になって桃城を突っ撥ねようと、伸し掛かってくる桃城に、細い腕で抗った。 フローリングの床を、細い下肢がバタついて抵抗する。けれどそれはあっさり桃城を挟み込む恰好で開かれて行く。 「嫌……ッ!」 必死に頭を振り乱し、抵抗する。桃城を挟む恰好で開かれた下肢が、フローリングの床の上を滑って行く。 伸し掛かる恰好で抱き竦められれば、痛む程灼け付く桃城の想いが伝わってくる。それはリョーマには痛みばかりを押しつけてくるものだった。 「お前、全然判ってないな、相変わらず」 遮二無二暴れるリョーマを簡単に抑え付け、桃城は小作りに造作を見下ろした。 これでよくスピードに定評の有るテニスができるものだと関心し、桃城は細腰を抱き竦める。抱き締めれば、離す事などできなくなる事も、欲しくなる事も、判りきっていた筈だ。 ダイレクトに、ジーンズの中の中心は、性急に痛い程に張り詰めて行く。それはリョーマを欲し、彼の中で満たされたいと、咆哮を上げ始める雄のものだ。 「世の中は、繰り返す莫迦の方が多いって、覚えとけよ」 耳朶を甘噛み、痛い程に昂まり出した自身を、開かせたリョーマの中心に押しつける。押しつければ、それだけで射精してしまいそうな程、リョーマを欲していたのだと言う実感が高まって行く。血の奥、肉の底が、灼け爛れて行く感触が生々しい。 「いっ……嫌…!桃先輩…ッッ!」 自分に欲情する、硬く熱い桃城のモノが押しつけられ、必死に抵抗するリョーマの動きが怯えを映し、半瞬だけ停止する。けれど次には更に遮二無二抵抗しだした。 「細いな…」 華奢な姿態が怯えて竦むのが、生々しく桃城に伝わった。それは雄の嗜虐を煽情するばかりのものだと、リョーマは知らない。 抱き締めた躯は、成長してもその体格は相変わらず差が縮まるものではなかったから、桃城にとってはリョーマの成長も中学当時のものと変わらない感触を伝えてきていた。 17歳と言う、少年から青年へと移行する時期の年齢にしては、やはりリョーマは小柄で、華奢で、桃城の腕の中にスッポリ収まる華奢なものだった。 テニスに伸長は関係ないと言っていた様に、リョーマの伸長は中学から対して伸びてはいなかった。 中学当時から151cmという小柄さだったから、5年経った現在、170cm弱と言う伸長は、多分其処が限界点だろうと、リョーマ自身思っていた。別段伸長にコンプレックスなどないリョーマだったから、大して気にしてはいなかった。けれどこうして桃城と再会してみれば、中学当時の桃城の伸長に漸く自分は追いついたのだと、奇妙な冷静さで思った。 「お前、一人で此処に住んでのんかよ?」 てっきり、手塚と住んで居るものだと思っていた。二人の関係を知れば、一緒に住んでいない方が、不自然にさえ思える。 淫猥な濡れた音を立て、リョーマが弱い耳朶を甘噛み、低い声で囁くように問い掛けると、リョーマの姿態が怯えとは違う反応で顫えるのが判った。 「あんたに、関係ない…」 耳朶を甘噛みされ囁かれると、どうしても力が抜けていくのは、桃城との関係で開発されてしまったリョーマの性感帯が耳にあると言う事だ。まして低く囁かれてくる声は、かつて恋人同志だった関係を、嫌でも彷彿とさせるから余計だ。意思は抵抗しても、躯は覚えている矛盾に、リョーマは泣き出したくなる。 「関係ないっか。確かにな。でも此処を教えたのは、部長だぜ」 手塚の意図など、桃城に判る筈はない。元々リョーマを奪っていったのは、手塚の方だ。 「部長だって、俺と大差ない方法で、お前犯したんだろ?」 ゆっくりと、リョーマの弱い性感帯を攻める。 濡れた舌先を耳朶の奥へと舐めるように滑りこませて囁けば、シャツ越しにリョーマの肌が粟立っているのが伝わってくる。 何も知らなかったリョーマに、抱かれる事を教えたのは桃城だった。そしてリョーマは最初から歪んで始まった関係を受け入れ、確かに一時、彼らは青学テニス部レギュラー陣が認める、恋人同志と言う関係だった。それを横からリョーマを犯す方法で奪っていったのは、手塚だった。尤も、最初にリョーマを犯した桃城には、手塚の事を責める事はできなかった。 「此処を教えたって事は、俺がこうする事くらい、判って教えたって事だよな?」 それが手塚の余裕なのだろうかと考えれば、肉の底が灼けるようだった。 元々快楽に弱い躯だった。細く華奢なばかりの印象のあった中学当時のリョーマは、今は伸長が伸び、成長を遂げている。けれどそれ以上に伸長が伸び、肩幅も逞しくなった桃城にしてみれば、リョーマは相変わらず華奢な印象しか湧かない。 中学2年当時から170という伸長を持っていた桃城は、留学してから更に伸び、今では190近い伸長になっている。 パワフルなパワーテニスを得意とする桃城のテニスは、その伸長とバネとで、バスケからも勧誘がくる程だと言う事は、同じアメリカでプロテニスをしているリョーマの耳にも入ってくる、幾重かの桃城の噂だった。。 そう言えば、中学生当時、バスケ部のエースとフリースロー対決をして、桃城にそのとばっちりが行き、一時的に助っ人と言う形で桃城がバスケ部に手を貸した事を、組み敷かれ、抵抗しながら、リョーマはぼんやりと思い出す。その時も、バスケ部から勧誘があった桃城は、身体能力に恵まれ、相変わらず周囲を欺く笑顔と言う盾で、アメリカでも馴染んでいる事を、リョーマは知っていた。 「離して…ッ!離せよ…やだ…ッッ!」 耳朶を擽る感触で、ゆっくり内部に入ってくる濡れた舌は、淫猥な音を立て、揶揄するように舐めてくる。 哄笑を滲ませ、囁かれる声。勝手な言い分だと思いながら、快楽に慣らされた躯は、抵抗がリョーマの意思を無視して、薄れて行く。 「や…桃先輩……」 押し付けられて来る桃城の熱い昂まりに、リョーマはビクンと慄え、これから確実になされてしまうだろう行為に竦んでいた。 引き寄せられた腰を逃そうと抗えば抗う程。桃城の腕に力が籠り、揶揄するように、股間に押しつけられて来る。 「リョーマ……」 情事の最中でしか呼ぶ事のなかった名前。リョーマの好きな低音で囁いてやれば、面白い程、顕著に反応する。手塚にもそう呼ばせているのかと勘ぐれば、嫉妬と雄の嗜虐が残虐に頭を擡げて来る事が、桃城には止められなかった。 桃城は、耳朶を甘噛みすると、ゆっくり細い首筋に舌を這わせて行く。 「いやだぁあっ!」 首筋から鎖骨へと濡れた音を立て這う舌の感触に、リョーマの躯は竦み上がる。リョーマが何より怖いのは、犯される恐怖より何よりも、最後には浅ましくねだってしまうだろう自分を想像できてしまうからだった。 忘れていた気になっていただけで、決して忘れてはいなかったのだと、思い知らされそうで、恐ろしくなる。 「相変わらず、敏感だな。部長にも、そうなのか?」 快楽に弱いリョーマの躯から、力が抜けて行くのは早い。 リョーマにとっては必死の抵抗だろう。開かせた下肢をバタ付かせ、腕は必死に桃城を押し退けようと足掻いている。けれどそれは桃城にとっては、大した意味などなかった。 片手で簡単にリョーマの両腕を頭上で張り付けると、残る片手でシャツのボタンの幾つかを乱暴に外して行く。瞬間、見下ろしたリョーマの顔は、少しだけ上気しながら、今にも泣き出しそうに歪められている。 開いたシャツの隙間から指を忍び込ませると、粟立っている肌の感触を楽しむように、玩弄するかのように撫でて行く。 指先に吸い付くかのような肌の感触は、何一つ変わってはいない。相変わらず敏感で、泣き出しそうな顔は紅潮に変わり、必死に快楽を怺えるように、眉根が酔っている表情が、殊更雄の嗜虐を煽情する被虐性だと、リョーマは気付かない。 「ぅんん…やっ…」 粟立つ肌は、止められない。肉の奥が桃城の手を歓喜している事が、生々しく判る。戯弄するかのように撫でられ、それでも底には乱暴さなどない事が、リョーマには不思議だった。 ゆっくりと撫でられ、否応なく胸の突起は硬さを増す。其処を撫でられ、リョーマの口唇から喘ぎが漏れた。 「女みたいだな」 触れた突起が更に硬さを増すのに、硬くなってると哄笑し、二本の指の腹で屹立する乳首を摘み上げた。瞬間、リョーマの掠れた嬌声が室内に響き、細い背筋が桃城の腕の中で緩やかに撓った。 「んんっ……ッ!やっ…やだぁ…ッッ!」 淡紅色に色付き始めた乳首を嬲られ、リョーマの口唇から喘ぎが漏れる。それを慌てて噛み殺し、必死に桃城の腕の中で抗った。 頑是なく細い首を振り乱し、拘束された腕を逃そうと抵抗を繰り返す。それでも抵抗の背後に横たわるものは、官能に弱いリョーマの素直な肉体だった。 「部長じゃなきゃ、嫌だって?」 腕の中、必死に抗うリョーマと言うのは、桃城に苦い過去を思い出させる。 一番最初、リョーマを犯した時。今より死に物狂いで、リョーマは必死に抗い、悲鳴を繰り返した。犯される恐怖と、未知への恐れ。そして雄の本能を全面に押し出し、隠す事もなく自分を犯す桃城に対し、リョーマは必死になって抵抗していた。あの時と今と、どれ程の違いが有るだろうか? 苦々しく毒々しいものが喉元を迫り上がってくるようで、桃城は感情のまま、リョーマのシャツを威勢良く引き裂いていった。 「いっ……!いやだぁぁ……ッッ!」 乱暴な桃城など、過去たった一度、遭遇しただけだ。 布地を裂かれる鈍い音。ボタンがバラバラと弾け飛び、フローリングの床の上を転がって行く。 明るい陽射が差し込むリビングで、リョーマは過去と同じく、桃城に犯される恐怖に直面し、掠れた悲鳴を叫んだ。 「白いな…」 曝した白い肌は、以前と何一つの変わりもなく、桃城の眼前に現れた。染み一つない雪花石膏の肌の上には、所有印一つ残されてはいない。とても同じテニスと言うハードなスポーツをしているとは思えない白さと線の細さだった。 雪肌に感嘆の息を吐き出すと、桃城はリョーマの胸に腕を伸ばした。慄える肌に桃城の指先が触れた瞬間。リョーマは確かに懐かしさを覚えていた。 互いに、久し振りという簡単な時間ではなかった。 リョーマが手塚により犯され、関係がゆっくり崩壊してから、桃城はリョーマに触れる事はなくなっていたから、中学最後の三年時の秋には、二人の関係は完全に崩壊しきっていた。それ以来だから、約3年ぶりに、桃城はリョーマに触れる事になる。 「嫌だ…嫌…ッ!桃先輩…もうやだ…ッ!」 胸を這う淫らな触手。手塚ではない指の感触は、懐かしいばかりの切なさをリョーマの胸に落して行く。手塚と抱き合う行為は、リョーマに何一つの安心など与えてはくれなかった。むしろそれは、意識の喪失の行為に近い。そんな事は、けれど桃城は知らないし、知る必要もない事だと、リョーマは思った。繰り返したくは無かった。あの悲しみも何もかも。漸く、立ち直れたのだ。 逃げなくてはという焦燥が、リョーマを追い詰めて行く。 逃げなくては、繰り返すだけになる。判っていた事だ。歪みを伴って始まってしまった関係は、所詮長続きなどしない。傷つくだけだと判っているから、傷つきたくは無かった。こうして触れられてしまえば、何を口走ってしまうか判らない背中会わせの感情に、だからリョーマは恫喝される。 「躊躇なくドア開いたって事は、部長が来る予定だったのか?」 チャイムを鳴らしただけで、リョーマは玄関を開いた。幾ら警戒心の希薄なリョーマでも、相手を確認もせず、扉を開けたりはしないだろう。だったら、桃城に考えられる答えは、手塚の来訪予定があった。そういう事になる。 これから、来るのだろうか?自分が来ているかもしれないと知りながら、リョーマが犯されるだろうと判っていながら、リョーマの居場所を教えた手塚は。来た時。リョーマはどうするのだろう?助けを、手塚に向かって助けを求めるのだろうか?中学のあの日とは正反対に。 『嫌…ッ!助けて…ッッ!桃先輩……ッッ!桃先輩ッッ!』 手塚に犯されながら、リョーマが泣き叫んだ言葉は一つだけだった。 気が触れたようなリョーマの叫び。叫びというより、渾身の限りを絞った、血に濡れた絶叫のようだった。 「だったら逃げないと、お前部長の前で、あの日とは逆に、犯られちまうぜ?」 触れた肌をゆっくり撫でて行けば、リョーマの肌が粟立つのが生々しい程だ。胸の突起は更に硬さを増し、茱萸の実のように赤く染まって行く。それを二本の指の腹で痛い程摘み上げ小刻みに振動させれば、リョーマは嫌々と激しく頭を振った。 「んっ…んんっ…嫌…嫌…桃先輩…嫌だ…」 痛い程屹立している乳首を玩弄されれば、その官能はダイレクトに腰の奥の奥に集中する。桃城の熱さを感じさせられながら、自らの快楽も桃城に隠す事はできない。 必死に抵抗するリョーマを見下ろす桃城の貌は、何処か苦しげなものを滲ませている。けれどリョーマにそんな事を気にする余裕はなかった。 「逃げなきゃ、部長の前で、犯っちまうぞ」 そんな言葉が吐き出したいのでも、傷付けたいのでもなかった。けれど痛い程昂まる下腹は、リョーマの内に入りたいと、焦燥さと性急さを桃城に突き付けて来るばかりだ。 雄だと、桃城は自嘲を深めた。過去と何一つの変わりもなければ、結局成長などしていない。 「……何で…」 どうして今になってと、リョーマは桃城を見上げた。 あの時、一切の言い訳もリョーマの言い分の何一つも聴かず、背を向けたのは、桃城の方だというのに。今になって、傷付けられる覚えなど、リョーマにはなかった。 「ヒッ…!」 雄の欲情を湛えた貌。リョーマが嫌と言う程見覚えのある桃城の顔。一番最初、桃城に犯された時。桃城はやはりこんな表情をしていたと、リョーマはジーンズの上から秘花に捩じ込むように伸びた指先の感触に顫えながら、少しだけ苦しげな様子をしている桃城を見上げ、徐々に身の裡に捩じ込まれてくる指先に、掠れた悲鳴を上げた。 「んっ…んんっ…やっ…んっ…やだぁ…」 桃城の腕に抱き締められ、閉ざされた秘花をジーンズの上から割られて行く感触に、掠れた声が引き攣った漏れた。けれどそれは雄を挑発する、艶を含むものだった事を、リョーマに自覚はなかった。 桃城にこのまま抱かれてしまったら、自分は有られもなく狂態を曝し、浅ましい程桃城をねだってしまうだろうと、リョーマは秘花に捩じ込まれて来る指先の感触に歔く。もう既に抵抗さえ建て前のものになってしまっていると言うのに。 餓えていたのだと、嫌でも実感させられるやり方で抱かれるなど、我慢できない。手塚が何故桃城に住所を教えたのか、その意図も判らない。桃城との関係を壊したのは、他の誰でもない手塚なのだから。今更これ以上何を望と言うのか? 崩壊した関係に、どれだけ自分が可笑しくなっていたのか、所詮誰にも判りはしないのだ。桃城にも、手塚にも、誰にも。 「泣くなよ…」 泣かれると弱い。けれど反対に、リョーマには雄の欲情を刺激する何かが秘められていると、桃城は繊細に縁取られている白皙の輪郭に、ゆっくり舌を這わせて行く。 都合のいい言い訳だとは百も承知だ。繰り返す行為に、理不尽な言い訳を羅列してみせた所で、傷付けられるリョーマにしてみれば、当然納得などできる筈もない。そんな事は、百も承知し傷付けて、それでも泣かれると弱いのだから、大概身勝手な理不尽さだと、桃城は内心苦いものを飲み下した。 手塚はどうやってリョーマを抱き、絶頂に達するその瞬間を眺めているのかと思えば、嫌でも胸の奥を嫉妬で灼き切られていきそうだった。それでも、リョーマに泣かれれば弱いのだから、始末に悪い。 「リョーマ…今だけでいい」 安いドラマの中の男の科白のようだと、桃城は苦笑し、リョーマを抱き締める腕に力を込める。抱いてしまえば、手放せる自信など何処にもないと言うのに、告げる科白に、桃城自身、可笑しくて嗤った。 「冗談……ッ!離せ…よ…卑怯者…」 今だけでいいなど、身勝手な言い訳に付き合うなど我慢ならない。それでも、抱き締められれば、簡単に抵抗など失せてしまうその二律背反さに、リョーマは苛立ちを募らせる。 必死に腕を突っ張り、伸し掛かる桃城の胸元を突き放そうと抗った。けれど所詮それも徒労に終わる。適わない事を、リョーマは何処かで感じている。犯された一番最初も、適わなかったその思いが、リョーマの何処かに残っているのかもしれない。 「卑怯って言っても」 繊細な輪郭を舌でなぞりながら、秘花に捩じ込んだ指先の先に更に力を加えれば、リョーマは面白い程桃城の腕の中で飛び跳ねる。怯えと快楽を等分に湛えた反応に、桃城は笑う。 「お前相変わらず、快楽に弱いな」 桃城は抗う躯をフローリングの床に縫い止めるように押さえ付けると、残る片手を下腹に伸ばした。どれ程嫌がり抗おうと、リョーマのソレは、桃城の昂まりに忠実に反応を返している。 「ヒィッ…やだぁ…離せ…やだ…桃先輩…もうやだぁ…ッッ!」 股間に桃城の手が伸びた瞬間。リョーマの掠れた悲鳴が、午後の穏やかな陽射が降り注ぐリビングに、鋭く響いた。 「嫌……桃先輩…嫌だ…ッ!」 シーンズの上から熱を孕む自身に触れられ、リョーマは遮二無二に躯を捩り、抵抗した。 秘花を玩弄するように捩じ込まれていた指先は、今は細腰を浮かす様に回され、抱き竦められ、固定されている。けれど今の今まで。嬲るように戯れに桃城の指先を捩じ込まれていたその部分は、もう十分爛れた熱さを孕んでしまっている事を、リョーマは自覚していた。肉の内側は、爛れた愉悦で浅ましく喘ぎきっている。 「嫌じゃ、ないだろ?」 濡れた音を立て耳朶を甘噛み囁く嗤うと、桃城はゆっくりリョーマ自身に触れている力を込めて行く。同時に、耳朶を舐める舌がスルリと胸に降り、屹立している突起を甘噛んだ。 「ヒッ…」 敏感な部分を同時に愛撫される生々しい感触に、リョーマの愉悦に濡れた喘ぎが漏れた。 痛い程の快楽が、肉の奥底から湧き上がってくる。羞恥も恐怖も何もかも、快楽の前には霧散して行く気がした。理性も、簡単に消えてしまえば、楽だろうに、そう思う。けれどリョーマは器用ではない。桃城と一時の情事を楽しむ事など、到底できる筈はなかった。 「ぁぁん…やぁ…やだぁ…」 ピチャリと、濡れた淫猥な音を立て胸を嬲られ、下腹に力が込められれば、切なげに細い首が緩慢に振り乱される。それさえリョーマに自覚はない。 「部長は、いつもどうやって、お前を可愛がってくれるんだ?」 カリッと、果実を噛むように胸の突起に歯を立てれば、リョーマが嫌々と頭を振る。開かせた下肢は力を無くし、細腰が切なげに揺れている様が、淫らだった。どれ程抗ったみた所で、官能に弱い躯は、内側から喰うように、切り崩されていく。 「お前のココ、あれからどれくらい成長した?」 淫猥な科白を口にすると、桃城は緩慢に動く下肢から、下着ごとジーンズを毟り取る。 「やだぁっ!」 空気に曝された下肢に、リョーマが悲鳴を上げ身を捩る。 数年振りに桃城の眼前に曝す下腹に、リョーマは羞恥に塗れ、必死に抗いだした。 けれどリョーマの必死の抗いなど、桃城に通用する筈もなく、あっさり下肢は開かれて行く。 外気に曝された股間。否応なく感じさせられ、熱く勃ちあがっているのが、リョーマには見えるようだった。 桃城の愛撫に否応なく反応しているリョーマの形状を確かめるように、桃城はリョーマ自身を掌中に包みこむ。以前は薄い翳りの中に、幼い肉茎が勃ち上がっていた。けれど今は違う。 「いや…んっ…」 肉茎の裏の筋を撫で上げられ、桃城の腕の中、人の手の温もりに囚われた魚のように、細身の躯が過敏に跳ね上がった。 「気持ちいいか?」 白い肌に口唇を落し、甘噛みして吸い上げれば、白い肌には所有印が色濃く刻み付けられて行く。以前なら、そんな幼稚な満足など、する桃城ではなかった。 「ぅぅん…桃先輩…嫌だ…」 何がどう嫌なのか、もうリョーマ自身にも判らなくなっている。焦らされる感覚と、抱かれる感覚。両方に嫌悪が湧く。そしてやはり何より怖いのは、自分自身の理性だった。 粟立つ肌を玩弄され、ゆっくり舌は下腹を降りてくる。そのぬめるような生々しい快楽に、リョーマは期待で細腰を無自覚に揺らしていた。けれど桃城の舌は、リョーマの触れてほしいと望む場所に、触れられる事はなかった。 「焦らされるのは、久し振りなのか?」 手塚がどんな方法でリョーマを陥落させているのか、そんな事は知らない。元々快楽に弱いリョーマの躯は、いつだってあっさり陥落の哀願を紡ぐのだから。 「ヒァ…!」 下腹を掠めると、桃城の舌はリョーマの下肢を左右に裂く程開き、快楽に耽溺するかのように小刻みに顫える内股を舐め、ゆっくり最奥に伸びて行く。 「嫌…桃先輩…ソコはいやだ…ッ!」 躊躇いなく最奥を開いていく舌の感触に、肌が悸く。先の戯れでもう十分に桃城を欲していた小さい肉の入り口は、浅ましく桃城をねだり、喘ぐように綻び始めていた。 「使い込んでるくせに、綺麗な色してるな」 別れた時から3年間。手塚に抱かれてきただろうリョーマの肉体は、けれど其処は未開発の処女のような清楚さと、手林手管で男を陥落させる娼婦の二面を混在させ、雄の欲情を煽情するかのように、喘いでいる。 「嫌だ…嫌……ソコはいやだ…桃先輩…桃先輩…」 元々、直接的なソコへの愛撫を、リョーマは以前から極端に嫌がってきた。それは結局敏感なその部分を愛撫されれば、理性などあっさり砕かれてしまう事を、判っていたからだ。 顫える下肢を力で開いて胸まで屈曲させれば、嫌でも肉の奥を曝す恰好になる。細腰が浮く程、息苦しい恰好で下肢を開かれれば、リョーマには嫌でも桃城が秘花に顔を埋め、生々しい愛撫を舌先に乗せ、玩弄している様が見えてしまう。 「嫌…ッ!」 切なげに首を乱し、紅潮する白皙の貌を深まっていくばかりの官能に歪め悶絶しながら、リョーマは顫える動きで下肢に腕を伸ばした。 浮かせた腰の奥に顔を埋め、濡れた淫猥な音を響かせ、玩弄してくる桃城の頭を、細い両腕が必死に桃城の頭を押しとどめようと抵抗する。 「ぁぁんっ…いやぁ…桃先輩…」 嫋々の喘ぎが口を付く。ヌルリと濡れた舌先が、肉を分け入り、敏感に爛れている肉襞を掻き分けてくる感触に、リョーマは悦楽に脳乱を余儀なくされる。 「くぅぅ…ぅん…もぉ…」 徐々に昂まる淫猥な音。舌先ばかりか指まで肉の奥を嬲り始め、リョーマはとうとう哀願の言葉を口に乗せた。 意地も抵抗も何もかも、其処までだった。肉も何もかも、心細い程、桃城を求めてしまっている。 「いいのか?部長が居るんだろ?」 関係を持っている筈の手塚ではなく、自分に開放を哀願するリョーマに、桃城は哄笑と同時に、苦いものが喉元を迫上がってくるのが判った。 手塚に犯された時も、こうして哀願したのだろうか? 「ちが…違う…」 「何だ?」 ヒクヒク喘ぐ肉の入り口に、二本の指を衝き挿れれば、拒む事なく、柔襞がしっとり纏わり付いて来る。その生々しさに、雄の劣情が限界を訴えて来る。実際、桃城とて余裕などないのだ。 「勝手に…」 何一つの弁解も言い訳も訊かれる事なく、関係は崩壊した。何も知らなかった自分に勝手に快楽を押し付け、与え、覚えこませ、そして終わりも勝手にされた。其処には何一つ、自分の意思は介在していなかったのかもしれないと、リョーマは肉の奥底を嬲ってくる容赦ない快楽の淵で、そう思った。 「勝手に?」 挿入した指を根元まで埋没させ、肉の奥の奥を暴くように弄れば、引き攣る掠れた悲鳴が上がる。既にリョーマ自身は痛い程昂まり、先端の窪みから、粘稠の愛液を滴らせていた。 「越前?」 不意に途切れた言葉に、桃城は埋めた場所から顔を上げた。リョーマは全ての感情を無視するかのように、きつく瞼を閉じ、血が出る程、口唇を噛み締めている。 「お前?」 灼け付く快楽を怺えているだけではないリョーマの様子に、桃城は怪訝に問い掛ける。 「早く…終わらせれば?」 与えるだけ与えれば、満足するのだろう。奪うだけ奪えさせてやれば、其処で終わりだろう。 「…そう簡単に、終わらせられるか」 全てを拒む事言葉と仕草。どんな抵抗の抗いや言葉より、今のリョーマの言葉が桃城には堪えた。 桃城は、開かせた下肢を更に開くは、愛液を流し、顫えているリョーマ自身に顔を埋めた。 「くっ…ぅぅんっ……」 ビクンと、細い背が撓う。漏れる嬌声を噛み砕くように、リョーマは人差し指を噛み締め、嬌声を殺した。 「無理だろ?」 淫猥な音を立てリョーマ自身を玩弄するようにしゃぶってやれば、どれ程拒んでも細腰が浮き上がり、開放をねだるように揺れ動く。 容赦のない丹念さで、リョーマ自身に舌と指を這わせれば、もうリョーマは限界だった。 柳眉を寄せ愉悦を堪えても、肉と血を灼き切る官能に抗える筈もなかった。 「くふ…ぅぅん…や…ん…」 嫌々と頑是なく細い首を振り乱し、指を噛み締め、極める寸前の貌を曝せば、桃城の愛撫が熱を増した。 ねっとり絡み付く熱い舌。しゃぶられ咥えられる感触に、否応なく反応する自身。出口を求め奔流する凝縮された熱の塊を、リョーマは拒む事はできなかった。 「イケよ」 愉悦に崩壊する一瞬の貌。法悦に埋没していくリョーマを、桃城がそのシグナルを見逃す筈はなかった。 「やっ…いやっ…やぁあっ……ッッッ!」 噛み下していた嬌声が、喉を迫り上がる威勢で放たれる。 限界まで華奢な背を反らせ、リョーマは白い喉元を曝し、絶頂に達していた。 愉悦に崩壊していくリョーマの嬌声。それは快楽には程遠い、皹割れた悲鳴だと、桃城の聴覚を振動させて行く。 『キス……』 ゆっくり霧散していく意思。無理矢理導かれた絶頂に、意識が途切れていく。 慣れた喪失が訪れている事を理解して、リョーマは不意に莫迦莫迦しい事に気付いた。 訪れてから、桃城はキスをしてこない。 リョーマはキスが好きだったから、桃城は何かとリョーマにキスをしていた。けれど今はそれが無い事に、莫迦莫迦しい程、淋しさが押し寄せて来る。 無理矢理凌辱された時間の中。途切れる意識の最後に思う事が、桃城からのキスだと思えば、滑稽だと思うリョーマだった。 「越前…」 撓った背が崩れて行く。吐精し脱力したリョーマは、桃城の腕の中。あの頃と変わりない無防備さを曝していた。何一つ変わりのない面差し、それが尚更、桃城の胸に、言い様のない想いを抱かせていく。 抱けば手放せない事など判っていた筈だった。皹割れた悲鳴を上げさせる気などなかった。 傷付けたくは無い。 そんな言葉は、綺麗なものに誤魔化した言い訳にすぎない。傷付けてさえ、リョーマを手放したくはないのだと、桃城は意識を失ったリョーマを抱き締めた。
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