| 願い〜初詣の夜 |
「んっ…ぁぁん……」 適温に調整されている室内に、リョーマの隠す事のない余韻嫋々の嬌声が響く。 ベッドサイドの仄かな照明の中。肉の奥から湧く官能に脳乱し、力の抜けきった手足がシーツを掻き乱す様がひどく淫らで、桃城の内側に眠る雄を刺激するには、十分な色香を滲ませている。 下腹で濡れた音が跳ねるのに、リョーマは嫌々と激しく頭を振り乱す。桃城を挟んで開かれ下肢は、ぬめる快感に膝が立上がり、陽を浴びても日焼けしない白い内股が小刻みに顫え、悶絶している。 「あっ…ぁぅ…ん…桃…先輩…もぉ…」 白い喉元が反り返り、一直線に背が撓う。 初詣でから帰宅して、結局コンビにで買ってきた弁当もそこそこに、二人は求め合った。 広くは無い桃城のベッドの上、シーツを掻き乱し喘ぐリョーマは、白過ぎる裸体を惜しげなく桃城の眼前に曝け出し、雪花石膏の肌が、今は肉と血の奥を灼く官能に、桜に上気していた。 「いいから、出しちまえよ」 薄い翳りの中央で、屹立を増す幼いリョーマ自身を咥えながら、桃城は囁いた。既にリョーマ自身は、先端の窪みから粘稠の愛液を滲ませ、開放を哀願するように顫えている。 「いや……ッ!」 流石に、どれ程桃城を挑発し、感じている事を隠さないリョーマも、桃城の口内で達するには、未だ快楽より羞恥が先に立つのか、賢明に細い腕を下腹に伸ばし、股間に顔を埋めている桃城を、ソコから引き剥がそうと必死になっている。けれど耽溺する程快楽に漬かり込んでいるリョーマの指に、力など入っている筈もなく、それはただ悪戯に、桃城の髪を掻き乱す結果に終わるのもいつもの事だ。 「昨日みたく、一緒にするか?」 髪を掻き乱すリョーマの腕を取ると、指先まで敏感になっているリョーマの形よく整った爪から間接をゆっくりと舌が這う。指の付け根を丹念に、それでいて執拗に嬲るようにねっとり舌を這わせ、ゆっくり含んで行く。 「ゃんっ…だめ…」 腕を引っ張られる恰好で、股間に顔を埋めている桃城に舐められる。その次に何を強いられるのかは、昨夜嫌と言う程経験している。 愉悦に崩壊する一瞬まで、リョーマはその羞恥と快楽の狭間で脳乱しのたうつ事になるが、それが桃城の雄の嗜虐を煽情してしまう被虐性だと気付かない。 「ぁぁんっ…いゃぁ…やぁ…桃先輩…ゃんっ…」 ヒィッと、女のような細い声を上げ、リョーマは激しく頭を振り乱す。 敏感になっている指先をねっとり含まれながら、昂まる自身ごと桃城の口内に含まれて行く。リョーマは自らの形状を確かめるように触れさせられ、幼い肉茎ごと、生温い桃城の口内に咥えられて行く。 「くふぅぅ…やっ…ぁ…」 嫌々と頭を振り乱すと、パサパサと黒髪が白いシーツの上に波紋を描く。 「…桃…先輩…んっ…んっ……ね…がい…」 離してと、か細い哀願が歔きに漏れ、桃城の髪を掻き乱す。抉れる程白い下腹が、小刻みに顫えて行く。 「イク時だけは、相変わらず慣れないんだな」 達する瞬間、番う行為でイク事には素直なくせに、愛撫され口内でイク事は、未だリョーマには身を灼く羞恥が煽られるのか、最後の最後まで抵抗する。それが桃城には殊更可愛く映る。 幼い躯を開いた当初、触れれば何処も死ぬ程の羞恥に羞じらいを見せていたリョーマは、けれど桃城との行為で変化するように、感じている事を隠さなくなった。 それがリョーマの言葉には出されない想いである事など桃城には今更で、だから好きとか愛しているとか言う言葉を、リョーマに望んだ事はなかった。むしろ告げない言葉に後ろめたさと罪悪を感じているのリョーマの方だ。 言葉がなくては伝わらない事は多いだろうし、言葉無くして伝わるものなどないだろう。 けれど、こうして重ねた肌の熱さに触れれば、それが言葉で答えだと、桃城はらしくない下らない気持ちに陥るのもまた、いつもの事だった。 「リョーマ……」 咥えた幼い肉棒に濡れた軟体を這わせながら、掠れた吐息の声で囁けば、情事の最中だけ呼ばれる名に過剰に反応し、ビクンと薄い姿態が悦がりを放つように、海老反りに撓う。 「やっ…桃先輩…やっ…」 譫言のように桃城を呼び、嫌々と頑是なく頭を振り乱す。うつつ無く喘ぎ歔くリョーマは、これ以上ない程淫らだった。 白皙の貌は紅潮し、閉じる事を忘れた口唇から覗く肉色した舌が、乾いた口唇を舐め上げて行く様は、どんな女より淫らで、口角をだらしなく伝う唾液に色付く白い喉元が、しゃぶりつきたい衝動を桃城に孕ませる。 「嫌なんて、お前の躯、言ってないだろ?」 ピチャリと、濡れた音を立て、幼いリョーマと自分より小一回り以上細く小さい指を共に口内に含み舌を這わせると、リョーマの喘ぎが嫋々に響く。含まれ、細腰が揺れる。 「んっ…んっ…くふぅぅ…ん…」 必死に口唇を噛み締め、桃城の口内でイク事を拒絶するリョーマは、それでも肉を灼き、細腰の奥の奥を爛れた淫蕩の熱さで溶かれて行く恐怖と羞恥に、喘いでいる。 桃城の生温い口内に指ごと含まれ、玩弄に等しく舐め回される。その貪婪な愛撫に、リョーマは怺える熱も限界に達し、必死になって身を捩っている。 「我慢するな」 根元まで含み、それでもすぐには達せいないよう、根元を二本の指で抑え付け吸い上げてやれば、リョーマは可愛い程、白い躯をベッドの上で喘がせる。 膝を立たせ開いた下肢が、必死になって達する事を拒むのを現すように閉ざされるのを見て、桃城は細腰を抱き込む恰好で下肢を限界まで開かせる。 「いやぁっ!」 背が支点になる程、ズルッと、シーツの上で細腰を持ち上げられる。 「ヒィッ!」 淫猥な音を立て、肉茎を嬲るように玩弄していた桃城の熱を違う場所に感じ、リョーマは閉じていた眼を開くと、ソコには喘ぐ秘花が桃城の前に丸出しになっている淫らな恰好で、細腰を深く抱き抱えられている自分の姿が見えた。 「やだ…桃先輩…ッ!」 「欲しいのは、俺だって一緒なんだからな」 本当は、幼い躯を連日抱く行為など、無茶も通り越している自覚は桃城にはあった。だから極力今夜はビデオでも観て、抱き合って眠るだけにとどめようとしていたのだ。 恋人が腕に居て、触れたくない男はこの世にいないだろう。まして年若い桃城の欲望など、理性で繋ぎとめてさえ、呆気ないものなのだ、本当は。けれど幼いリョーマを連日抱く事は理性の部分で罪悪が湧く程躊躇われるから、桃城は無茶はしたくなかったのだ。けれどその理性を砕くのは、いつだってリョーマだった。 「いや…ソコぉ…」 淫猥な濡れた音と、生温い舌の感触を最奥に感じ、リョーマは無意識に逃れようと必死になる。けれどガッチリ繋ぎ止められた細腰を賢明に捩ってみた所で、それは解かれる事はなく、更に痴態を強いられるだけになる。 ズルッと引き摺られ、細腰を更に押し上げられるうに持ち上げられ、固定される。 「軽いな、お前」 俄かな苦笑が桃城の口唇から漏れた。 食欲旺盛すぎるリョーマは、けれど呆れる程薄く軽い。抵抗など皆無な程簡単に腕の中で抑えつけてしまえた。 「桃先輩…いや…ソレ…」 んんっと、か細い歔きの声が漏れる。 顫える幼いリョーマ自身から、ぬめる舌はゆっくり焦らす速度で、ヒクヒク喘ぎ充血する肉の入り口を這って行く。 桃城の眼前に、恥ずかしい部分を丸出しにしている羞恥に紅潮し、リョーマは身悶え、無意識に指を口唇に含ませ、賢明に達する事を堪えていた。それがまた雄を刺激する被虐的な表情を滲ませている事を、リョーマは知らない。 「お前…ヤバイナな…」 見下ろし間視する視線の中、指を噛み締め喘ぎ悦がるリョーマの官能深い姿は、雄なら誰もが嗜虐を煽情され、徹底し、玩弄に啼かせたくなる被虐的な要素を持ち合わせ過ぎている。 綺麗なものを無理矢理凌辱し、穢がしたくなるのは雄の嗜虐だろうが、今のリョーマは雄を刺激するには十分すぎた。 けれどそれさえ桃城と言う男に抱かれた結果、身に付けた色だから、リョーマに言わせれば、桃先輩の所為と言う事になるのは言うまでもない。 「そんなの…」 桃先輩の所為と言う筈の科白は、けれど細い喘ぎにかき消された。 「……イク…イッちゃぅ…ダメェ…」 桃城の舌が、ズルッと擬音を響かせ、喘ぐ肉の奥へと入り込んで行く。ヒクヒク喘ぐ小さい肉の入り口の奥をまさぐられ、舌先で小刻みに顫える柔襞の一枚一枚を巻き込むように嬲られて行く。 「やぁ…桃先輩…ソコ…やだ…」 女と変わらぬ性器にされたその場所は、桃城の唾液により淫靡に濡れそぼっている。 「ヒァッ…!」 最奥に桃城の舌を感じさせられ、痛い程屹立している自身は、桃城の手により戯弄を施されている。 股間から小さい肉の入り口を淫猥に玩弄じみた愛撫を施している桃城が、リョーマには丸見えだ。恥ずかしい部分を隠す事もできず、桃城の愛撫に任せている。 息苦しい程、下肢を胸に付く程屈曲され、桃城は淫らな雄の表情をしてリョーマを舐め回している。それがリョーマにはいたたまれない羞恥と同時に、表現できない倒錯的な心地好さを生み出して行く。 「あぁん…ぁんっ…桃先輩…桃先輩…」 淫らに喘ぐ肉の入り口。その奥の肉襞は、いやらしい程桃城の熱を待ち焦がれ、充血する程爛れているのがリョーマには生々しい程だ。浅ましいと思いながら、桃城だからなのだと、かすむ意識の片隅で思う。 「ぁ…ぁぁんっ…もぉ…」 抉れる程白い腹と内股が小刻みに顫え、与えられる快楽を現すように、細腰が甘く揺れている。 「もぉ…イク…出ちゃう…」 細い哀願の音、顫える下肢の爪先が、キュゥッと反り返る。そんな恥ずかしい言葉すら、告げるリョーマに抵抗はない。 淫蕩に耽溺する淫らな貌。イク寸前の官能深い表情を惜しげもなく曝し、リョーマは愉悦に崩壊して行く。 「出せよ」 ヌルリと、肉の奥から引き出された舌は、ゆっくり幼い肉茎に戻り、巻き付き、淫靡な音を立て、舐め回す。 「ヒァ…ゃん…桃先輩…もぉ…もぉ…」 「我慢するな」 幼い肉棒を口内に含み間視すれば、達する寸前のリョーマが映る。そんな時、桃城はいつだって身勝手で傲慢な自分を意識する。 リョーマのこんな痴態を知っているのは自分だけだと言う、どうにもならない雄の優越と征服欲。幼い肉体を同意の上とは言え開きながら、それに対しての幾許の後ろめたさと罪悪を抱きながら、こんなリョーマの妖冶な嬌態を前にすれば、利己的な支配欲が頭を擡げてくる。 優しくしたいし、大事で何よりダレより大切だから、無茶など決してさせたくはないというのに、どうにもならない焦燥じみたナニかが、桃城の体内を巣食って行く。 どう言い訳した所で、幼い肉体を開き、喰うように抱いている事実は変えよえもない言うのに。 「あぁん…もぉ…だめぇ…」 女のような嬌声が、長く尾を引き喘いだ。愉悦を丸呑みするかのような淫らがましい嬌声と狂態だった。 与えられる快楽に細腰を揺らし、桃城をねだる。女にされたと、こんな時にフト思う。桃城と言う雄を欲し、浅ましく躯を開いてねだる。 尤も、桃城以外の男など願い下げではあったけれど。重ねる肌の熱さや淫蕩さが、誰でもいいと思える程、他人に温もりを求め、欲しいと思う事もなかった。結局溺れている、そういう事なのだろうと、喘ぐ意識の片隅で、リョーマは思った。 「…桃先輩…ぅんんっ…」 グッと、背筋が撓う。白い喉元がのけ反り、極みの一瞬の貌が色濃く刻み付けられる。 「リョーマ…」 情欲の吐息を吐き出し、囁くように名を呼び、折れそうに細い足首を掴んで更に下肢を開かせると、桃城は含んだ幼いリョーマ自身を扱き、吸い上げた。 「ぁぁんっ……ッッ!」 細く高い掠れた悲鳴とも嬌声とも付かない啼き声を上げ、リョーマは限界まで背を撓わせ、愉悦の狭間に崩壊していった。 幼い性から吐き出された粘稠とした愛液が、桃城の口内に生温い温度で流れ込んで行った。 吐精でクッタリ力が抜けきり、未だ快楽の余韻に浸りきっているリョーマを組み敷くと、桃城は壊れ物を扱う慎重さで、細く薄い躯を抱きよせた。背に回った腕の感触に、喘ぐように吐息を吐き出していたリョーマは、快楽の為に流した涙で滲む眼を、桃城に向けた。 「きてよ」 力の抜けている下肢を、桃城の腰に回してねだるその仕草に、桃城は深い苦笑いを刻み付ける。 「俺イカす時だけ意地悪いなんて、サイテー」 一度開放してしまえば、二度も三度も同じ事だと、極めた後のリョーマは、容赦などない。 「無茶はさせたくないって言ったろ?」 極めた為に紅潮し、熱に浮かされた瞳で睥睨されても効力など何一つない。 桃城は苦笑すると、労るように汗ばんた髪を梳いてやる。 「欲しいの、俺は桃先輩と違って、老成してないから」 労るだけ労って余裕なんてないくせに、余裕のあるフリをしている桃城が、こんな時癪に触る。たかが1歳でも、遊んできた数が物を言うのか、桃城は隠す通す事に長けている。それも他の女によって磨いてきたものだと思えば、当然リョーマが面白い筈はない。 「あのな……」 誰が老成しているんだと、リョーマの物言いにガクリと脱力する桃城に、罪はないだろう。 「菊丸先輩が言うには、俺は勝ち気で負けず嫌いらしいから」 囁いて、桃城自身に手を伸ばす。 「お前」 欲望など、とっくに喚起している。触れられれば、尚更だ。リョーマに触れていて、喚起しないようでは、桃城ではないだろう。 「欲しい」 こんな局面で労りなど邪魔なだけだと、リョーマは薄く笑う。娼婦の妖冶さを孕みながら、何処か真剣な眼をしたリョーマに、桃城は溜め息を吐き出した。 「明日躯動かなくても、知らないぞ」 細すぎる腰を抱き、下肢を胸に付く程屈曲させれば、喘ぎ充血する秘花が丸見えになる。何度抱いて穢しても、リョーマのソコは誰の手垢もついていない気分を桃城に抱かせる。 「その場合、桃先輩が責任とんでしょ?」 桃城を挟み込み開かれる下肢。胸に折り返ってくる下肢の所為で、息が少しだけ苦しかった。 「本当お前、負けず嫌いだよな」 ゆっくり昂まりきっている自身を幼い肉の入り口にあてがうと、それだけで感じるのか、リョーマは吐息を朱に染め、白い喉をのけ反らせた。まるで男を喜ばせる手管を心得ている娼婦のような仕草と表情に、桃城はあてがった自身を、リョーマの胎内に衝き挿れた。 「あっ……!あぁんっ…ッ!」 胎内に入り込んでいるモノの熱さと硬さに、半瞬ビクンと強張る躯も、宥めるように桃城が抱き締めれば、簡単に緊張など解けて行く。 「んっ…んんっ…」 狭い胎内で絶対的な質量を増し、肉襞を押し開いて行く桃城の雄の熱さに、我を忘れて縋り付くのも、リョーマにはいつもの事だった。 褐色の背に腕を回し、爪を立て朱線を描く。桃城が少しだけ痛そうな顔をすれば、更に爪を立てるタチの悪さだ。 「あっ…ぁん…ぃ…ぃぃ…」 腰の奥を揺さぶり立て、押しつけるように胎内に埋没してくる雄の熱さ。肉襞を擦り刺激し、深い部分に潜り込んでくる桃城を受け止め、リョーマは形よい細い頤を衝き上げ、細い眉を切なげに絞って歔いた。 「あっ……ぁっ…」 噛み締めた口唇から漏れる嬌声が殊更淫靡で、桃城を煽情する。あけすけでない嬌声と喘ぎの方が、殊更被虐的だと、桃城はリョーマを抱いて、初めてそれを実感とした。 揺すられるままに揺すられ、感じるままに細腰を揺すりたてる。抽送を繰り返す桃城自身は、爛れた柔肉に包まれ、更に肉の奥の奥へと埋没して行く。こんな時、快楽は互いの肉から引き出されていると、感じずにはいられない。 処理ではなく、求めた相手との情交は、満たされる事ばかりだとフト思う。素直な快楽を隠さないリョーマに、感じるのは愛しさばかりだ。 「桃先輩……桃先輩…」 掠れた声が、譫言じみて桃城の名を繰り返す。 「リョーマ…」 情事の最中しか呼ばない名前。抱き締めて耳朶を甘噛み囁けば、リョーマは感じ入って甘い嬌声を上げ続ける。 根元まで埋没する桃城を胎内に受け止め、粘稠の濡れた音が胎内から響くのに、リョーマは激しく身悶える。 肉の奥の奥を押し広げ、息苦しい程の圧迫を増す桃城自身の限界をリョーマは感じ取っている。互いの腹に擦られ、幼いリョーマ自身も、再び開放をねだり、先端から粘稠の愛液を滲ませていた。 「イク…桃先輩…イッちゃぅ…」 辿々しい声が、喘ぎに紛れて漏れる。 ギュッと桃城の幅広い背にしがみ付く恰好で腕を回し、裂かれた下肢を激しく動く桃城の腰に絡み付ける。桃城の体躯に組み敷かれるリョーマは、押し潰されそうに華奢で、絶頂寸前の乱れた貌が、可憐で妖冶だった。 「お前の中、きついな…」 幼いだけに狭くきつい。そのくせ抱かれ慣れている事を現すように、衝き上げる雄の熱さを、蕩けきった秘肉は包み込み、絡み付く。 衝き上げる自身に絡み、離れないかのような媚肉の熱さに締め付けられ、桃城も限界を迎えていた。 「アッ!」 グッと更に埋没する肉棒に刺し貫かれる感触。桃城の硬く熱い肉茎は、リョーマの尤も敏感なスポットを探りだし、押し開き、擦り上げた。 「ダメェェッ!」 女のような生々しい嬌声を張り上げ、白い背が弓なりに撓う。 掠れた嬌声を張り上げリョーマは達し、互いの腹を汚して行く。そして桃城も、爛れた熱に締め付けられ、幼い胎内に精を迸らせた。 情後の気怠い空気が、室内に滲んでいる。 「桃先輩…」 仰向けに寝転がっている桃城の胸元に抱き抱えられている恰好のリョーマは、情後だけあって、そんな態勢に拒む事も見せず、されるままになっていた。 「どした?」 無茶をさせた自覚はあるので、労る声が掛けられる。 「……俺が…」 睦言じみた甘い声は、情事の最中の激しさを語るように掠れている。情事の最中、リョーマは自分がどれだけ淫らな声で淫らな哀願をしているのか判ってはいないから、掠れている事実に、ただ激しかったんだなという認識しか持たない。自分の淫らさなど追及した所で、冷静になってしまえば羞恥しか湧かない。 「…俺が…死んでって言ったら、死んでくれる?」 小さい音を立て、リョーマが桃城の腕の中で身を起こす。 起こし、何処か切羽詰まったような表情で、桃城を見下ろした。けれど桃城はリョーマの科白に怒った様子など微塵も見せず、ただ深く笑い、見下ろしてくる小作りな貌を包むようよに指を添えた。 「本当お前ってば、乙女発想だな」 必死な様子で切羽つまったナニかを覗かせるリョーマなど、滅多にお目に掛かれれる代物ではないから、桃城は乱れきった髪を梳いてやる。 「心中、じゃないよ?」 伝わってはいないだろうか?そう思う。 「ちょっと待ってろよ」 軽い動作で上半身を起こすと、桃城はベッドの側に有る机に向かい、引き出しを漁り、ソレを取り出した。 「俺の存在ってのは、そんなにお前を弱くしちまうか?」 ベッドに戻ってきた桃城の手には、瀟洒な切っ先を持つナイフが有った。 「こんなオモチャみたいんもんだけどな、お前が俺殺す程度には切れるだろ?」 ベッドサイドに腰掛け、リョーマにソレを見せれば、リョーマは驚いた様子で桃城を見上げた。 初詣での帰り道。強くなりたいと言ったリョーマの科白の意味を、桃城は読み違えてはいなかった。 「何で……」 桃城の手に有る存在に視線を落とし呟けば、残酷な程優しい温もりが、ポンッとリョーマの頭に触れた。 「強くなるのに、俺は枷か?」 もしそうなら、消えてやる事など実際は簡単な話しだ。 桃城の穏やかな声に、リョーマは視線を落したまま無言で首を振る。 枷にしてしまったのは自分の方だ。枷ではないと、以前父親に告げた科白など、今はもう何一つの効力はない。 「俺が…俺が勝手に…」 取り敢えず付き合うと大口を叩き付き合い、SEXなんて大した事ないと嘯いて抱かれて。もう逃げ道など綺麗になくなっている事に今更気付いて、だからリョーマは怖くなった。 強くなりたかった。誰の力も必要とせず、前だけみて歩いて行きたかった。誰かの存在を欲し、崩れてしまいそうな自分など、見たくはなかったし、想像もできなかった。けれど今は違う。たった一人の存在が、こんなにも選択の道を限定してしまう。 自分の存在が、思考回路を限定してしまう枷なのだと認識したら、この悪党は黙って消えてしまう。だから、だったら強くなる為に死んでほしいと、理不尽にも思った。 大晦日の夜、祈り願った望みが叶わないなら、自分の視界の中で、消えてほしい、リョーマはそう願ったのだ。 けれどそんな内心は不思議と桃城には丸判りで、だから乙女的な発想と言う科白に繋がる事を、リョーマは理解していないだろう。 「まったくお前は、どうにも莫迦だな」 どうしたらこんな莫迦になるんだと、桃城はリョーマを壊れ物を扱う慎重さで、引き寄せる。 「努力するって言葉で足りないなら、こう言えばいいか?」 俯く視線を、形よい頤を掬い上げる事で強制的に合わせると、泣き出しそうに歪む蒼い眸が桃城を見ていた。 整髪剤が落ち、乱れた桃城の髪。一体何人がこんな風に乱れた桃城を知っているのかと思えば、リョーマは胸を灼くものを味わった。 「俺は、お前が邪魔だからいなくなれって言わない限り、離さない。こうして掴んだお前の手。離さない為の努力は惜しまないって言ってるんだ」 そう告げながら、きっと言葉ではダメだろうと桃城は思う。それが現実にならない限り、リョーマの身の裡から、脆い不安は取り除けないし、何より納得しないだろう。 ひたむきなテニスへの情熱。その揺るぎない強さが好きで誇らしいと思う。だから、前だけを見ていてほしいと願った。足枷になるつもりなど毛頭ない。だからその為の努力を、惜しむつもりはなかった。 「どうして……」 怒って自分の事など捨ててしまえばいいだろうに。残酷な程、胸の奥を切り裂のは、優しさばかりで、リョーマは泣き出したくなる。 「生きてりゃ誰だって自分の事が可愛いし、大事だし、自分の事しか考えないのは当然なんだよ。それは利己的でも何でもない」 お前本当に莫迦だな、そんな柔らかい言葉で、桃城はリョーマの頭を引き寄せれば、小作りな頭は、幅広い肩口に埋まって行く。 「お前は十分莫迦みたいに優しいし、俺よりきっと数倍優しいさ」 「そんな事ない…」 くぐもった声が、桃城の胸元で漏れる。 「そんな事、ある」 クシャクシャと、桃城はリョーマの髪を掻き乱すと、 「一緒に、いような」 極簡単に、願いを口にする。望んだ事など、そんな些細な言葉ですんでしまうとでも言うように。 「今年も来年も再来年もずっと」 繰り言で、絵空ごとで終わらせるつもりは毛頭なかった。 「桃先輩、本当に莫迦だね…」 長生きしないよ、そうリョーマが泣きそうな声で笑うと、 「アホ、俺は年取って、お前と日向ぼっこするまで長生きすんだよ。縁側でネコ飼って。タヌキでいいな。あいつの尻尾が二つか三つに別れてても元気で、二人と一匹で仲良く暮らしてりゃ、それでいいんじゃねぇ?」 そう笑う桃城の手からナイフを取り上げると、リョーマはソレを凝視し、 「月にも剣にも誓わなくていいから、俺に誓って」 姿をえかる不実月により、いざとなったら切り捨てる道具の剣でもなく。 「俺はお前の誕生日に、とっくに約束してるだろ」 誓うように、告げた筈だ。 「あの世に行き掛けても、お前の声がありゃ、いつだって戻ってこれる」 星を見ながら、『See you tomorrow』と告げたリョーマの科白の意味が判らない桃城ではなかったから、ちゃんと誕生日に口に出して告げているのだ。 不確かな未来に対して約束をほしがるなど、リョーマは確かに弱くなったのかもしれない。けれど、何も信じる事なく前に進むより、何かを信じて歩き続ける方が、実際はとても困難で勇気が必要な事を、桃城は知っている。 枷にならない約束を、もう一度告げる。 「明日もお前と一緒に居るよ」 リョーマの手からナイフを掬うと放り投げ、何とも言えない表情をしている華奢な躯を抱き締めた。 「そいや、俺の初夢って変だったぞ」 「初夢?」 「正確には、二日の晩、だから今晩なんだけどな、観る夢を新年最初の夢で、正夢とか色々言われんだよ、まぁこれも験担ぎなんだけどな」 「フーン」 「俺昨日の晩って言うか、朝方だよな多分」 何せ寝たのが朝方に近い時刻だったのだから、夢を観たのは確実に朝だっただろう。 「俺一人暮らししてて、アパートか何かに住んでたみたいなんだけどな、アパート帰ってきたら、家財道具一式ないんだよ」 それもお前の誕生日に合わせて、慌てて帰ってきたって拝啓だったよな。桃城は夢を思い出したかのように、面白げに肩を揺らす。 「何それ?」 桃城の胸元に引き寄せられたまま、リョーマは不思議そうな顔をしている。 「そんで窓にでっかくメモが張り付けてあんだよ。お前の字で」 「あんたの観た夢の中まで、俺責任とれないっスよ」 「何書いてあったと思う?」 腕の中。キョトンとしている顔を覗き込めば、情後の熱に未だ少し浮かされているのか、白皙の貌には激しく睦んだ熱が残っていた。 「………住所」 少し考え、リョーマは少しだけ憮然として答えた。 「ビンゴ。よく判ったな」 「俺なら、多分そうするから」 正解と笑う桃城の指先が、これはもう完全に癖だろうと窺わせる仕草で、リョーマの汗ばんだ髪を梳く。 「お前痺れきらして、誕生日のプレゼントって、俺の家財道具一式とりあげたんだぜ」 「桃先輩を、俺は嫁に貰ったんだ」 「アーホ、俺が入り婿に行ったんだよ」 「長男のくせに」 「弟もいるし、妹もいるしな。俺じゃなくても困らないさ」 「それが初夢だったわけ?」 「初夢は、正夢になるって言うからな」 だから俺達はずっと一緒なんだよ、桃城がそう笑えば、リョーマも釣られて笑った。 「桃先輩」 とても簡単な言葉だったのだと、今更気付く。何を口に出す事を怖がっていたのか? リョーマ自身にも判らなかった。 「ん?」 「今年も来年も再来年もずっと、一緒にいよう」 それは初めてのリョーマからの告白だった。 |