生 誕 祭
act5












右に善を
左に悪を
中心には人間を

右に生を
左に死を
狭間には罪と罰を

右手に愛する者を
左手に宇宙を
バランスの為に

右手には救済を
左手には利害を
アナタの為に





 天上から床まで。まるでカーテンのように、蒼い夜の帳に覆い尽くされている静かな室内。天蓋付き
のベッドの周囲だけが、仄白い光の下に照らし出され、淫靡な交わりを繰り返す二人の姿を浮かび上
がらせている。
「シャツ一枚だけの姿というのは、却ってエロティックですね。坊っちゃんの折そうな細い腰が、シャツ越
しにも判りますよ」
 光沢を弾く白いシャツを羽織った姿は、あからさまな裸身より余程淫靡に、男の嗜虐を煽情する被虐
美が備わっている。
 たかが薄布一枚に隠された華奢な線。けれどそのシルエットの卑猥さは、剥き出しの裸身より余程如
実に、快楽に耽っていくシエルの婬らさを曝け出す役割を果たしている。
「んぅっ…、んっ、んんぅ……っ」
 セバスチャンの股間に顔を伏せる姿は、まるで餌を食む獣さながらの卑猥さで、細腰を背後に突き出
す恰好を強いられる。口内を犯す雄に呼応し、掲げた上げた腰がヒクリと顫える。
「んっ…んんっ…」
 弱々しく小作りな頭を上下させ、口内を犯す昂まりに舌を絡め、しゃぶり上げる。唾液を掻き回す婬ら
な音がいやらしく響く。それにさえシエルは過剰に反応し、切なげに喉を鳴らす。
「いい子ですね」
 生温い口内にしゃぶり含まれ、腰の奥が熱くなる。愛戯自体は決して巧いという手管は持っていない
が、シエルが口戯をしているという単純な事実に、可笑しい程、欲情を煽られる。けれどそんな内心を臆
面にも覗かせず、セバスチャンは仔ネコをあやすのと大差ない仕草で、己の股間に顔を埋めている小作
りな頭を撫でてやる。
「ぁん…ん…っ、…んぅ…」
 揶揄を含んだ甘い声。そのくせ労りに髪を掻き混ぜていく節だった長い指先。情事の最中は、殊更
甘さを帯びる甘い声。その声に煽られ、腰の奥が熱く重く痺れていく。外気に触れる剥き出しの自身か
ら溢れる愛液はトロリと滴り、それは引き攣るように顫える白い内股にまで伝うと、更にその奥をも濡ら
していく。触れられることなく吐精してしまいそうな婬らな予感に、シエルは泣き出しそうに顔を歪めた。
「んぅ…ぅんっ…、んっ、んんぅ…っ…」
 口内を犯す性器は容赦なく圧迫を増し、舌に乗る熱さは、まるで火傷しそうにヒリ付く熱さを持ってい
る。
「んぁ……っ、いや…もぉ…セバス…」
 切なげな哀願を口にすれば、けれど最後まで名前を呼ぶことは許されず、サラリと髪を梳かれたまま、やんわりと頭を戻される。
「んんっ…、んんぅっ……」
 セバスチャンの性器が喉奥まで押し込まれ、息苦しさに生理的な涙が零れ落ちる。けれど口唇を離す
ことは許されず、口端からは、精液と唾液が混じり合って零れ落ちていく。
「口での性交もちゃんとお教えしたでしょう?咥えているだけでは、ダメなんですよ」
 小さい口には余る自身を、それでも容赦なく喉奥まで飲み込ませると、シエルが苦しげな吐息を漏ら
した。それを宥めるよう頬に触れれば、物憂げな瞳が見上げてくるのに、セバスチャンは雄の劣情を煽
られていく。
 シエルの内側から滲み出す未成熟な色香は、まるで発散するかのように雄を誘う雌のものだ。まさし
く自分が雌に作り替えた躯だと、セバスチャンは苦笑する。
 一体何処まで自覚しての科白かは判らないものの、作り替えられていく自分の躯を、シエルは判って
いるのだろう。
 悪魔に魅入られた幼い子供。けれど魅入られたのは何もシエルだけではないのだと、シエル自身、
気付いてもいなかった。
「私が毎晩して差し上げていることを、思い出して下さい」
 判るでしょう?と笑えば、シエルが嫌々と小作りな頭を振り乱す。それを許さず、やんわりと両手で押
さえ付けると、緩やかな動きで上下に揺すり立てる。
「んんっ…んぅ…んんん…っ!」
 ガクガクと否応なくしゃぶらされ、反射的に吐き気が起こる。けれど吐物が吐き出されることはなく、逆
流した胃液に喉が焼かれただけだった。
「んぅぅっ……もぉ…セバス……んぅ…っ」
 顎が疲れるほど大きく口を開き、根元まで押し込まれた性器。ベッドの上。胡座を掻いて座る男は、
癪になる程、表情一つ崩さない。そのくせ口内を犯す脈動は狭い口内一杯に質量を増し、それはまる
で別の生き物ののように、傍若無人と口内を征服していく。
 別に今更の行為に嫌悪はないが、この体位がシエルの羞恥を誘った。それでもセバスチャンに慣らさ
れた躯は従順に反応することを余儀なくされ、シエルの意思を綺麗に無視して、与えられる愛撫に素直
に反応していた。
「んっ…、んっ……っ」
 息苦しさにグラグラしながら、小さい頭を上下に揺すり、口内の雄をしゃぶりあげる。まるでそれ自体
に意思でも宿るかのように、易々と征服していくセバスチャンの雄。重量も何もかも、自分とは比べるべ
くもない雄の性器。他の男など知りようもないから比較などできないが、誰もがこんなに火傷しそうな熱
さと硬さを持っているのか、シエルには判らなかった。
 悪魔だからなのか、それとも大人の男だからなのか。百年は軽く超えて生きている悪魔に、大人の男
という表現も可笑しいものの、誰とも比較はできない。
「鳴呼…お上手ですよ坊っちゃん。私が毎晩して差し上げているから、流石に男が感じるポイントは、
お判りになったようですね」
 クツクツと笑えば、哀願とも眇めるとも分からない曖昧な眼差しが、涙に濡れて見詰めてくる。
「私を咥えたまま、そんな眼をして」
 切なげとも、恨めしげともとれる眼差しは、けれど淫蕩に耽った色をしている。他の男にこんな表情を
見せたら、間違いなくその場で犯されるだろう。
「言ったでしょう?経験から学ぶものは幾らでもある。生きる為の手段の一つです」
 幼い主に、口戯を強要しているとは思えない莞然さで笑う悪魔に、シエルは諦めたように半眼伏せ、
凶器とも思える肉棒をしゃぶっていく。濡れた音がピチャリと響いた。
 長い睫毛が息苦しさに顫え、美眉が歪む。その切なげな表情が雄の嗜虐を煽情する被虐美だとシエ
ルは気付かない。きっと生涯、気付かないままなのかもしれない。
「んぅぅ……っ…、ふぁっ……」 
 生きる為の手段に、セックスが必要か?種の保存に必要だとは思うが、生きる手段となれば話しは
別だと、シエルは内心でセバスチャンの言い草に悪口雑言を吐き出していたが、実際それが言葉にさ
れることはなかった。
 我が物顔で狭い口内を掻き回し、喉の奥まで征服してくる熱い凶器。自分の知らない深みまで熟知し
ている、セバスチャンの雄。快楽の深さを徹底して教え込まれた幼い躯は、強要される行為さえ拒むこ
とはできなかった。羞恥さえ快楽を煽る道具でしかないのだと、いつもこんな局面で気付かされる。
「んっ…、んんぅ…っ、ん…、ん……っ…」
 昂まる雄を咥え込む行為は、躯の最も深い場所に穿たれる感触をもシエルに思い出させ、その婬らな
想像に、細腰がくねるように揺れ動く。
「んんぅ……っ」
 花莟を押し開き、拒むこともできずに押し込まれてくる生々しい雄の脈動。脆い箇所を、直接擦り上げ
られていく快楽。口にしたそれは、シエルにあからさまな情交を思い起こさせ、触れられることもなく吐
精してしまいそうな恐怖と羞恥に、背筋が陶酔にも似た刺激に痺れていく。
「あ…っ、んふぅ……」
「おやおや、口でしゃぶっているだけなのに、随分可愛らしいおねだりをしていますね」
 小さい口一杯に頬張らせ、根元まで顔を埋めさせる。そうすれば引き攣るように細腰が顫え上がるの
が見て取れる。
 未々拙く辿々しい愛戯ではあったが、セバスチャンにはそれだけで充分だった。
 セックスという言葉は知っていても、その根深い意味まで理解していなかっただろう幼い生き物。その
幼い胎内を開いた時、当たり前のように口での性交をも教え込んだ。
 最初こそ、その行為を嫌がっていたシエルは、けれど回数を重ねれば諦めも覚えたのか、快楽に身を
任せる手段を覚えていった。時には狂女さながら奔放に振る舞うことも覚え、口戯も積極的にしたがる
ことがある程だ。
 自堕落に耽る堕天。そんな印象が付き纏うシエルは、逃れようもない切っ先の上に立つのと同じくら
いに婬らで綺麗だ。未成熟な色香が、発散するように滲み出す。
「欲しいですか?」
 項から背筋を撫で回せば、薄い肩がビクリと反応し、細首が嫌々と打ち顫えた。
「…ぁん…っ、もぉ……」
 僅かに顔を浮かせれば、タラタラと流れていく精液と唾液。婬らな肉がセバスチャンの愛撫を欲して、
乱れていく。
「自分が雌だというのなら、これくらいで音を上げてどうします?」
「んぅ……もぉ…顎が……疲れて…」
 ダメと、掠れた舌足らずな声が、弱い哀願を口にする。
「ダメなのは、アナタの嫌らしいこっちじゃないんですか?」
 喉の奥で笑うと、胸元へと引き摺り上げるように細い躯を引き寄せ、顫える内股に手を滑らせる。
「ひっ……!」
「イッた訳でもないのに、ヌルヌルに濡らして」
 羽織るだけの恰好で身に付けている長いシャツは、粟立つ肌を隠す役目はしてくれない。シエルが咄
嗟に下肢を閉じるより早く、セバスチャンは細い下肢を開かせ、幼い性器を包んだ。
「ひぁっ…!触わ…るな…」
 低い体温に包まれた瞬間、ビクンと細腰が跳ね上がる。淡い愛液は白い内股まで滴り、更にその奥
までをもいやらしく濡らしていた。
「こんな奥にまで垂れて。まるでお漏らしでもしたみたいに濡れてますよ」
「んぁ…!やっ…っ!ダメェ…そこ…っ」
 自身から下肢の根元。そこから、引き攣るように顫える内股をサラリと撫でられ、双丘の狭間に指を差
し込まれる。瞬間、掠れた細い嬌声が口を付く。
「ヒクヒク喘いで」
 シエルの快楽の沸点は低い。本来慎ましやかに閉じられている花莟は、けれど今は従順な反応を見
せているのが判る。そっと指を添え、柔らかい粘膜の合間を緩く擦れば、雄を咥えたいとばかりに、肉
の入り口は浅ましい収縮を繰り返す。
「んっ……っ、んやぁ…っ」
 花莟の縁を緩く刺激されれば、浅ましいほど腰が動くのを止められない。いっそ自分で扱いて吐き出
してしまいたい欲情に、泣き出したい気持ちで、シエルは必死に吐精を怺えている。その必死に吐精を
怺える切なげな貌が、セバスチャンを刺激するのだと、シエルに自覚は皆無だ。
「おしゃぶりをして、思い出してましたか?」
 昨夜のセックス。
「いやぁ…っ」
 耳朶を擽るように甘噛みされ、耳に落とされる甘い嘲笑。意識より先に、躯が反応する。
「ホラ、欲しいなら欲しいと、おねだりして下さい」
 喘ぐように収縮を繰り返す婬らな花。その周囲を擦るように指先で玩弄すれば、絶息間際の小動物の
ように、細い悲鳴が哀願を乗せる。
「んんっ…!あんんっ……やっ…っ!だめぇ…っ」
 ギュッと指先の先の色が変わる程、まるで許しを請うような幼い仕草で、細い指先がセバスチャンの
シャツを握り締める。胸元に顔を埋め、薄い肩が、快楽に顫え上がっている。
「どうしました?私は未だイッてませんよ」
 頤を掬い上げるように強引に顔を上げさせ、奉仕の続きを要求する。真っ赤に充血し、熟れたような胸
の果実。食んでほしいとばかりのそれを、長い指先で引つぶすように摘み上げれば、薄く細い背筋が綺
麗に反り返った。
「やっ…もぉ…」
 胸の果実は、セバスチャンによって開発された性感帯の一つだ。愛撫されれば堪え性もなく熱を孕み、その疼きは垂直に腰の奥へと澱んでいく。
「ダメですよ」
 厳然とした口調とは相反し、柔らかい微笑み。嫌々と幼い仕草で嫌がるシエルの躯をセバスチャンは
あっさりと入れ替えた。
「ひぁ…っ?」
 一瞬、セバスチャンが得意の空間転移でも使われたかのかと、淫蕩に朦朧とする意識の片隅でシエ
ルは漠然と思った。
 気付けば、体勢は綺麗に入れ替えられ、セバスチャンの上に乗り上げる恰好で抱き上げられていた。
けれどその上下が、本来抱き合う行為と逆だったことに、シエルは瞠然となった。
「なっ…っ!」
 咄嗟にどんな反応をしていいのか判らず、困惑する。真っ正面にセバスチャンの脈動が在るのに、シ
エルは自分に強いられた恰好に初めて気付いた。
「嫌だ……っ…っっ!」
 セバスチャンの頭を挟んで開かれている下肢。当然その真下には淫猥に笑っているセバスチャンの
顔が在る。下からすべてを見られている羞恥と、セバスチャンの真上に崩れそうな躯。慌てて腰を浮か
して逃れようとして、失敗する。今まで以上の婬らな格好に引き摺り戻され、花莟と自身を同時に玩弄
される羽目に陥った。
「さぁ、これで心置きなく続きができるでしょう?私もたっぷり、坊っちゃんを可愛がって差し上げられます
し」
「ひぁぁっ…っ!やっ…、やめ…っ!」
 とんでもない科白に、けれどシエルに抗う余地はなかった。ガクンと引き攣るように細腰が竦み、不安
定な体勢を余儀なくされる。
「いや……っ!」
 容赦ない愛撫に曝され、しゃぶられ達するのはいつものことでも、真下からしゃぶられるのは初めてで、愛液が極自然とセバスチャンの口に垂れていく卑猥さに、シエルは激しく抗った。
 ガクガクと小刻みに顫え、崩れそうな下肢は、けれど当然崩れることもできず、シエルはすすり歔きな
がら、嫌々と頭を揺すりたてる。それでも、素直に反応するあさましい躯の動きはとめられなかった。
「坊っちゃん」
 さぁと促す囁きに、シエルは嫌々となりながらも、諦めたように弱々しく顔を伏せた。
どれだけの哀願も、こんな局面のセバスチャンには一切通用しないと、それはシエルが学んだ結果だ。
セックス最中のセバスチャンは、優しいくせに凶悪的な程、幼い躯には持て余す快楽を注ぎ込んでくる。まるで執着していると、勘違いしそうになる程に。
「う…っ、ん…っ…ん……」
 口内で脈打つ性器は、容赦なく圧迫を増す。すすり歔きの吐息を漏らしながら、シエルは拙い愛撫を
繰り返す。けれどそんなシエルに、セバスチャンは容赦がなかった。逃げ腰になる細い腰を固定すると、舌先で収縮する肉の入り口を舐め上げる。
「ひぁっ…!」
 柔らかい肉を掴んで、左右に大きく開かれていく双丘。閉ざされていた狭間が外気に曝され、シエル
は小さい悲鳴を零した。
「鳴呼、何度穢しても、綺麗な色ですね」
 内側の肉の色さえ垣間見せ、ヒクヒクと蠢く粘膜の柔らかさ。ねっとりと絡み付かせて舌先で可愛がっ
てやれば、今にも吐精してしまいそうに幼い性器が顫える。
「やっ…!見るな…!」
 咄嗟に腰を引こうとした瞬間、味わうように秘花を舐めていた舌先が潜り込んでくるのが判った。
「やぁ…っ!もぉ…そんな…しないでぇ……」
 今にも吐精してしまいそうな自身の根元をやんわりと包まれ、吐精を塞き止められる。そしてその合間
には激しい収縮を見せる胎内に舌先を潜りこまされ、その灼け付くような強烈な快感に、壊れそうな程、オッド・アイの瞳を見開いた。強烈すぎる快感に、怯えさえ感じた。
「お口がお留守ですよ」
 促すように囁かれ、舌先と同時に、節のある長い指先に脆い粘膜を掻き回されていく。その感触に堪
り兼ね、シエルは細い悲鳴を上げると、ガクンと下肢が崩れた。
「ひぁぁ…っ!」 
 崩れた拍子に、舌先と指先が更に潜り込んでくるのに、シエルは嬌声を張り上げる。キュッと窄まった
胎内が、指先と舌先を締め付けた。
 極端に弱い場所を掠めていく指先。けれど本当に欲しい刺激は与えて貰えず、今にも狂ってしまいそ
うな快感に泣きじゃくる。
「あぁんっ…、これの…何処が…、誕生日の……」
 プレゼントなのか?今更の疑問に、すすり歔きを高くして、シエルが細腰を逃がそうと膝を立てれば、
セバスチャンはあっさりと細腰を抱えて引き戻す。
「この体位は今までしてなかったですからね。言ったでしょう?一つ大人になった坊っちゃんに、大人の
プレゼントをして差し上げると」
 今までこの体位はとっておいたんですよと、嘘とも本気ともとれる優美さで笑う悪魔に、シエルは淫蕩
に耽った眼差しで背後を振り返った。
「離せ!この鬼畜外道!」
「外道は当然ですよ。私は悪魔ですから」
 一体何処の誰から仕入れた言葉かは、容易に想像が付く。外道は仏教用語だ。あの底の知れない
中国人は、一体何を教え込んでいるんだと、セバスチャンは内心で呆れた。
「ホラ、坊っちゃんの中はこんなに素直に、私が欲しいと言っているのに。上の口は素直じゃありません
ね」
 押し込んだ指先を二本に増やし、快楽に弱い粘膜を擦り上げる。その瞬間、短い悲鳴を零して、細い
躯が崩れ落ちた。
「欲しくないなんて…言ってない…っ!」
 大体さっきから碌でもない戯れを繰り替えさせていたのは何処の誰だと、シエルは喘ぎながら内心で
罵倒して、それでも肉の奥を灼いていく快楽の深さに抗うこともできず、セバスチャンの愛撫に腰を揺す
り立てた。
「…僕を雌にした責任くらい…とれって言った」
 んんっと、細い嬌声を上げると、崩れた躯を気怠げに起こし、シエルは陶然と背後を振り返った。それ
はいっそセバスチャンが呆れる程、綺麗で意味深な笑みをしている。
「何も聴いてないのは、お前じゃないか」
 執着などないくせに、勘違いしそうになる言動と優しさ。本当は独占欲なんて欠片もないだろうに。
躯を繋げても、永久に交わらない落差ばかりが付き纏う。
「僕は一言も、欲しくないなんて、言ってない」 
「坊っちゃん…」
「お前は…大概、厄介だ……」
 躯を繋げれば繋げた分だけ、遠ざかる距離。従順になる程、すぎる快楽はくれるくせに、本当に欲し
いものは何一つ与えてくれない。
 シエルは熱の塊のような性器に顔を伏せると、絞り上げるように喉の奥で吸い上げる。
「…坊っちゃん……無茶はしないで下さいよ」
 セバスチャンは呼吸一つ乱すことなく、勝ち気な幼い主の姿に喉を鳴らした。この場合の無茶は、この
後にシエルがとるだろう行動に対してのものだ。こんな時のシエルは何処か不安定で、切っ先の上に
立つ以上の脆さを垣間見せる。
「誕生日プレゼントなんだろう?我が儘言うな」
 性器から顔を上げると、口許を伝う精液を指先で舐め上げ、シエルはくるりと態勢を入れ替えた。
 ペタンとセバスチャンの腹の上に下肢を開いて座り込むと、次には躊躇いがちに腰を浮かす。トロリと
滴る愛液が糸を引き、セバスチャンのシャツを穢していく。
「できますか?」
 シエルが何をしようとしてるのか、セバスチャンには丸判りだ。柔らかい嘲笑と、それと同じ位置で労
る言葉を口にすれば、シエルは半瞬、泣き出しそうに貌を歪め、次には勝ち気な瞳がセバスチャン見下
ろした。
「……んっ…るさい…」
 精液を滲ませる肉棒を握り、照準を合わせるようにその上に腰を落としていく。雄を受け入れる浅まし
い姿が丸見えの恰好に、シエルは硬く眼を瞑った。
 幾ら決心しても、恥かしいものは恥かしい。そして自らこの昂まりを受け入れるには苦痛を伴うことを、
シエルは知っている。少ない回数とはいえ、初めての体位ではなかったからだ。
「あっ……んぅ…んっ……」
 収縮する花莟に肉棒の先端が触れると、流石に自ら受け入れることに気後れしたのか、シエルはそ
こで固まったように動きを止めた。喘ぐように顫える秘花が、半瞬キュッと萎縮する。
「どうしました?」
 緩い笑みとともに下から促すように突き上げれば、シエルは咄嗟に逃げ腰になり、腰を浮かせた。
それを許さず華奢な腰を押さえ付けると、セバスチャンは腹の上へと引き戻した。
「あん…やっ…、だぁ…」
 反射的に腰を押さえる手に爪を立てれば、ゆるゆると最奥を擦られ、シエルはすすり歔きを高くして、
背を撓わせる。
「いやらしい坊っちゃんの姿が、丸見えですよ」
 雄を受け入れようと蠢く肉の入り口。淡い翳りの中央で、濃い愛液を滴らせている幼い性器。屹立す
る乳首を引き潰すように摘み上げれば、反射的に崩れ込むように腰が落ちた。
「ひぁぁっ…っ!」
 つぷりと、胎内へと潜り込んできた熱の塊。爛れた脆い粘膜が否応なく擦られ、捲り返る。その瞬間、
背筋を走り抜けた電流のような強い刺激に、シエルは嫌々と大きく頭を揺すりたて、細い嬌声が切なげ
に響いた。
「やっ…待っ……」
 シエルの意思を無視して埋没してくる熱い塊。肉の輪で貫き通されたかのような生々しさで、ぎっちり
と押し開かれていく肉の入り口。その生々しさに泣きじゃくるように細首を揺すりたてると、シエルは落
ちていく下肢の動きを止めようと、セバスチャンの腹に爪を立てた。
 そして息を整え、ゆっくり腰を落としていけば、受け入れた雄の形そのままに、幼い胎内は軋みながら
押し開かれていく。何処にも隙間などないかのような、息苦しいまでの圧迫感。
「あっ…っ!だ…っ…、…だめ…っ…っ」
 幾ら慣らされた躯とはいえ、雄を受け入れる痛みが消える訳ではなかったから、受け入れる瞬間に身
構えてしまうのは仕方ないだろう。けれどシエルは痛みさえ甘受し、まるで快楽を丸呑みするかのよう
に、セバスチャンとの行為に耽溺していく。
「お上手ですよ……」
 生温い粘膜に包まれ、流石のセバスチャンも平静ではいられなかった。男を包み込む術を知っている
女の胎内のように、幼い胎内は、埋没した性器をやんわりと包み、四方から絞り上げていく。
 女の躯のような肉感的な感触はないものの、包み込んでくる胎内の柔らかさは、下手な娼婦では足
許にも及ばないだろう。男を陥落させる天性の淫売婦のような婬らさを、シエルは内側に隠し持ってい
る。そのくせ何も知らない少女のような無垢さと、誰の手垢も付いていない処女のような清潔さを持って
いるから始末に悪い。何度抱いても、幾ら跡を付けても、シエルは穢れなど素知らぬ顔で、綺麗なまま
だ。それがセバスチャンには少しばかり痛ましく思えた。
「あっ…セバス…チャ……もぉ……」
 んんっと、噛み締めた口唇から嬌声を漏らし、切なげに眉を顰めて背を撓らせる。根元まで受け入れ
たセバスチャンの雄が、ドロリと充血する柔らかい肉を捲り上げていくのに、背筋が灼かれそうな眩暈を
感じる。
「後ろだけでイクなんて、本当に淫乱になりましたね」
 胎内に雄を受け入れ、敏感な箇所を僅かに擦れば、触れられることなく達するように、シエルは作り
替えられている。
 器の性別に相反する雌の中身。嫌味半分、本気半分、シエルがセバスチャンに向かい『自分を雌にし
た』と軽口を叩く理由の一つだ。
 作り替えられていく脆い内側。たった一人の男を受け入れ、歓喜する胎内。その浅ましさをシエルは
よく判っている。そのくせ自分の気持ちには、鈍いのだから、劉や葬儀屋に言わせれば子供だというこ
とになる。 
 セックスは知っていても、その意味は知らない幼い生き物。そんな幼い生き物にセックスを教えた独
占欲を、セバスチャンは自覚していた。
「んん……そんな…の…お前の所為だ…」
 他の誰も知らない、唯一の男に作り替えられた躯。第一自分の意思が介在した結果だとしても、他の
男に抱かれたりしたら、主人の命がなくても、報復はすると宣言しているセバスチャンだ。他人を巻き込
む騒動など起こす気にもなれない。尤も相手は悪魔だ。何処まで本気かは判りようもなかったけれど。
「さぁ、ご自分でイッて下さい」
「…お前…最悪だ…この外道…人でなしっ!」
「ええ、ですから私は悪魔ですから」   
 外道も人でなしも当たり前ですよと優游と笑い、容赦なく腰を突き上げる。シエルの最も感じる脆い場
所を丹念に擦り上げてやれば、シエルが激しく泣きじゃくった。
「あぁんっ…!やっ…ぁっ…そっ…、んな…っ!」
 軋みを伴い、ぎっとりと隙間もないくらいに押し込まれた雄。敏感な部分を容赦なく擦っていく昂まりに、強烈な快感が背筋を這い上がっていく。まるで脳髄の深みまでセバスチャンという毒に犯されていく
快美に、シエルはセバスチャンの腹の上で、激しく腰を揺すり立てていく。
「…セバスチャン…いっ…いぃ…」
 耽溺しきった陶然とした表情は、自堕落に耽る堕天のそれだ。そのくせ何も知らない処女のような幼
い姿。相反するものを等分に合わせ持つ、整然とした矛盾。
「坊っちゃんも私のことがいえないくらい、人でなしですよ」
 悪魔をも陥落させる肉体を持っているのだと、シエルは死ぬまで気付かないだろう。
「さぁ、見せて下さい」
「ぁぁんっ…んっ…ぁん…っ、やだ…ィ…ィク…イッちゃ…」
 ぐちゅぐちゅと響く、濡れきった粘着音。敏感な箇所を容赦なく擦り上げられ、爛れた肉襞が捲り返る。肉の入り口一杯に頬張るように、嵌められた肉の輪。
「あっ…!やだ…セバス…チャ……ッッ!」
 ダメっと、半狂乱の嬌声が迫り上がる。
息苦しい程の圧迫感を増す悪魔の性器。その形のままぎっちりと押し開かれていく柔らかい肉。胎内
はドロドロに爛れている。
「今夜は坊っちゃんのバースデープレゼントですから、未々沢山可愛がって上げますよ」
 さぁ綺麗な姿をもっと見せて下さいと、激しい威勢で腰を突き上げ、胎内を掻き回せば、シエルは掠れ
た嬌声を放って細腰の動きを深めていく。
「やだぁ……ィク……っ!」
 眼の眩むような絶頂が目前に迫り、シエルは頑なに瞳を瞑った。セバスチャンの眼前に浅ましい程曝
された姿に、今更の羞恥が湧いたからだ。けれど快楽に慣らされた躯は快楽を丸飲みする程に浅まし
い従順さを曝け出し、躯はシエルの意思を無視して、貪婪なまでに絶頂を求めて揺れ動く。
「んんっ……やっ…あぁっ…もぉ…イ…ク……っっ」
 ぐちゅぐちゅと爛れた音が淫猥に響き渡る婬らさに、シエルは錯乱したように思う様を腰を喘が、擦り
付ける。
「さぁ、坊っちゃん」
 イクところをちゃんと見せて下さい。
そう笑うセバスャンに、シエルは堅く瞑った瞳を薄く開き、淫蕩に耽った笑みを覗かせた。
「んんっ…セバスチャン……」
 忍び笑いともとれる淫靡な笑みに、セバスチャンはゾクリと背筋を灼かれる欲情を味わった。
 処女と娼婦の両極を合わせ持つシエルの内側。それが綺麗に現れるのは、いつも決まってこんな時
だ。人形のような妖冶な忍び笑いは、けれどシエルに自覚は皆無だ。たった一人の男を欲する時、シエ
ルは内側から変容する。
「あぁっ…っ!ひぁぁんっ……っっ!」
 ぐっと細腰を擦り付け、限界まで背が撓う。華奢な躯は激しい吐精にびくびくと顫え、淡い愛液が互い
を穢した。その瞬間、ギュッと絞り上げられる胎内の感触に軽い呻きを放ちながら、セバスャンは射精を
持ち越した。
 放心の態でくったりと崩れ落ちる躯。それを受け止めると、セバスチャンはゆっくりと姿態を入れ替える。焦らされ続けた絶頂の余韻に落ちているシエルは、そのまま意識を手放すことも許されず、再び容
赦ない愛撫に曝される。
「やっ…もぉ…セバス…チャ……」
 どろどろに突き崩された胎内。焦らされ続け、漸く達した余韻に、躯は痺れて疲れきっている。それで
も未だ許してくれない悪魔に哀願を口にすれば、セバスチャンは莞爾と微笑んで口を開いた。
「十三歳のお誕生日ですから、十三回イカせて差し上げますよ」
 嘘か本気か境界も判らない笑みで微笑まれ、シエルが呆れて瞳を見開いた。
「一つ大人になられたお祝いです」
「外道の上に変態なんて、最悪だぞ、このエロ悪魔!」
 まるで「ご褒美ですよ」という言外でニッコリと微笑まれ、それでいて根深い内側で、セバスチャンの何
かが葛藤している気分にさせられる。
 契約以外の部分で、獲物に対する執着などないだろうに、つい勘違いしてしまいそうになる優しさを見
せる狡い悪魔。本音は一体何処にあるのかと思う。けれど探り見ても、表面から見える底の揺らぎなど、セバスチャンは決して見せてはくれない。
「葬儀屋がお前は許容量が広いとかなんとか言ってたが、死ぬ程狭いじゃないか」
 抱き締められた腕の中でシエルがボソリと呟くのに、セバスチャンは余韻に顫える淡く色付く首筋を舐
め上げながら、クスリと小さい笑みを滲ませる。
「ええ、私を買被っていただいては困ります。坊っちゃんに対しては、死ぬ程心は狭くできていますから。だからあまり私を怒らせないで下さいね」
 これでも自制しているんですよと笑えば、シエルはキョトンと幼い仕草で瞳を瞬かせ、首筋を舐め上げ
るセバスチャンに視線を向けた。
「……執事のお前が、主に対して何を怒るって?」
 弛緩しきって、力など一切入らない指先で、力任せにグイッと闇色の髪を引っ張り上げれば、セバスチ
ャンは科白とは裏腹に、ワインレッドの双眸が柔らかく凝視する。
「誰にでもできることが難しい坊っちゃんには、判らないかもしれませんが」
「………僕の方が怒るぞ」
 セバスチャンばかりか、劉や葬儀屋にも散々言われてきた科白は、一様に揃って「勿論、褒めている
んだよ」と笑うが、シエルに言わせれば、判らないことだらけだ。本気で褒め言葉だったら最悪だと、シ
エルは漆黒の髪を引っ張りながら、虚空に視線を向けた。
「下らないことを考えるより、気持ちよくなった方が、心も躯もラクになれるっていう程度に、単純な話で
すよ」
 深淵から見れば表こそ闇。だったら、その狭間に立ち尽くす人間にとって、穢れは一体何になるのか?黒でもなく、白でもなく。都合のいいグレーなど、シエルには最も遠い色だろう。
「アナタの悪い癖です。少しは自分を労りなさい」
「………主人を好き勝に扱ってるお前に言われたくないぞ、エロ悪魔」
 悪い癖。それも劉や葬儀屋に言われている科白だ。けれど彼等が一体自分の何処を見てそんな発想
に向かうのか、シエルには判らないことだらけだ。何か勘違いしているんじゃないのか?そんな風にさ
え思う。
「坊っちゃんは私の獲物。勝手に疵を付けられては困るんですよ。たとえアナタ自身が付けた疵でもね」
 ゆるりと笑うワインレッドの双眸。首筋から耳朶を舐め上げ甘噛みに曝すと、ほっそりした下肢を抱え
上げる。瞬間、ヒクリと物欲しげに、最奥が蠢くのが見えた。
 セバスチャン自身達してはいないが、雄を受け入れ達したシエルだ。幼い胎内がヒリ付く欲情に爛れ
ているのは丸判りだ。
「……執着なんてないくせに、独占欲ばっかり見せつけて、お前は最悪だ」
 本当は独占欲や征服欲もないだろう。長い時間を生きる暇潰し。人間に関わり求める代価は、所詮こ
の悪魔にはその程度の価値だろうなと、シエルは内心で自嘲する。
 死んだら魂はこの悪魔のもの。その意味さえ、生きている間には判らない。
「お前達にどんな風に見えてるか知らないが、僕は自分が可哀相だなんて思ったことは一度もない。
深淵に立つと決めたのは僕の意思だ」
 だから沈む時も独りでいいと、シエルは半眼、瞳を閉ざした。それは切っ先の上に立った時から、決め
ていたことだ。
 表と裏の狭間。底のない深淵。落ちる時は、きっと溺れる時だ。
「魂はお前にくれてやる。躯もお前にやった。もう残っているものなんて、いつ訪れるかも判らない死ぬ
権利くらいじゃないか」
 十三年前の今日、生んでくれた母親。誕生日は生んでくれた母親に感謝する日だと教えてくれた優し
い叔母。こんな科白を男に抱かれながら言っていると知れれば、墓の中で泣かれるかもしれない。叔母
には叱責され、きっと泣かれるだろう。愛娘の婚約者が、男に抱かれていると知れば尚のこと。
「確かに。魂も躯も差し出して頂きましたが、未だ肝心な部分を頂いてませんね」
 自己に執着を持てないシエルの後遺症。安全も危険も同じ位置にある、磁石の機能しない秤。
「強欲は身を滅ぼすと、ランドル卿が言ってたぞ」
「強欲などではありませんよ。当然の権利を主張しているだけです」
 下肢を左右に押し開き、昂まりきっている自身を幼い胎内に挿入する。
「ぁぅっ……っ!」
 性急に挿入され、白い喉元が苦痛に喘いだ。ぐちゅりと音を立て、埋没してくる切っ先のような熱さ。
大きく掻き回しながら奥へ奥へと潜り込んでくる脈動に、シエルは下肢を引き攣らせながら、縋り付くよ
うにセバスチャンの背に腕を回した。
「だから、判らなければ、判るまで考えて下さい。来年でも、再来年の誕生日でも、答えが見つかるまで」
 回答を見るまで、結果は判らないっていうのが、アナタの持論なんですからと、セバスチャンは鷹揚な
笑みを刻み付けると、自身の根元まで深々含ませ、痛みと快楽に喘ぐシエルの口唇をきつく塞いだ。



【コメント】
3巻発売記念の、シエルお誕生日話。本誌でシエルの誕生日が12月となってたので、勝手に捏造。
捏造と妄想こそ、二次創作の醍醐味(大笑)
いっそ24日や25日なら面白かったと思うのですが、違ってたから、ちょい残念。救世主たる神の子と
同じ日に生まれた子供が、悪魔と契約して抱かれてたら、それはそれで面白いと思ったんですれど。
エロシーンは、毎度手緩くてすみません(汗)いや〜和/姦って萌えなくてね(大笑)道具とかクスリと
か使って、坊ちゃんにあーんなことや、こーんなことする鬼畜外道なセバスが書きたいんですが(汗)
ってことで、時間できたら裏でも作ろうと思います。