| 一緒に居て、それが当然だと思える程、一緒に在る。 それって案外すごく奇跡的な確率で、 本当はとんでもなくスゴイ事なのかもしれない。 大切なのは場所ではなく、そこに存在するダレか。 |
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| そこに在る者 |
| 願わくばどうか… その天性の才が、これ以上彼を傷つけていかないように…。 そして、同時に… もっともっと、疵を深めて曝し出して…。 |
「テニス日和だなぁ」 正午を少し回った時刻。駅前のショッピングモールを闊歩し、桃城が高い空を見上げ、不意に笑った。 先刻から、擦れ違う女達から投げられる視線や、聞こえるように囁かれる好意的な声にも、桃城は気にした様子もなく優游と闊歩している。その様を見れば、見られる事にも、好意的な視線や声にも、慣れてしまっている。そういう事なのだろうと、リョーマは少しだけ苛立つ胸の感傷を味わい、桃城の隣に並び、歩いている。 「何それ?」 周囲の視線をまったく意に介さない桃城の科白に、リョーマは呆れながら、つられて空を見上げた。 駅前と言う事もあって、それなりに高いビルが建ち並ぶ場所から見上げる空は、所々に視界を切り取られているが、少しだけ視線を前へと向ければ、遠くて綺麗な蒼が一面に広がっている。紗のような白く薄い雲が、所々にその蒼さを霞ませてはいるものの、一面に広がる蒼は、西高東低の見事な冬晴れを現していた。 リョーマは閑舒に歩きながら、横着にハーフコートの中に突っ込んでいた片手を、スラリと空へ伸ばした。 ビルに遮られ切り取られる視界。杳然と広がるその蒼に、フト触れられそうになって、リョーマは時折そんな仕草をする事を、桃城は知っていた。 遥遠と広がる美しい蒼。手を伸ばして見た所で、決して届かないその美しさ。だからこそ、不意に焦がれる衝動が胸を衝きき上げて来る気がする。それは子供じみた仕草なのかもしれない。けれど、桃城がその仕草を笑った事がない事を、不意にリョーマは思い出す。 伸ばした腕をゆっくり下ろし、隣を歩く桃城を見れば、ひどく恬静とした笑みで、桃城はリョーマを見ていた。 「何スか?」 フト、子供じみた仕草をした事に、バツが悪そうに素っ気なく言うと、やはり桃城は深く笑った。 「ん〜〜?お前のそういう仕草、好きだなって思っただけたよ」 「……どうせガキだって言いたいんでしょ」 「お前ガキだろうが」 「桃先輩こそ」 「余裕ないとな、空見てそういう仕草はできないって事だよ。すかした手から、光が漏れてくるの、俺も案外好きだぜ」 笑うと、桃城は片手に荷物を抱えたまま、片手を前方に掲げて見せた。 「……悪党」 「何だよそりゃ」 今更のリョーマの科白に笑いながら、桃城は伸ばした腕の先に焦点を合わせて行く。 「こうしてると、マダマダって気になってくるだろ?」 すかした先に見える遠い蒼。掴めそうで掴めないものの距離。それでも、指の隙間から漏れてくる光。 触れられそうで、触れられないその距離に、焦がれるのは、別段恥じ入るものではない筈だ。連綿と空へと続く憧れが有るからこそ、人は鉄の塊の中に収まってはいても、空を飛ぶ事が出来るのだから。直接触れる事はできなくても、近付く事はできる。願い続けていれば、願い続ける強さが有りさえすれば、到達出来る可能性は、誰もが等しく持っている。 「あんた本当に、救いのないタラシ」 忘れてはいないし覚えている。それこそ、胸の奥に刻み付けるように、桃城が言った科白と共に、覚えている。 「そのタラシが、好きだろ?」 翳した手は、そのままリョーマの髪をクシャリと掻き混ぜて行く。 「あんた本当に、俺の事そうするの好きだよね」 テニス部では、既に桃城のリョーマに対するこの仕草は、誰にでも見慣れてしまった光景の一部だ。けれど、擦れ違うだけの往来で、この仕草は、他人にはどう映るだろうかと、リョーマはこっそり溜め息を吐いた。 別に嫌いな訳では無い。慣らされてしまったという言葉の方が、幾らか正確だろう。 最初こそ鬱陶しいと振り払っていた腕も、諦め悪くこんな仕草を続けられれば、慣れというものは出来てしまう。結局、桃城の勝ちと言う事なのかもしれないと、リョーマはやはり溜め息を吐き出した。 「気持ちいいんだよ、お前の髪」 「髪な訳?」 「柔らかいしな」 「……本当、莫迦」 呆れて脱力し、リョーマは再び空を見上げ、 「テニスもいいけど」 高い空に、フト家に残してきた愛猫の事を思い出す。 続く深い蒼い色は、可愛い大切なカルピンの瞳とあまりに酷似していたから、出掛け際、ついつい冷たくあしらってきてしまった愛猫を思う。 「カルピンと戯れて昼寝するにも、いいかも」 縁側は未々寝るには寒いだろうから、空の見える居間で。程よく暖房を効かせて。昼寝も悪くはないと思えた。 「お前本当、タヌキの事可愛がってんよな」 ペットを飼っている人間というものは、皆こういうものなのだろうか? ペットを飼った事のない桃城には、今一つ、二つ判らない部分だ。けれどリョーマがカルピンを大切に可愛がっている事だけは判るから、それだけ判っていれば、十分とも思える。 「そりゃね。カルピンはアメリカに居た時、親父が知り合いから貰って来たんだけど。生まれたばっかでさ、当時は病気とかして、あれでも結構弱かったんスからね」 「ヘェ〜〜タヌキがね。それで、可愛さも一入ってわけか。でもアレだな、親父さんがタヌキをねぇ」 南次郎がネコを貰って来ると言うのが、意外に思えた反面。だからこそ貰ってきたのだろうとも、思えた。 無責任な称賛と安易な羨望。付いて回る、偉大な父親の名。幾重ものレッテルとラベル。 そんなものに取り囲まれていた、当時のリョーマの精神状態や、周囲の状況を掻い摘まんで本人から漏れ聞いた部分を考え合わせれば、南次郎の行為は、それはリョーマの為のものだと判る。何かに執着を持ってほしかったのかもしれないと、桃城には思えた。テニスだけではなく、周囲に散らばる何かに対して。愛猫の姿を校内で見つけ、泣き出しそうな表情を曝す程度には、南次郎の思惑は、成功したのだろう。 「大体、あんたがいけないんスよ」 「何だよ」 出掛け際の事を言ってるのだと、気付かない桃城ではなかったが、そのやり取りを思い出し、笑う事しかできなかった。 「あんな事、いつの間にカルピンに教えたんだか」 異様に桃城に懐いているのは判っていたが、何もそこまで懐かなくてもいいだろうと、リョーマは思う。その懐き様が、南次郎に言わせれば『ペットは飼い主に似る。その典型だな』とネタを提供する事になるから、尚更だ。 「まぁいいんじゃねぇ?可愛いだろうが」 「そりゃあんたは悪戯教えた張本人で、それが成功したからいいでしょうよ」 悪戯される方の身としては、些か心臓によくない悪戯だ。 「そう拗ねるなって」 「桃先輩、莫迦?」 眇めて見せれば、桃城は腹が立つ程恬豁な態度を崩してはいなかった。そればかりか、益々深い笑みで笑われるだけで、睥睨など何一つの効力はなかった。 「何処に悪戯されて喜ぶ人間居るって?」 「でもお前、怒ってないだろ?」 「怒って無い、イコールで、拗ねるって思考回路しかないんスか?」 あんたの頭は得体がしれない。リョーマはそう呆れ、肩を竦めた。所詮桃城相手に何を言っても無駄な事は、学習している事だ。 「可愛いペットの悪戯の一つや二つ」 「フーン、だったら、眼に入れちまいそうな程大事な俺が、あんたにとんでもない悪戯仕掛けても、文句言わないっスね?」 反駁とばかりに、リョーマは隣を歩く桃城を下から覗き込むように笑うと、口端だけの笑みを垣間見せる。 「……お前…その笑い方、俺以外の前でやるなよ」 下から覗き込まれるその笑みに、桃城は深々大仰に溜め息を吐いて見せた。 桃城の反応が判ってやっている所が、リョーマらしいと言えばリョーマらしいが、天然だったら、それこそ始末に悪い。 「さぁね?」 悪戯気に笑うと、リョーマは人込みに溶けて行く。 綺麗な姿だと、桃城はその後ろ姿を見ていた。 一本芯が入ったかのように伸びやかに、靭やかに歩く後ろ姿。どれ程の群れの中にいても、あの綺麗な生き物の存在は見つけ出せるだろう。そんな下らない感傷が胸を過ぎり、 「ったく、俺もまだまだだな」 桃城は苦笑を深めた。 「何やってるんスか?置いてきますよ」 天然色が不意に振り返り笑った感触が、桃城の背筋を焦がして行く。どれ程の群れの中でも鮮やかな姿は、身の裡柄から削り出された色を塗り潰して行くかのようで、その透明度が、綺麗な反面。怖いとも思う。 一体リョーマの身の裡から削り出されて行くものは、何かと思う。何を代償に、リョーマは切っ先を細めていくだろうか?先へ行けば行く程細く困難になって行くを歩き出したリョーマは、その内側に何を蓄え、削り出されて行くだろうか? 願わくば……。 遠く綺麗な美しい蒼。その光景に溶ける事なく、在り続けてくれたら、そう思う。 「桃先輩」 焦れたように呼ぶリョーマに、半瞬苦笑し、桃城は鷹揚に歩いて行く。 「あんたねぇ、こんな時も半歩後ろ歩いて、立ち止まってないで下さいよね」 続く未来への距離。敢て隣ではなく半歩の距離を置き、背後から見守ろうとする桃城の過保護さは十分判ってはいても、流石にこうして出掛けている今。半歩後ろを歩かれ、まして立ち止まられたら、たまったものではない。実際問題、通行の邪魔だ。 「ホラ、あんたにとっては可愛い我が子みたいなカルピンが、腹空かして鳴いてますよ」 こうして昼から出掛けているには、訳が有る。桃城が持っている荷物は、駅前に有るペットョップの袋で、中身はカルピンのペットフードと新しいネコじゃらしだ。 「自転車で来れば、早かったのに」 「こんな混んでる場所、自転車で走る方が面倒だろうが」 「どうせ漕ぐの、俺じゃないし」 「お前なぁ〜〜」 大仰に脱力して見せれば、リョーマは可笑しそうに笑うばかりで、愛しさしか沸かなくなる。 実際、と思う。 本当に手放せるだろうか?狭まった距離を代償に、近くなってしまった魂を、その時本当に自分は手放す事ができるだろうか? 歩き出したリョーマを見守る強さ。同時に、足掻く強さを。手放さない為の努力を、怠るつもりは微塵もない。正月に、南次郎にも言われた事だ。 『手放すなんて言いやがったら、今すぐ追い出してやってたな』 笑いながら軽口に紛らせ、語られた南次郎の情素。その背後に横たわるものを、読めない桃城ではなかった。あの時の南次郎は、珍しくも桃城の前で、随分感情を現していた。いたと言うより、敢て隠していた部分を、垣間見せたのだと、人の機微に鋭い桃城が気付かない筈はなかった。 『それでも、もし、手放すなら、今すぐあいつの手を離せ。理由も言い訳も一切しないで、あいつの手を離せ。未だ、間に合うからな』 誰かに掲げる執着というものを、南次郎がリョーマに対して持ってほしいと願っていた事を、その時始めて、痛い程理解した。 『俺は、離しませんよ。今更』 『上等だ』 冷ややかに笑った酷薄な笑み。決して笑わない眼の底。身震いする程の切っ先を、突き付けられた気がした。 それでも、未来への可能性を互いに持ち続け、互いに離れて行く道は有る。別れではない別離は存在する。その時、自分は冷静でいる事が、何処まで出来るかの自信など、実際、桃城にはなかった。 理解と感情は別物だ。理性的な冷静さで理解しても、感情が納得しなければ、結局力づくが前に出る。 番う一瞬でさえ、離れる時の感傷は一入だと言うのに、実際そんな局面になったら、冷静でいられる自信など、身の裡の底まで漁っても、ない気がした。 「っ痛ぇっ!」 不意に足先に痛感を感じ、桃城は声を上げた。隣を見れば、リョーマが呆れた顔をして、桃城を見上げていた。 「あんた莫迦?」 半瞬眇めるると、リョーマはスタスタと先を歩いて行く。 今度は振り返る気も、立ち止まる気もないのか、桃城の声にも歩調は緩む事はない。 「オイ、ちょっと待て越前」 桃城の声にも、リョーマは振り返らない。振り返らず、ショッピングモールが途切れる場所まで、足早に歩いて行く。 スタスタと歩きながら、決して人にぶつかる愚をしない。その見事な歩きに、桃城はいっそ関心してしまった。反射神経が並ではないのは、そのテニスを見ていれば判る事でも、こうして背後から見ていれば、それはこうして何気なく歩いているだけでも判ってしまう。 前後左右、人の群れの中で、リョーマは器用に避けながら歩いて行く。まるで溶け込むかのように、綺麗な所作だ。 このまま呼び掛けてみても、リョーマが振り返らない事など、その付き合いで判っているから、桃城は歩調を早める事はなく、リョーマの背後を歩いて行く。むしろ今は見ていたいとさえ思えた。その綺麗に歩いて行く姿を。 「あんた莫迦?」 ショッピングモールを抜け、人込みが途切れた時。漸くリョーマは歩調を止め、クルリとターンする優雅さで背後を振り返り、振り返りざま、左手人差し指を一本。桃城の前に突き出した。 「怒るなよ」 こんな時ばかり、勘が働くのも考えものだと、桃城は苦笑する。 「俺は、歩いて行くって決めたし、言ったし。人が同じものを見れるなんて、そんな下らない感傷、持ってないから」 綺麗なものに紛らせて願う醜い内側など、自覚している。こうして大切にされて尚。一番に選ぶ事はできなかったのだから。 「人なんて、皆好き勝手に何かを感じて生きてる程度、知ってるから」 それでも、テニスしか知らなかった過去に比べれば、今は随分マシになったと思う。抱き込んでしまったものは、計り知れない重さと切なさを与えてくるけれど、等分に、柔らかいものも随分与えてもらっている。 「何も代償もなしに得られるものはないって程度、俺は知ってるから」 桃城ではなく、テニスを一番に選んでしまう。どれ程の選択肢の中でも、どうしてもテニスが優先されてしまうのだ。何もかも放棄して、桃城を選べたらラクだっただろうに。そうできない自分のテニスへの拘りを、リョーマは身にしみている。失いたくはないと思うのに、結局テニスしか選べない、醜い内側。 「ひっぱたくぞ」 それはきっと、リョーマが初めて聴いた、腹の底に切っ先の怒りを秘めた、桃城の声だ。 その声と視線に見据えられ、リョーマは首根っこを押さえられた感じがして、不意に息苦しくなる。 「ちょっと来い」 細い手首を掴むと、桃城は歩いて行く。 「痛い…桃先輩…痛いってば」 どれ程叫んで抗って見ても、桃城の手はピクリとも動かない。真剣に、本気で怒っているのだと思い知って、リョーマは身震いする。いつも莫迦みたいに慎重な桃城を、初めて怖いと思った。 ショッピングモールから一歩路地を入れば、案外抜け道も、狭い路地に身を隠す場所もあるものだ。その一角に、桃城はリョーマを引きずっていった。 裏路地の一角の細い道に引き摺られれば、其処はショッピングモールのビル達の舞台裏なのか、表の装飾された綺麗さとは相反する、素顔を覗かせる適度な汚れが滲んでいる空間だった。 「……桃先輩…」 怒っている時まで慎重に、桃城はリョーマを壁に押しつける格好で凭れさせた。けれど今はその慎重さが、逆にリョーマには恐ろしかった。 真上から見据えられれば、襟首を掴まれる感触に、自然気後れする。笑顔を盾に使用する桃城の、滅多な事では外部に噴出される事のない本質を、リョーマは突き付けられる感じがした。 底冷えする程の冷冽さ。試合最中の肉食獣を連想させる剽悍さなど、未々甘かったのかもしれない。知った気になっていて、実際何一つ知らされてはいなかったのだと、思い知る気がした。 当然だ。相手は南次郎も嗤う青学の曲者だ。簡単に手の内など、読ませてくれる筈もなかったのだ。 「お前にとって俺が枷にしかならなかったら、今すぐ此処で俺を捨ててけ」 『理由も言い訳も一切しないで、手を離せ』 そう言った南次郎の気持ちが、痛い程良く判る。本当に、大切にしてるいのだ。傷付けてしまった愛息を。その可能性を。確かにリョーマが選んだ結果、テニスを放棄するなら止はしない。止める権利など、持ち合わせてはいない事くらい、桃城とて理解していた。それでも選んだのなら。 「……」 瞬き一つなく見据えられ、リョーマは半瞬視線を逸らした。初めて怖いと意識した桃城の本質。見誤っていた甘さに、反駁などできよう筈もなかった。 「俺は」 其処で桃城は深い息を吐いた。リョーマより一回りは大きい掌中が、身動ぎもせず、立ち尽くす薄い肩に触れた。瞬間、ピクリと、細い躯が慄えたのが判り、桃城は益々溜め息を吐き出した。 「俺は、枷になるつもりはないし、代償にもならない。俺は俺の道を、歩く事しかできないからな」 怯えるかのように身動ぎするリョーマに、桃城は触れた肩から手を離すと、繊細な輪郭を片手で包んだ。 「何であんた本当にそんな…」 莫迦だと、瞼の奥が、どうしようもなく熱くなる。けれど決して泣いてなどやらないと決めていた。桃城の前では泣かない。泣く時があるとすれば、涙を見せるとしたら、今この瞬間ではない。そんな簡単に、見せてはやらない。 「The couragw to be alone」 それは別段代償ではない。幾重かの下らない感傷を感じてしまったとしても。 「……悪党」 一緒に在る為に別れて行く勇気を。代償ではなく、夫々の時間の中で一緒に在る為に別れて行く勇気を。一人になる強さを。望む事の困難さ。求める事の難しさ。それでも叶えたいのなら。 「詐欺師……」 どれ程の強靭さがあれば、立っていられるだろうか?こんな風に。泰然と、揺るぎなく。 「詐欺師も生涯一回くらい、真実話すさ。だから詐欺師なんだよ。それに、三度は言わないって言ったぞ」 尤も、リョーマを此処まで追い詰めてしまったのは自分だろうと、桃城は自覚している。 削り出されて行く何かを代償に、強くなっていくその強さが、どうか脆さと引き換えではないように。 「本当は、まぁ切り捨ててく方が、簡単なんだけどな」 狡い言い口だと、百も承知している。悲しければ、ゼロに戻し、切り捨てて行く方が遥かに楽なのだ。代償もその時一回で済む。執着など知らず、何者にも心を捕われる事はなく。無機質な姿で歩いて行く方が、実際楽だろう。けれどだからこそ、南次郎は願ったのだろう。無機質に擦れ違う人の群れの中。執着と言う感情を。 傷付くと承知して、リョーマにその感情を覚えさせたかったのだと。今なら、桃城にも判る事だった。十は判らない、察する程度の理解ではあるが、何故あの時南次郎が、珍しくも感情を覗かせた眼をして話したのか。ある意味、それは言葉ではない何かを、託された気分にさせられる。信頼でもなく、信用でもなく。語られた眼差しの底冷えする深さは、今も忘れられない。 「歩いてくんだろ?」 「…そうだね」 「上を目指して」 険しい戦場のような場所を模索して。 「あんたも、歩くんでしょ?」 離れない為の努力をすると言った桃城の、その具体的な道筋など、聴いた事はない。きっと訊いても話してはくれないだろう。それだけは判っていた。 「ああ、俺は俺の道を歩いて行く。お前はお前の道を歩くんだ」 誰だって、好き勝手に何かを感じ、生きている。まさしくリョーマの科白は正鵠を射ている。 結局、誰だって自分が可愛いのは当たり前だ。それは別段恥ずかしいものではないだろう。誰もが単純に根っこの部分に持っているものだ。自分を大切にできない人間に、他人を大切にする事はまず不可能だ。 こうして同じ光景を見ても、眼球というレンズを通し、意識下の感性に触れれば、それは驚く程違って来る。実際、同じ物など、見える事はないのだ。見える事はないからこそ、そうと認識する事が、本当はとても大切なのだろう。其処から始まらなければ、意味などきっとない。 「大体、お前が言ったんだぞ」 サラリと、項の髪を梳き上げ細い首筋に触れれば、擽ったいのか、リョーマは肩を竦めた。 「何?」 「足の一本千切れても、腕が折れても。最後の最後には辿り付くって」 「ああ」 思い出し、リョーマは可笑しそうにクスリと笑った。 吹っ切れたと思った矢先に生じて来る迷いと痛み。まるで餓えるかのように生じてくる迷いは、身喰いする痛みを突き付けられる。きっとこれから益々刺は深くなり、血を流していくのかもしれない。 それでも結局桃城は、最後の最後にこうして甘やかしてはくれない。テニスなど捨ててしまえと言ってくれる男なら、きっと自分の内側に、踏み入れる事などさせなかっただろうから、その明確になる矛盾に、リョーマは自嘲する。 「そうだね」 トサッと、リョーマは桃城に身を預ける格好で、肩口に額を押し付けた。 「辿り着くよ」 どんな手段を高じても、きっと自分は辿り着く。自分は卑怯だから、最後の最後には自分を選んでしまう。自分を肯定する為に始めたテニスを、切り捨てる事など、考えも付かない。 けれど回帰されるなら、この場所なのだ。 「お前、部長達が卒業するんで、ナーバスになってんだろ」 一週間後には、手塚達の卒業式が迫っている。世界を目指し、一歩先を歩く事を決めた手塚の決意を知っている者は、一体どれ程居るだろうか? 「そうかもね」 引き裂かれる痛みではなく、大切な何処かが、少し離れていく淋しさ。身の裡の何処かに、無自覚に張り付けてしまった大切なものが、少し剥がれて行く痛み。けれど其処に辛さはない。 「俺の前で泣かなくてもいいから、ちゃんと部長の前では泣いとけよ」 「あんたのそういうとこって、本当悪党だよね」 何もかも見透かされて行く。 「第一、あんた自覚なさすぎ。もう今あんたが部長なんだから」 「無茶言うなよ」 「事実っての」 「俺にとっては、部長が卒業するまで、部長なんだよ」 「何それ。あんた時折、日本語変になるよね」 「お前のテニスに力を与えたのは、部長なんだからな」 「………人でなし」 気付かれていない筈はないと判っていた。けれど、今まで直接的に、言葉に出された事はない筈だった。 「大人って言え」 「悪党で詐欺師の人でなし。ついでに」 その時リョーマは肩口から顔を上げ、覗きこむように桃城の前に顔を突き出すと、次の瞬間には耳朶を掠め吐息で囁いた。その科白に、桃城は肩を竦め、同時に深い苦笑を漏らした。 『これ、あんたね』 リョーマの白い指先の先から、魔法のように生み出され、パラパラ散らばっていくカード。 最後の最後に引き出したソレ。 『JOKER』 「お前の方が、十分ヒトタラシだ」 答えを出し尚迷う。それでも、歩いて行くと言った科白に偽りはないのだろう。過保護に甘やかしているつもりで、案外甘やかされていると思うのは、きっとこんな時だと、桃城は内心苦笑する。 『抱いて、あげるから』 生温い淫蕩な姿を曝しながら、差し出された腕は、何処までも清涼なものを湛えていたように思える。陶然さに塗れながら、手放せない温もりに餓えながら、それでも歩いて行くと告げるリョーマに、むしろ手放せないのは自分の方なのかもしれないと、桃城は深い苦笑を刻み付ける。 「腹立つ」 無自覚だから始末に悪い。 「やっぱあんた女衒」 此処最近、大人びていく一方の桃城の深い苦笑は、完成された男を印象づけている事に、当人の自覚はないから更にタチが悪い。この悪党のこんな部分に、女は惚れ込んでしまうのかもしれないと、リョーマはこっそり溜め息を吐いた。 「覚えてなくていい言葉ばっか、覚えてんなよ」 「それよりさ、ホラ。早く帰ろうよ」 桃城からスッと身を離すと、ゆっくり足先を変えて行く。 「カルピン、腹空かして、鳴いてるよきっと」 「そうだな」 随分な寄り道をしてしまったと、桃城もリョーマに倣い、足先を変えると、隣に並んで歩き出した。 切り取られた視界に続く、綺麗で夢のような遠い蒼。 どうか同じ光景が続くように。願わくば、その蒼に溶ける事なく、強さと脆さを抱き締めて、歩いて行けるように。 「でな、俺としては、やっぱラーメンは、味噌味だと思うんだよ」 リョーマの愛猫のペットフードを買ったら寄り道などせず早々に戻って来る予定は、若干の寄り道で大幅に予定が狂い、今は遅い昼食にありつく為、桃城は既に勝手したたる越前家のキッチンで、慣れた仕草で包丁を奮っていた。 「そう?俺は味噌より醤油だけどな」 キッチンと隣接する居間で、拗ねきってしまった愛猫に、新しく飼ってきたネコじゃらしで相手をしてやりながら、キッチンと居間の会話は続いて行く。 「何でだよ。やっぱあの仄かに濃厚な味が、味噌のいい味だと思わねぇ?」 「誤魔化せない醤油味は、基本だから美味しいと思うけど。ってあんた、間違っても、味噌で作らないで下さいよ」 愛猫と戯れつつキッチンを窺えば、慣れた仕草で野菜を刻む桃城の背が見える。一体何処の誰に料理を教わったのかと思えば、母親ではない事など丸判りだ。まったく器用な悪党だと、リョーマが溜め息を吐き出している事を、きっと桃城は知らないだろう。 「アホ、こういうのは、料理人の権利だ」 「料理人は、食べる人間の好みも考慮するもんでしょ」 「ホァラ〜〜〜」 リョーマと桃城の会話に、カルピンが割って入る。 リョーマ達より一足先に食事を終えた愛猫は、そろそろ眠くなってきたのか、甘えた声で鳴いては、リョーマの足下に戯れている。 「大体濃厚な味ったら、豚骨なんじゃない?」 足下で戯れ付くカルピンを抱き抱え、リョーマも戯れるように横になる。程よく温度調整された室内は、確かに心地好い眠気をもたらして来るのかもしれない。 縁側に続く障子戸を開け放している所為で、高くなった青空が映る。紗のように薄く白い雲が浮かぶ、綺麗で遠い美しい蒼。 「あれなぁ。でも家庭で作るのは難儀じゃねぇ?」 「…難儀ってより、あんたが今手にしてるの、チャルメララーメンじゃん」 難儀以前の問題だろう。それを延々繰り返しているのだから、傍目から見たら十分バカップルだろうが、当然二人に、そんな自覚はなかった。 「誤魔化し利かないのは、塩じゃねぇ?」 「醤油でしょ。基本だから一番難しいの。どんな局面でも、基本が一番重要じゃん」 「………テニスとラーメンが同一線上かよ」 やっぱお前の方が得体しれない思考回路してるぞと、桃城は笑いながら、適当に切った野菜を手際良く鍋へと放り込んで行く。 「んで、お前醤油じゃないと嫌ってか?」 菜箸で野菜を掻き回し、背後を振り返る事なく口を開けば、帰って来るのは沈黙だけで、桃城はそこで背後を振り返った。 「オイ?」 振り返った視線の先には、見慣れた黒いハーフコーットを引っ掛け、愛猫と一緒に眠っている姿が映る。 「ったく」 やれやれと溜め息を吐き出し近付けば、リョーマはカルピンと共に、穏やかな寝息を立てている。手足を縮めて丸く寝る姿。そしてリョーマの胸元に、やはり丸まって眠るカルピンの姿。 その姿がまったく兄弟のようで、桃城の口許には、薄い笑みが浮かんでいた。 「本当、兄弟みてぇ」 桃城は穏やかな寝顔を覗き込むように座り込む。長い腕が、サラリとした感触をもたらしてくるリョーマの髪を梳いて行く。 寝起きの悪いリョーマが、覚醒時、家中を走る威勢でカルピンを追い掛けていた姿は、桃城には仲の良い兄弟にしか見えなかった。尤も、南次郎に言わせれば、新婚夫婦の子供だと笑われるから、意見は別れる所なのかもしれない。 「笑ってろよ」 それが桃城の根底に在る願いだった。リョーマへの想いを自覚してから、今まで変わりなく在り続ける願いの淵。貪欲になる願いの何より最初にあって、きっと最後まで望むもの。 切っ先の上に立つ強さ。同時に、リョーマの身の裡の局所に抱き込んだ脆さ。そのどちらも手放す事もできない整然とした矛盾。その矛盾さえ飲み込む事も出来ず、消化もせず、歩いて行こうとする姿が、だから痛々しい程、切っ先の綺麗さを滲ませて行く。 「どうか…」 願わくば、リョーマの意思を無視して与えられたそのテニスの才が、こられから先、リョーマをこれ以上傷付けて行く事がないように。少しでも優しいものであるように。 それでも、何処かで望んでもいるのだ。傷付いて、その疵を曝しながら、歩いて行く姿を見たいという貪欲な願いも。確かに自分の深奥には有るのだと、桃城は自覚していた。 「倖せで、いろよ」 相反する矛盾だらけの願いを抱いて、きった誰だって生きている。 強いもの。弱いもの。綺麗なもの。汚いもの。歪んだもの。それぞれの願いの在処など、きっと誰にも判りはしない。 だからこんな些細な単純な願いを、つい口に出してしまうのかもしれない。 簡単で困難で、一番難しい願い。きっと誰もが単純に胸の内側に抱いている願い。 「あんた本当悪党って言うか、卒ないって言うか」 起こされてみれば、キッチンのテーブルの上には、醤油味のラーメンと、味噌味のラーメンが盛り付けられ、ご丁寧に炒飯まで作られているのには、手伝いもしないで食べるだけの身で、リョーマは呆れて笑った。それもネコ舌のリョーマに、丁度よい温度で出されては、呆れるなと言う方が無理だろう。 「お前が醤油って言うからだろうが」 いただきますと手を合わせ、桃城はラーメンを啜りだす。その一見乱雑に見える桃城の、そういう躾の行き届いた面を見れば、益々悪党だとリョーマは内心一人ごちた。 「だったら、醤油だけでいいのに」 「アホ、俺は味噌が食いたかったんだよ」 「ご丁寧に、炒飯まで作ってるし」 「ラーメンだけじゃ足んないだろ」 「ったく、何処の女に手解き受けたんだか」 ボソリと呟きラーメンを啜り出したリョーマに、桃城は一瞬噎せ込み、慌てて水を流し込んだ。 「お前なぁ〜〜」 「でもさ、何か変」 「変〜〜〜?そうか?味はいいと思うけどな」 「違う」 「ん?」 「何かさ」 リョーマが最初に口を付けたのは、要求した醤油ではなく、桃城が今食べているのと同じ味噌味だった。 しつこくはない、程よく利いた味噌の味が舌先に残る。確かに桃城は料理が巧いのだろう。 程よい匙加減が、しつこくないコクを引き出している気がした。その微妙な匙加減は、料理だけではないから、リョーマにしてみれば、尚更呆れと同時に、癪に触る部分も感じてしまうのは、仕方ないのかもしれない。だからこそ、悪党で詐欺師で人タラシと言う部分に通じている。 「こうしてさ」 「ああっ、まぁな」 ラーメンを啜りながら、二つ並ぶ丼を眺めているリョーマの言外を、桃城は綺麗に繋げて笑った。 「お前がどうしようもないネコ舌だったりとか、だから俺がお前の舌の温度に合わせて料理出してやったとか」 「大雑把なあんたが、挨拶だけはちゃんとできるとか」 「何だよそれ」 「最初、意外だったから」 「お前、日本の体育会系の縦割り構造、甘くみてんだろ」 「莫迦。判っててボケかまさないでよ。あんたが実はちゃんといただきますとか、ごちそうさまとか、手を合わせてする所。雑多に見えて、案外箸使うの巧いとか」 「お前も巧いだろ。帰国子女のくせに、焼き魚の丸焼き、毛抜きで抜くみたいに小骨まで綺麗に除けて、食うじゃんか」 リョーマの家で夕食を食べる事も少なくはない桃城は、最初は綺麗な箸使いで魚を食べるリョーマに、驚いたものだった。 「桃先輩は、骨さえ残さないじゃん。俺んち、親父も俺も和食好きだから」 「まぁ何だよな。こうして一緒に居て、お前の癖とか、どうしようもなく時折感傷的になったりするの、当たり前に判る所?」 「あんたが救いのない悪党で、詐欺師で、莫迦な程過保護だったりとかさ」 そういう何気ない部分が随分判って。 それでも悪党の詐欺師は、本質的な手の内など見せてはくれない。本気で怒らせ、身震いする程の凛冽さを、底冷えする程滲ませるなど、反則技もいい所だ。 けれど、そんな事まで判ってしまって。もう随分、一緒に居るのが当たり前になっている。 「お前が言った科白の通りだな」 大切なのは、場所ではなくて、ダレかが存在する居場所。存在するダレか。 「意識する事なくそこに在るのが、大切なんだってな」 必要なのは、そこに在る事。言葉に出してしまえば、そんな単純な言葉だ。 「ラーメンもテニスも、案外同じ上の話しかもな」 「何ソレ」 「お前がさっき言ったんだろうが。基本は同じ」 「だったら、桃先輩こそ、少しは俺の事判ってよね。あんた本当、肝心要な時。致命傷だから」 気付いてほしくない時に限って見抜いていくせに、肝心な事になると、呆れる程致命傷に外して行く。その微妙な匙加減。 「お前こそ、だろうが」 枷にする事なく、代償にする必要もない事程度、早く気付いてもらいたいものだと、桃城は苦笑する。 「マダマダのマダだね」 本当は、もしかしたら、それはすごい事なのかもしれないと、判らないリョーマではなかった。 レッテルとラベルを貼られ、他人の無機質な面ばかりを見せつけられて、とても誰かと馴染む事など、考える事もできなかった。それが今はこうして当然のように一緒に居る存在が在る。桃城だけではなく、手塚も不二も、英二も乾も。青学に入学させられた意味を、今更噛み締める結果になった。それもラーメンを食べている今なのだから、笑うしかない。 案外本当に、桃城の言う事は正しいのかもしれない。 ラーメンもテニスも同じ上の話し。莫迦莫迦しい程下らなくて、とても大切な譬え話し。 「マダマダでも、待ってたら何も始まらないからな」 「………あんたやっぱ、親父と、とことん気ぃ合うんスね」 待ってても何も始まらない。以前南次郎に言われた科白だ。 「怖い事言うな」 「息子の俺が言うんだから、間違いないっスよ」 「まぁ何だ。俺と親父さんが似てるとしたら、莫迦みたいにお前が大事、きっとそんな所だけだな」 「何それ」 「言葉通り。少しは孝行しろよ」 「あんたやっぱさ、人でなし」 「その人でなしが好きなんだから、お互い様だ」 「言うじゃん」 「お前、手離す気はないからな」 話しながら綺麗に桃城の丼は空になっていた。 「……詐欺師」 大仰に溜め息を吐き出しながら、リョーマも桃城より半歩遅れて丼を空にする。 「さてと」 片付けるかと立ち上がる桃城に、リョーマは笑うと、 「ねぇ桃先輩。昼寝、しようよ、たまにはさ」 テニスもいいけれど、たまにはそんな過ごし方もいいかもしれない。のんびりと、誰かの存在を感じて。そんな過ごし方も、悪くはないだろう。 「たまには、いいかもな」 大切な存在を抱き締めて、青空の見える居間で寝るのは、確かに倖せな夢が観られるのかもしれない。 「………ったく、こいつら、何してんだか」 夕方帰宅した南次郎に呆れられるまで、二人と一匹は、居間で惰眠を貪っていた。 「まるで親子だな」 何処からともなく引っ張り出してきたケットに二人でくるまり、足下にはカルピンの姿。 「新婚夫婦で川の字か?」 親が帰って来るの判ってて、いい度胸してるな。南次郎は嘯いて笑った。 「やれやれ」 もう互いに離れる事などできないだろう二人。手放さない強さを見付け出すのは、自分達にしかできない事だと、どうか忘れないでほしいと願う。そんな内心を、誰より形にして理解してるのは、桃城だろうと、南次郎は此処最近めっきり大人びた顔付きをしている桃城を眺め、リョーマに視線を移した。 桃城の腕にくるまれるように寝ている無防備な穏やかな寝顔。アメリカに居た当時のリョーマなら、想像もできない。 正月を境に変わっただろう二人の位置。近付いた距離を代償に、それ以上の迷いや痛みを手にしてしまった二人に、気付かない程、南次郎は鈍くはなかった。 それでも、待ってても何も始まらないはのどんな局面でも同じだろう。こうして休める居場所が在るなら、人間案外何処までも走っていけるものだ。 「精々悩めよ、青少年〜〜」 クツクツ笑うと、南次郎は寺へと消えて行く。 青空はとっくに夕暮れになり、太陽が最後の残り火を灯して雄大に輝いている冬の夕暮れ。二人と一匹がどんな夢を観ているのか、誰も知らない。 |
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【コメント】 オチはラーメンとテニスの同一線上の話しで、南次郎さんですか? クレーム付きそうな話しですみません。 実際のオチは、「キミが待つ家まであと6分」です。二度目の書き直しでも方向性ズレきって、既に軌道修正する気力も失せた管理人です…。(エエ最初はちゃんと、だから「キミが待つ家まであと6分」を書いてたんですよ。)そして当然二度目というからには一度目があって、挫折しつつ、二度目のこの話しを書いて、更に挫折しました〜〜(爆笑) いつもの話しに落ち着いてしまって、無理な事はやめようと痛感しました…。どうせ私にゃこんな話ししか書けない…。この話し、オマケがあるので、近日中に更新予定です〜〜。 |