世界禁煙デーin愛知 2007 2007年5月31日
名古屋市内のデパート等における飲食店の禁煙調査
子どもをタバコから守る会・愛知
■ はじめに
「健康増進法」(第25条 受動喫煙の防止)が施行されてから、4年が経過した。
名古屋地区のタクシーが全面禁煙になるなど、公共交通機関や公共施設の禁煙
がかなり進み、学校や病院の敷地内禁煙も一般的になってきている。しかしながら、
飲食店については、受動喫煙防止対策が一番遅れていた。このような状況の中、
最近、名古屋駅前に大型の商業施設がいつくか誕生し、集客競争が激化したこと
もあり、デパート等の飲食店において禁煙がかなり進んできたように思われた。そ
こで、デパート等の飲食店における禁煙状況の現状を把握するために調査を実施
した。
■ 方法
1)調査時期:2007年5月
2)調査対象: 以下の商業施設(14か所)内の飲食店。
JR名古屋タカシマヤ、JRセントラルタワーズ、名鉄百貨店、ミッドランドスクエア、
名古屋ルーセントタワー、テルミナ、松坂屋名古屋本店、ラシック、名古屋栄三越、
丸栄、 イオン熱田、アスナル金山、星が丘三越、星が丘テラス
3)調査方法:
主として直接施設に出向いて調査したが、一部については、電話で問合せをし
たほか、ホームページの記載内容をそのまま用いた。
4)飲食店及び禁煙状況の分類等:
a.「全面禁煙」 − 店内は終日禁煙で、どこにも灰皿がない。
b.「時間禁煙」 − 時間帯や曜日によって店内全面禁煙となる。
c.「分 煙」 − 一般席は禁煙だが、個室やテラス部分では喫煙可など。喫煙席
と禁煙席の空間を分けているものもここに含んだ。
d.「不完全分煙」− 同じ空間の中に禁煙席と喫煙席がある。(これは分煙をしてい
るとはいえない。)
e.「全席喫煙可」− 店内のどの席でも喫煙できる。(高濃度のタバコ煙を浴びる危
険がある。)
なお、「健康増進法」(第25条 受動喫煙の防止)に全く違反していないのは、「全面
禁煙」のみである。
このうち、「d」と「e」は、常に利用客が受動喫煙をこうむる可能性があるので、1つ
の分類にまとめた。そして、「レストラン・食事処」と「カフェ・喫茶・ケーキ」に分けて、
「a」、「b」、「c」、及び「d・e」の4分類に分けて集計した。
「名駅地区」
○ JR名古屋タカシマヤ(合計22店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 4(50.0) 3(37.5)
0( 0.0) 1(12.5) 8(100)
カフェ・喫茶・ケーキ 5(35.7) 2(14.3)
0( 0.0) 7(50.0) 14(100)
合 計 9(40.9) 5(22.7)
0( 0.0) 8(36.4) 22(100)
○ JRセントラルタワーズ(合計37店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 7(22.6) 23(74.2)
1( 3.2) 0( 0.0) 31(100)
カフェ・喫茶・ケーキ 6(100) 0(20.0)
0( 0.0) 0(0.0) 6(100)
合 計 13(35.1) 23(62.2)
1( 2.7) 0(0.0) 37(100)
○ 名鉄百貨店(合計24店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 3(30.0) 6(60.0)
1(10.0) 0( 0.0) 10(100)
カフェ・喫茶・ケーキ 7(50.0) 2(14.3)
0( 0.0) 5(35.7) 14(100)
合 計 10(41.7) 8(33.3)
1( 4.2) 5(20.8) 24(100)
○ ミッドランドスクエア(合計29店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 8(34.8) 0( 0.0)
0( 0.0) 15(65.2) 23(100)
カフェ・喫茶・ケーキ 6(100) 0(
0.0) 0( 0.0) 0( 0.0) 6(100)
合 計 14(48.3) 0(
0.0) 0( 0.0) 15(51.7) 29(100)
○ 名古屋ルーセントタワー(合計17店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 3(21.4) 10(71.4)
0( 0.0) 1( 7.1) 14(100)
カフェ・喫茶・ケーキ 2(66.6)
1(33.3) 0( 0.0) 0( 0.0)
3(100)
合 計 5(29.4) 11(64.7)
0( 0.0) 1( 5.9) 17(100)
○ テルミナ(合計38店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 3(10.7) 24(85.7) 0(
0.0) 1( 3.6) 28(100)
カフェ・喫茶・ケーキ 4(40.0)
0( 0.0) 0( 0.0) 6(60.0) 10(100)
合 計 7(18.4) 24(63.2)
0( 0.0) 7(18.4) 38(100)
「栄地区」
○ 松坂屋名古屋本店(合計46店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 17(73.9) 5(21.7)
0( 0.0) 1( 4.3) 23(100)
カフェ・喫茶・ケーキ 20(87.0) 0( 0.0)
1( 4.3) 2( 8.7) 23(100)
合 計 37(80.4) 5(10.9)
1( 2.2) 3( 6.5) 46(100)
○ ラシック(合計43店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 12(40.0) 11(36.7) 1(
3.3) 6(20.0) 30(100)
カフェ・喫茶・ケーキ 10(76.9) 2(15.4)
0( 0.0) 1( 7.7) 13(100)
合 計 22(51.2) 13(30.2) 1(
2.3) 7(16.3) 43(100)
○ 名古屋栄三越(合計 13店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 1(16.7) 3(50.0) 0(
0.0) 2(33.3) 6(100)
カフェ・喫茶・ケーキ 5(71.4) 0( 0.0)
0( 0.0) 2(28.6)
7(100)
合 計 6(46.2) 3(23.1) 0(
0.0) 4(30.8) 13(100)
○ 丸栄(合計 9店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 −
− − −
−
カフェ・喫茶・ケーキ 4(44.4) 0( 0.0) 0(
0.0) 5(55.6) 9(100)
合 計 4(44.4) 0(
0.0) 0( 0.0) 5(55.6)
9(100)
「熱田・金山地区」
○ イオン熱田ショッピングセンター(合計28店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 13(54.2) 8(33.3) 0(
0.0) 3(12.5) 24(100)
カフェ・喫茶・ケーキ 3(75.0) 0( 0.0)
1(25.0) 0( 0.0) 4(100)
合 計 16(57.1) 8(28.6) 1(
3.6) 3(10.7) 28(100)
(フードコートを食事処1、喫茶1と数えた。)
○ アスナル金山(合計14店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 0( 0.0) 5(50.0)
0( 0.0) 5(50.0) 10(100)
カフェ・喫茶・ケーキ 1(25.0) 0( 0.0) 1(25.0)
2(50.0) 4(100)
合 計 1( 7.1) 5(35.7)
1( 7.1) 7(50.0) 14(100)
(「レストラン・食事処」の「時間禁煙」には、テラス喫煙可1店を含む。)
「星が丘地区」
○ 星が丘三越(合計 9店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 4(100) 0( 0.0)
0( 0.0) 0( 0.0)
4(100)
カフェ・喫茶・ケーキ 1(20.0) 0( 0.0) 0(
0.0) 4(80.0) 5(100)
合 計 5(55.5) 0( 0.0)
0( 0.0) 4(44.4) 9(100)
○ 星が丘テラス(合計 9店)
不完全分煙・
全面禁煙
時間禁煙 分 煙 全席喫煙可 合 計
レストラン・食事処 1(25.0) 1(25.0)
0( 0.0) 2(50.0) 4(100)
カフェ・喫茶・ケーキ 2(40.0) 0( 0.0)
1(20.0) 2(40.0)
5(100)
合 計 3(33.3) 1(11.1)
1(11.1) 4(44.4) 9(100)
全体では、338店のうち152店(45.0%)が全面禁煙になっていた。14施設の中で全
面禁煙の飲食店の比率(合計)が一番高いのは、松坂屋名古屋本店の約80%で、
これを含む4施設が50%を超えていた。
「レストラン・食事処」では、全面禁煙は215店中のうち76店(35.3%)であった。星が
丘三越の100%をはじめ、4施設で50%以上の比率があった。また、「カフェ・喫茶・ケ
ーキ」では、全面禁煙が123店中の76店(61.8%)で一番多かった。ミッドランドスクエ
アとJRセントラルタワーズの100%をはじめ、8施設で全面禁煙が50%を超えていた。
時間禁煙は、多くは昼〜午後の時間帯禁煙であったが、この場合は、夜には受動
喫煙をこうむる可能性があるのでやはり問題である。その他の時間禁煙では、土日
祝日のみの全面禁煙が多かった。全体では、338店のうち106店(31.4%)が時間禁
煙であった。「レストラン・食事処」では、時間禁煙が215店のうち99店(46.0%)で一番
多かった。
施設によって、全面禁煙が多い、時間禁煙が多い、不完全分煙・全席喫煙可が多
いなどの特徴が見られた。なお、「分煙」(個室・テラスのみ喫煙可など)の飲食店は
少なかった。
全体では、分煙が7店(
2.1%)、不完全分煙・全席喫煙可が、73店(21.6%)であっ
た。
「健康増進法」(第25条 受動喫煙の防止)の施行(2003年5月)から、すでに4年が
経過しているが、禁煙分類の中で、法律を守って顧客に対しても従業者に対してもき
ちんと受動喫煙防止の措置を取っているといえるのは全面禁煙のみである。
今回の調査では、全面禁煙の飲食店の割合がかなり高い施設のあることも分かっ
た。今後、割合の低い施設は、対応が遅れていることを自覚して飲食店の全面禁煙
化を急いでほしい。
また、比較的進んだ施設に関しても、早急に全面禁煙100%を達成できるようにす
べきである。
いずれにしても、一般への「健康増進法」(第25条 受動喫煙の防止)への周知が
不十分で、飲食店の灰皿が法律違反に当ることすら、あまり理解されていない。今回
の調査を機会に、行政やマスコミに、飲食店の灰皿が法律違反に当ることを、大きく
取り上げて宣伝していただきたい。
なお、受動喫煙防止に対する皆さんの意識がもっと高まり、近い将来、諸外国のよ
うに罰則付きの建物内禁煙法が制定されることを期待している。
A レストラン・食事処
@ 星が丘三越
4店(100%)
A 松坂屋名古屋本店 17店(73.9%)
B イオン熱田 13店(54.2%)
C JR名古屋タカシマヤ 9店(50.0%)
D ラシック 12店(40.0%)
E ミッドランドスクエア 8店(34.8%)
B カフェ・喫茶・ケーキ
@ ミッドランドスクエア
6店(100%)
@ JRセントラルタワーズ 6店(100%)
B 松坂屋名古屋本店 20店(87.0%)
C ラシック 10店(76.9%)
D イオン熱田 3店(75.0%)
E 名古屋栄三越 5店(71.4%)
C 総 合
@ 松坂屋名古屋本店 37店(80.4%)
A イオン熱田 16店(57.1%)
B 星が丘三越 5店(55.5%)
C ラシック 22店(51.2%)
D ミッドランドスクエア 14店(48.3%)
E 名古屋栄三越 6店(46.2%)
F 丸栄 4店(44.4%)
G 名鉄百貨店 10店(41.7%)
H JR名古屋タカシマヤ 9店(40.9%)
I JRセントラルタワーズ 13店(35.1%)
J 星が丘テラス 3店(33.3%)
K ルーセントタワー 5店(29.4%)
L テルミナ 3店(18.4%)
M アスナル金山 1店( 7.1%)
調査協力者: 水島 早苗 「子どもをタバコから守る会・愛知」会員
「なごや禁煙席ファンクラブ」 http://blog.goo.ne.jp/1tabako
参考サイト: 「禁煙スタイル」 http://www.kinen-style.com/
文責:家田 重晴
子どもをタバコから守る会・愛知 http://www.no-kidsmk-ai.com
世話人代表 中川 恒夫(青山病院小児科部長)
連絡先1 世話人 家田 重晴 TEL 0565-46-1211
、FAX 0565-46-1297
〒470-0393 豊田市貝津町床立101
中京大学体育学部 家田 重晴 iedas@sass.chukyo-u.ac.jp
連絡先2 事務局長 家田 泰伸
TEL 052-881-3594
〒467-0828 名古屋市瑞穂区田光町2-4-3
家田 泰伸