袖から生まれた言葉

袖すり(振り)あうも他生の縁
同じ時期にこの世に生をうけただけでも因縁なのに、 たまたま道ですれちがって袖がふれたとなれば、そ れは前世からの深い因縁によるものである。

袖の振合わせも五百生の機縁
道で知らない人と袖が触れ合うようなちょっとした 事でも、深い因縁によるところである。五百生は、 何回も何回も生まれ変わることで、何万年もの長い 間のたったの一度の偶然の振合いで、その因縁の深 さは測りようがないほどである。
袖の下
わいろ、心づけ。 政治家がよく使う手で、結局は悪いことは必ずしっぽ が出るものなのに、懲りずに次々に暴露されるのはな ぜだろうか?
袖に墨つく
人に恋い慕われたしるし。 人から恋されるときには、袖に墨がつくという言い伝 えから。

ない袖は振られぬ
ないものは出しようがない。 いくらやきもきしても、ないことにはどうにもならない。 いくら頼まれても、また勧められても、資力がないこと には、出すことは出来ないという意味。
袖から火事
ちょっとしたことから大事が引き起こされるというたとえ。 明暦3年の江戸の大火は、本郷円山本妙寺で施餓鬼に振袖 を焼いたのが下人だというので、振袖火事と呼ばれた。



袖引煙草に押し付け茶
帰ろうとして立ちかけた客の袖をひいて、まあ一服と煙草を 出して進め、または熱いお茶を一杯といって、相手の都合も 考えずにもてなすことで、ありがた迷惑の例え。
袖にすがる
袖にとりつく。 あわれみを請う。

袖にする
おろそかにする。 ないがしろにする。


たもとを分かつ
今まで一緒だった人と関係を絶つ。 別れてそれぞれの道を生きる。

袖を連ねる
大勢の人が連れ立ち並ぶようす。
袖を濡らす
涙を流して泣く。


袖を絞る
涙で濡れた袖を絞る。



衿について