お正月は何となく晴れやかで心新たな気になります。これは私だけではないようです。
東京の空もいつもより清々しく、富士山も白くくっきりと神々しく見えます。
こうしたお正月に書はふさわしいものです。
福寿草さいて筆硯多祥かな 村上鬼城
お書き初めにしても展覧会にしても、身のひきしまる思いがします。
お書き初めの時には、ゆっくりと「左のの字に右のの字」に墨を磨ると教わりました。
やはり「この1枚」に厳(おごそ)かというと大袈裟ですが、少しく粛然として書くことにな
ります。
作品についても、そうした気構えで書きたいと思いますが、なかなかそうはいき
ません。どこか「お書き初め」の清純さに徹し切れない憾(うら)みがあります。
とにかく新年最初の展覧会という晴れ舞台です。場を与えて下さる松坂屋さんに
感謝しつつ精一杯に書いた作品です。まだまだ未熟で発展途上ですから、ご来場の
皆様からの忌憚のない御叱正御教示を賜りたく存じます。
御清鑑に深謝申し上げます。
ありがとうございました。
乙酉正月
井 垣 清 明