もくじへ

臨礼器碑

(139cm×52cm)



作品と解説 17




5年前の丑年の11月下旬、よく晴れた日に

天来書院の比田井和子さんがカメラマンと共に来宅された。

ビデオ
「書 現代作家の技法」収録のためであった。

その時にカメラが回る中で書いたのがこの作品である。

インタビューを受けながら小一時間を過した後で書いた。

失敗したら又撮影しなおしてもらおうと肚に決めて書いたが、

カメラはノーカットで回ってしまい「これで良い」と言われた。

それより3年前の1994年8月に、

友人に誘われて「山東省刻石めぐり」の旅をした。

その時に孔子のふるさと闕里賓館に泊まったが、

そこの看板文字が礼器碑風で1字が1m四方位に大書されていた。

悠揚せまらぬ堂々としたものであった。

その時のことを憶い出しながら「あんな風にゆったりと書きたい」

と思いながらカメラにおさまったのだが、

出来は意のままにはならないものだ。

墨がカスレテ来ても我慢して墨つぎをひかえるように

して潤よりも渇に気をつけたつもりだが、どうであったろうか。

参考にした拓本には「顔母育孔寶」の

「母」が欠落しているが、飛ばさずに書いた。

孔子の母の苗字はは顔さんである。




作品解説一覧へ