作品と解説 26 | 作品解説一覧へ もくじへ |
園 日 渉 篆書 69×17 |
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この作品は、去年の第31回同人展に出品した。 六朝の詩人陶淵明が、有名な「帰去来の辞」の中で 読んだ句に触発された。「渉」は「わたる」と読むが、 意味は「散歩する、遊覧する、ぶらぶら歩く」である。 陶淵明は「庭園は毎日散歩するが、いつもそのたび に風趣がある(園日渉以成趣)」と詠んだ。 また、宋の王安石も「微之の林亭に和す」という 七言律詩で「中園は毎日散歩するが、そのつど趣き がある(中園日渉非無趣)」と詠み、庭園の風情を賞 でた。 庭園にかぎらず、たとえ大都会であれ、山林であ れ、田野であれ、自然も社会も刻々と変化し、千変万 化の趣は感得できるものなのだ。しかし、私どもには それを感覚する精神的余裕がない。何とか心をゆった りと持ちたいと思う。 「渉」の字は、横になった「水」の上と下に「渉」が 分解されている。川岸の向こうとこちらに「足あと」が あるという構図だ。半切4分の1という小品に、なるべ く穏やかな朴実な、それでいて明るいようにと企図し たが、やあy重厚に過ぎたようにも思う。 今年の同人展は5月16日(金)からだが、目下作品づくりで頭が痛い。 |