作品と解説 8
麻 姑
王遠、字を方平という神仙が下界に降りて麻姑という18〜19才の美女と
共に蔡経の家に逗留していた。・・・
麻姑は鳥の爪をしている。
蔡経は背中が痒い時に掻いたら良いだろうなと思った。
方平は、その心中を見ぬいて、経を鞭打ちながら言った。
「ふらち者!麻姑は神人なり。何を考えているのか!」
背中に当る鞭は見えるが、鞭を持つ人の姿は見えない。・・・
こんな話しが『神仙伝』麻姑の條に載っている。
今日いう「孫の手」は「麻姑の手」が訛ったものだ。
まだ楷書が出来ていない漢代の人が書いたら、どんな風に書くだろうか・・・
などと連想しながら、約八百字を文字の大小や行のまがりなどを気にすることなく、
脱字にのみ注意して書いてみた。
第20回
日書学春秋展出品作 2002年 .1月
77×51