その先生が、人形歴60年の集約として「黒圖百合子傘寿記念展」を催す。その目玉と
も目される「葛の葉」(高さ70p)は歌舞伎でも有名な「恋しくば尋ねきてみよ和泉なる
信太の森のうらみ葛の葉」の狐が人間に懸想する話しだ。
銀座の松坂屋別館の裏にある老舗「清月堂画廊」今月27日(火)〜9月1日(日)まで
開かれているので、一寸、足をのばしてみて下さい。
この「葛の葉」は、妻が14年前に最後のボーナスをはたいて買ったもので、展覧会が
済むとまた我が家に鎮座まします。私は「葛の葉」のお供をしている二匹の狐の愛嬌が
気に入っている。
おもかげ人形 黒圖百合子展
神田の小川町の交叉点近く、靖国通りに面して
「さくら人形川島」という店があった。
布帛による日本人形を作って売っていた。
その店の三人姉妹の真中が、今は私の妻となっ
て財布の紐を握っている。
4階建てのそのビルはすでに人手に渡って当時
の面影はないが、そこで自ら製作に励みつつ
後進の指導に当っていたのが黒圖百合子先生
だった。「おもかげ人形」という「歌舞伎」などに
題材を取った独特の芸術作品を作る。
米国のニクソン大統領が中国で毛沢東主席に
会った帰途、日本に立ち寄った。その際はニクソ
ン大統領人形を作り、贈呈した。現在もなお米国
大使館が所蔵しているはず。
No.15 8月26日