■寒い夜(朝ごはん)
黙って先を歩く旭の背中を見ながら、スガはまた少し、悔やむ。
(旭だからいいとか、よけいだったかな)
(旭も、なんだか、微妙な反応してたし)
(ここらへんのりこえてそこそこいい感じのオチにもってける目処がついたので微妙な反応設定は活かすこと
に(苦笑))
(中略)
怒ってない?と問われたとき、本当に本心から、旭だったらなんでも許せるのだと思った。そしてそれを、口に
出して言いたい、と、思った。だから、言ってみたけれど。
(俺は旭にならなにをされてもいいんだ的なことは、旭菅書き始めたときからイメージとしてあったので、使えて
満足(´▽`)
そうしたら、旭は、立ちあがった。部屋から出て行こうとした。自分を置いていこうとした。逃げるように。
(また、思わせぶりなこと言って、)
失敗してしまった、と思う。
だからもう、よけいなことを言うのはやめよう。旭を困らせたいわけじゃない。
あの言葉を旭が嬉しく思わないのであれば、ならもう、ああいうふうに言ったことに、とくに意味はないんだと、
そういう顔を、していよう。
(けど、それは、)
なんだか嫌だなと、ひどく辛いと、ひどく悲しいと、スガは思う。
(自分にとっては大事な意味があるのにそれをないように振る舞うのは嫌なんです)
階段をおりる旭のあとを、黙って静かについてくるスガの気配。その気配が、旭には少し、息苦しい。
スガが口にした、気にしてない旭だし。これはいったい、どういう意味なのだろう。
(なにを、されても、いいって、こと?)
(俺になら?)
たとえば、今朝見た、夢のようなことでも。
(なにをされてもいいってこと?とわかっているのは、旭にしてはずいぶん察しのいい感じですが(ひどい)、けど
それは旭自身に、スガを性的な目で見てしまったという後ろ暗い部分があるから、そういう発想もわりと簡単に
出てきてしまった…、みたいな感じで。
俺はお前をそういう目で見たりもしちゃうのにそんなことカンタンに言っちゃだめ!みたいな。
そういう目で見たという認識がなかったら、ありがとう嬉しいよ、くらいしか思わなかったと思う)
(まさか)
即座に、心の中で首を振る。
(ほんとはいいんだけどそこまでは気がつかない旭(苦笑))
(中略)
あのとき、それを素直に受け止められなかった。あんな夢を見て、あんなふうに下着を汚した自分が、それを
ありがとうと笑って受け取っていいのか、迷ってしまった。
(スガ、なんだかちょっと、しょんぼりしてるように見えた…)
それはそうだろう、心をこめて寄せた信頼を、相手が喜んでくれないとなれば、誰だって悲しいだろう。
(けど、)
(逃げてしまった…)
布団から立ったスガの、むき出しの白い肌に驚いて。動揺を悟られたくなくて、その場から逃れようとした。
(ごめん…)
(あれは俺が悪い、よな…)
「待って、旭」
「えっ?」
声に振り返ると、いつの間にか階段は終わっていて。スガも、一階の廊下におりていて。そのスガの手が、
遠慮がちに旭の腕に触れている。
「旭、タオル…、洗濯、してもらった自分のを使おうと思ったんだけど…、どこに干してくれてるのかなって…」
見あげてくる、少し不安そうなスガの顔。もしかしたら、この前に一度か二度、声をかけていたのかもしれない。
(と、旭は思ってるけどかけてません(笑))
「あ、ごめん、俺ぼうっとして…、こっちだよ」
「あ、うん、あの、ごめん、こっちこそ、急に声、かけたから、」
びっくりさせちゃったみたい、と、すまなそうに目を伏せるスガに、旭は胸が苦しくなる。
「だ、いじょうぶ、だよ。だからスガも気にしないで」
ぽん、と、背中をたたいた。スガが顔をあげたので、笑ってみせる。旭の顔を見て、スガも笑った。
(これが嬉しかったから、スガはハムを入れられなかった旭に同じことしたのです)
「うん、わかった」
ありがとう、と、今度は少し恥ずかしそうに、スガが目を伏せる。
ほのかに赤くなったその目尻に、旭はさっきの泣いた顔を思い出した。また少し、胸が苦しくなる。
足を動かす、まだ、胸は苦しい。どうしよう、と思ったとき、目的の部屋に着いた。
(縁側に面した、ガラス戸で、光のよく入る和室的な感じのお部屋、な、つもり)
「、ここ」
「ごめんね、ありがと、旭」
扉を開けようとするスガに、旭は、あ、と、小さく声をあげ。
「お、俺も今、いっしょに片付ける」
(スガの様子が気になったから)
うん、そうだね、と、スガが微笑んで、頷いた。
ふたりは中に入って、めいめい自分のぶんの洗濯物を取り外す。
(雨降ってたけど夜の早い時間干したしたぶん乾いてるだろう(´▽`;
「そうだ、スガ」
「ん?」
「俺が、俺のぶんを上にもっていくついでにさ、スガのぶんも、運んでおくから」
「ほんと?ありがとう」
じゃあこのタオル以外、急いでたたんじゃうね、と、スガは床に正座して、てきぱきと手を動かす。旭も慌てて
スガにならった。
下を向いて洗濯物をたたんでいるスガの目尻は、もう赤くない。旭は、心がほっと柔らかくなるのを感じた。
よかった、と思う。スガがなにか、心を揺らしているような姿は、見ていて苦しいから。
(逃げ出しちゃって悪かったな、と思っていたことは、スガが機嫌よさそうだからたぶんもう大丈夫だろう、と、
旭の中では一応解決してる…、みたいな感じで)
嬉しくなった旭の頬が、ほんの少しあがる。それと同時に、スガが、終わった、と顔をあげた。
(中略)
自分の言葉を、旭が不快に感じていないのならば、それでいい。僅かに胸に残る、喜ばれなかった、という
痛みは飲みこみ、スガは静かに、蛇口をひねった。
(なおスガさんの頭髪の手入れは手ぐしでちゃちゃっ、です(笑))
スガがきれいに顔を洗い、台所に入る。ちょうど、旭が食パンの袋をひらいているところだった。
(旭は炊飯器の使い方もよくわからないのでお母さんからパン食べときなさいって言われた(苦笑))
(妹もあんまり家事やらないタイプ。出来なくはないけど必要ないならわざわざしない)
「あ、食パン何枚食べる?」
「、えと、いちまい!」
「わかった!」
旭が、パンを二枚、オーブントースターの中に並べながらまたスガに言う。
「あと、ハムと玉子焼いて、冷蔵庫の野菜とか、お湯入れるだけでいいスープとか出そうと思ってるんだけど、」
(高校生男子なんだからもうちょっとボリュームあるほうがよかったか…?これから運動するんだし…(´▽`;
「あ、うん」
「それでいい?」
「うん、じゅうぶん。ありがとう」
手にしていたタオルを椅子の背にひっかけ、なにか手伝うことある?、と、スガが旭の隣りに立つ。
(手に持ってるはずのものとかの現在位置が気になって仕方ないタチなのでこういうことはなるべく忘れずに
書いていきたい(苦笑))
「あ、じゃあ、冷蔵庫の野菜室…、真ん中のとこね、そこ開けて、レタスとプチトマト出して、えと、それから、」
(洗って千切るだけでいい野菜をお母さんが用意しててくれました(笑))
「うん」
「洗って、適当な大きさに千切って、そこの棚の下から二番目の…、ガラスのボウルに入れてくれるかな」
「わかった」
スガが冷蔵庫に向かう。旭は、よく使いこまれた大きなフライパンを取り出し、とぽとぽと油を注ぐと、コンロの
火を、つけた。
(油をケチると焦げつくことだけは知ってる旭(苦笑))
野菜を片手に抱え、食器棚からひとつずつボウルを取り出しているスガに、旭が尋ねる。
(ひとつずつ、を入れておかなかったら、旭がでかいサラダボウルに盛ってるのかそれとも違うのかわからない
と思ったので、ちょっと無理矢理というか、説明ぽい感じかなと思ったけど入れさせてもらいました(苦笑))
「スガは玉子、いつも二個だっけ?」
「うん」
「俺も二個…、えっと…、ハムは…、何枚残ってるかな…」
冷蔵庫を開けて、あ、ちょうど四枚だ、と、嬉しそうにしている旭に、スガは目を細めた。
それぞれ材料を手に、スガは流しに、旭はコンロの前に。
スガがぱりぱりとレタスの包装をひらいていると、ぎゃっと悲鳴が聞こえて。
「ど、どうしたの?」
「あ、いや、ちょっと、油がはねて…」
見ると旭が、だいぶ離れたところからハムをフライパンの中に投げ入れている。
(最初は、フツーにふたりで朝食の支度を、と考えてたんですけど、そういえば旭ってもしかして怖くて包丁が
使えなかったりとかするのか!?と思い出してから坂を転がるようになにも出来ない子になっていきました…
(´▽`;
「あ、危ないよ、逆に、それじゃ、」
(怖いからって上から入れるとよけいにはねるので、低い位置から入れようね(´▽`;
「けど、は、はねるし…!」
「じゃ、かわろう」
「え、けど、俺、」
た、玉子とハム焼くくらい、できるよ、とどもる旭の手から、スガがハムを取りあげる。
(出来ないから黙れ(・∀・)
「指、火傷したらたいへんだろ?」
「け、けど、」
スガだって、火傷したら痛いだろ、と、もごもご反論する旭に、スガは思わず俺は補欠だからいいんだと言って
しまいそうになって、しかしその言葉はぐっと喉の奥に押しとどめた。そんな卑屈な言い方、旭が気にする。
「俺は、慣れてるから。家でもときどき、やってるからさ」
(ほんと、という設定です)
(中略)
旭が入れた、一枚目のハム。真っ黒、とまではいかなくても、食べたら美味しくなさそう、なくらいには、黒い。
他は大丈夫。
スガは素早くすべてのハムをひっくり返すと、焦げたハムを覆い隠すように上から玉子を割り入れた。
(うちのスガさんはほんとに旭がかわいいかわいいの人だから…(;▽;)
「旭」
「ん?」
スガがコンロから離れ、食器棚に歩く。
「玉子、もう少し焼けばできあがるから。その間にパン出すよ。お皿、これでいい?」
「あ、うん。ごめんな、俺、」
なにもできなくて、と、肩を落とす旭の背中を、皿を手にしたスガが、笑って、ぽん、と、たたいた。
「こっちはあと、焼けるの待つだけだし…、あ…」
「な、なに?」
「キレイじゃん、これ」
(フライパンに入れて焼けるの待つだけのカンタン料理も出来ない、と旭が気に病むといけないのでさっと
旭を褒めるスガさん(笑))
スガが指さしたふたつのガラスボウルの中。バラの花びらのように重なるレタスと、そしてその真ん中に丸く
盛りつけられたプチトマト。
(旭ってこういうどちらかというとどうでもいいところはすごく凝りそう(´▽`;
「そ、そう?」
「うん、美味しそう」
(キレイでもキレイじゃなくても正直どっちでもいいけど褒めておくスガさん(笑))
「よかったー」
じゃこれテーブルにもってく、ドレッシング出すよなにがいいー?と、質問する旭の声が明るい。
スガは、旭と同じのがいいー、と、答えながらパンを出し、その皿を食卓に運びがてら、コンロの火を消した。
(なんでもいいけどそれだと旭がしょんぼりしそうなのでいちばん無難かつキミのセンスを信頼してるよ的な
信頼感を醸し出せる返答をするスガさん(笑))
その姿を見て、ああジャムとバターも出さなきゃなあ、と、旭は独りごち、大きな手にボトルや瓶を抱えて運ぶ。
(旭の家は母親と妹のシュミでドレッシングやジャム、カップスープ等の種類が豊富なイメージ)
「ねえ旭、玉子はこっちの少し大きいお皿使っていいかな?」
「え?あ、いいよスガ、もう座っててよ。あとお皿によそうだけでしょ?」
手にした容器をことこと食卓におろした旭が、今度は棚から、なにやら小さな箱や袋の入った籠を取り出して。
「ほら、ここにスープいっぱいあるからさ。スガ、こっちきて好きなの選んでてよ」
旭が上機嫌で籠の中身をスガに見せてくる。
「えっ、あっ、いや」
「どうしたの?」
「いや、も、もう、食器棚の近くまでいるんだし、俺が最後まで、やるから」
「そう?じゃ、頼むな」
かちゃがちゃと、まるでひったくるように棚から皿を出して、スガが素早くフライパンの元へ向かう。
(がちゃがちゃ、だと、そこまで乱暴にはしてないって感じになるし、かといってかちゃかちゃだと、もうちょっと
慌てて動作が荒くなってる感が欲しい…となってしまうので、間をとって、かちゃがちゃ(苦笑))
(あー、びっくりした)
(ていうか、近くまでいるんだしってなんだよ、日本語おかしいだろ)
けど、どうにか無事に、焦げたハムを気づかれず、自分の皿によそえそうだ。
スガは菜箸で焼けた玉子に切れ目を入れると、フライパンを傾け、中身を、皿の上に滑らせた。
(この焦げたハムに関しては、スガが食べようとしているのに旭が気づいて…、という展開も考えたけど、それ
やるとまた長くなるので割愛(´▽`;
スガさんが旭に気づかれず無事に自分の皿に入れられた…、というところで、このエピに関しては終了です。
黙ってスガさんが食べました(苦笑))
■寒い夜(ゆるしてください)
(これね、実は、どうしても、この前の回の最後の部分とこの回の最初の部分がうまく繋げられなくて、(スガ
さんが玉子ののった皿を運ぶ描写はどうしても入れたかったんだけど、そうすると近いところでハムと玉子と
いう単語が続けて出てきちゃう。かといって、皿、だけにしちゃうと、なんか味気ないしな…、ということで)分け
ました…(´▽`;
スガは焼けたハムと玉子の皿、旭はマグを食卓へ。スープを選んで、お湯を入れ、玉子には、塩と胡椒。
野菜にドレッシング。パンには、バターとジャムをとろり。
(けどここでも玉子が二回出てきてるんだよなあ…(´▽`; 玉子とハム、だったらくどいので、苦肉の策で
玉子だけにしてみたけど…(苦笑))
(目玉焼きに何をかけるか話すふたり…、も、考えたけど、それやると長くなるから割愛(´▽`;
「いただきます」
(ここは、昨夜の夕飯と同様に、ふたりで言ってる、でも、旭だけが言ってる、でもどちらでもお好みで(´▽`)
旭が、ハムと玉子を箸でひょいとひとまとめにしてかぶりつく。
「んん、たまごの黄身がとろとろしてておいしい」
(書いててすごく、ああ旭ってこういうとろとろとか言いそうだなー!と思った(笑))
黄色くなった唇の端を舐めながら、子どものような無邪気さで旭が喜ぶ。よかった、と、スガも笑って、食パンを
齧った。
(齧った、は、かじった、です。難しい?誰でも読める漢字じゃないかも?と思ったけど、ここは漢字を使って
ちょっと硬質な感じにしたかったので…
というか、〜のような、って言い方しちゃってるな(´▽`; けどここはこれがベストだと思うのでこれで(苦笑))
(うん、もう大丈夫、だよね)
(機嫌いい、あさひ)
(もうなにも気にしたり、してないよね)
今朝、旭の身に起こったことを恥ずかしがってもいなければ、言われた言葉の意味を気にしている様子もない。
憂いのない旭の様子に、スガはほっと、安堵した。
ああ、今、口に運んでいるほどよく焼けたパンが、柔らかな果肉のジャムが、いい匂いのするバターが、どれも
みんな、とても美味しい。
(ここ、最初、『今、口に運んでいる〜』と、『だから、今、口に運んでいる〜』とで迷ったんですよね(´▽`;
安心したからごはんがオイシイ〜ヽ(´▽`)ノ というシーンなんですけど、
だからを入れたらちょっと説明過多じゃない?という気もするし、けど、だからがなかったら、このあとスガさんが
パンが美味しいだけで嬉しさでいっぱいみたいになるし、(そうじゃなくて、パンがとても美味しく感じられるほど
安心してリラックスしてる感じを出したいの)、どうすっかな〜と考えて、中間みたいな感じになりました(苦笑))
(ふふ)
嬉しさと、幸福感でいっぱいで、つい笑ってしまいそうになるから。だから静かに目を伏せて、スガは、弾む
心をなだめた。
(ぜんぜん笑うところじゃないのについニヤニヤしてしまいそうになるからぐっとガマンのスガさん(苦笑))
旭が、ふたつめの玉子に舌鼓を打つその、目の前。黙って食パンを齧っているスガの唇が、溶けたバターで
ほのかに艶めく。
(バターでそんなにつやつやしないかもしれないけど、そこはフィクションだからというのと、旭はほんとにほんの
ちょっとしたことで思い出しちゃうのよということで許して(;▽;)
(あ、)
ぶわっ、と、記憶が頭の中いっぱいに広がる。思い出してしまった、夢の中で、旭に触れてきたスガを。その
あと、どうなったのかも。
(中略)
ね?と、じっと旭を見つめて、力強く言い切るスガ。なのにすぐに、もじもじと目をそらす。頬がぽわっと、赤く
火照る。
「あのさ、旭」
「な、なに?」
「俺、思ったんだけど、旭さ、俺が太った夢、見たって言っただろ?」
「あ、あ、うん」
「もしかしたら、俺が、寝てるときに、俺がさ、旭の上に、のっかっちゃったりとか…」
「えっ」
「したかなって。重くて、それで、旭はそんな夢、見たのかな、って…」
「あ、いや」
「それでさ、その、そのとき、その、そこをさ、俺の体のどこかでさ、お、押したりとか、したの、かもって…」
(たしかにその可能性もなくはないんだけど、けどとりあえず旭はその可能性についてはまったく考えてません。
目を覚ましたときスガは離れてたし、完全に自分の夢だけで夢精したと思ってます。
あと、スガが太った夢を見て夢精する、という状況も、よく考えたらけっこうおかしいんだけど、そこはもうスガが
完全に、自分がのったから、だと思い込んでいるので、どうして俺が太ってる夢で性的に興奮できるの?とか、
そういう追及もしません(苦笑))
言いながら、だんだんだんだんスガは下を向いていき、今、旭からはスガのつむじしか見えない。
そもそも、太った夢を見た、というのが嘘なのだ。このようにスガが申し訳なく思うようなことも、まず、起こっては
いないと思われる。
しかしそれをここで、このタイミングで言ってしまったら、スガはいったい、どう思うだろうか。旭はただおろおろと、
あ、とか、う、とか、意味のない音声を発することしかできずにいた。
(どう思うだろうか。きっと、気を悪くするに決まってる、とか入れたほうがいいかなあとも思ったんですが、
そこらへん、旭もさんざん考えてきてるし、また言うのもくどいかなと思って入れるのやめたんだけど、今でも
入れたほうがよかった(というかわかりやすかった)かなと考えてる…(´▽`;
「だからさ、」
ちら、と、上目遣いで、スガが旭の様子を窺ったので、旭はとりあえず続きを言ってもらおうと、大きく頷く。
スガが少し、顔をあげた。
「だから、ごめん、俺のせいかも、しれないから、だからもう、気にしないで。そうしてくれると、俺も、助かる」
ああいうとこ見られて恥ずかしいのは俺もわかるし、なかなか忘れられないかもしれないけど、と、ごにょごにょ
続けるスガに、旭は笑顔を作って、言った。
「あ、うん、ありがとう。ごめん、気を遣わせちゃって」
さっ、と、スガが顔をあげる。旭の、笑っている顔を見る。スガの肩から、ほっと力が抜けた。
「大丈夫だよ、スガ。ちょっと思い出して、恥ずかしくなったけど、大丈夫、俺ももう、気にしてない」
「そ、う?」
「うん」
だいじょうぶだいじょうぶ、と、旭は元気で明るい声を出す。ようやくスガも、にこりと微笑んだ。
「なら、いい」
それなら安心、というようなスガの笑顔の前で、もう今後絶対に本当のことは言えないと旭は思った。自分の
嘘に、都合よく騙されてくれているスガを利用していると思う。ずるいと思う。すごくずるいと思う。
(けど、)
(本当のことを言ったら、スガはきっと、嫌な気持ちになる…)
夢の中でのこと、それを隠して言わなかったこと、嘘をついたこと、白状するのは旭自身がラクになりたいからと
いうずるさが透けて見えてしまうのではと不安に思っていること、それら全部が、スガの表情を曇らせるだろう。
ひどく。
(だからもう、こうなったら、)
(もうこれ以上、スガに迷惑かけないように、とことんまで嘘をつき通すしかない)
「ほんとごめんな、スガ…、気を遣わせて…、ほんともう、俺は大丈夫だからさ」
「うん、わかった。よかった」
「ほんと、ごめん」
「いいよ、謝らないでよ」
きっと、知らないうちに俺がなにかしちゃったんだろうし、だからもう、さ、と、すまなそうに笑うスガに、旭は心底
土下座したくなったが、それは絶対にできない。
「うん、ありがとう」
どうにか笑顔を維持しながら、小声で、そう返事するのがやっとだった。
うんうん、と、スガが優しく頷く。そして、食べよう、冷めちゃう、と、旭を促した。
(ここ、さっきまで謝ってたスガがなんか急に上から旭を許してる?と、読んで下さってる方に違和感を与えて
ないかちょっと心配なところ(´▽`;
一応、ふたりの認識としては、上にのられたとしても出しちゃった旭のほうが悪い、みたいな認識なので、
これで間違ってないんだけど、けどそういうふうに書けてるか書けてないかはまた別だからー…!ヽ(;▽;)ノ
スガの優しさに甘えて、申し訳ない。けれどやっぱりそれ以上に、優しくされるのは、ありがたいし、嬉しい。
スガみたいな人が友達でよかった。ほっと、小さく息をついたとき、ふと、旭は思い出した。
(スガが友達でよかった、ではなく、あえて、スガみたいな人〜としています。旭にとって、スガがまだそこまで
唯一無二ではない感じを出したくて)
「そういえば、スガの見た夢って、どんなだったの?」
「あ、」
そういえば、言ってなかったね、と、スガは少し肩をすくめて、照れたように笑った。
(基本的に同じ言葉(ここでは『そういえば』)を繰り返し使わないようにしていますが、ここではあの、相手の
言葉遣いを真似ると親密感がアップする的なアレの感じを出したくて(´▽`;
あれなんて言うんだっけ… なんかうろ覚えの説明ですみません(;▽;) とりあえず、狙ってやってますって
ことで(苦笑))
(中略)
旭の納得した様子に、スガも安堵の笑みを浮かべた。
「けどさ」
(これも初見で(というか二行下まで読み進めなくても)、旭のセリフだってわかってもらえたか不安なの(´▽`;
「ん?」
「スガ、俺の子どもの頃の写真て、見たことあったっけ?」
どうしてその赤ちゃんが俺だってわかったの?と、レタスをしゃりしゃり食みながら、旭が尋ねる。
(食みながら、は、はみながら、と、読みます。これも一般的な言い方じゃないかな…(´▽`;
くすくす、と、スガが楽しげに思い出し笑いしながら。
「赤ちゃんの髪型とヒゲが、今の旭とおんなじだったから」
「ええー?」
旭が、なんだか困った顔で、頭をぽりぽりとかく。
「それは…、ちょっと…、うーん…、気持ち悪く、なかった?」
不安そうなひきつり笑いを安心させるように、スガが柔らかく笑って。
「そんなことない、顔はちゃんと赤ちゃんだったし、ぷくぷくしててかわいかったよ」
(嘘つけ!気持ちわるいって思ってたくせに!(゜▽゜;
「そうかなあ?」
「ほんとだって」
もし見たら、旭だってきっと、かわいいって言うよ、と、スガは自信満々。だったら、いいけど、と、ようやく旭も
かわいらしいロン毛団子ヒゲ赤んぼの存在を受け入れて、照れくさそうに笑った。
「それで、その赤ちゃんはどうしたの?」
「えと…」
スガは瞬時に、おもらしのことについては言わないほうがいいなと判断する。
夢の中で、スガが抱いていたときに赤んぼ旭がおもらしをした、ということは、やっぱり現実でスガが旭にしがみ
ついたりしていたからあのことが起こってしまったのではという可能性を、旭がまた考えるに至ってしまう。
せっかく、旭が自分のしたことを許して、もう気にしない、と、言ってくれたのに、わざわざそれをぶち壊すような
ことなど言いたくない。
(今度こそ、ほんとに、俺のことイヤになるかも…)
隠し事など本当はしたくないが、背に腹は替えられない、と、スガは思った。
(中略)
スガは内心、ほうっと胸を撫でおろした。
(ほんとは、そんな偶然じゃなくて、)
(寝ぼけて旭の体に抱きついてたから、あんな、旭を抱っこする夢を見たんじゃないかなって気もするけど…)
(けど、旭には、すごい偶然、って、思っててもらったほうが、いいから)
(だからもう、なにも言わないでおこうっと)
スガすごいね、と、興奮する旭に、えへへ、と、照れ笑いを見せながら、スガはこっそり、心の中で苦笑して、
ごめんね、と、謝った。
(うちのスガさんはわりと嘘つくことに抵抗のないタイプのようです(苦笑))
ひとしきり、すごいすごいとはしゃいだ旭は、しかしふと、我に返る。またしゅわしゅわと、気分がしぼんでいく。
(スガはこんな、誰に話しても問題ないようなかわいい夢を見てるのに)
(俺は、あんな、誰にも言えないような夢、見て)
スガのために本当のことは言うまい、嘘をつき通そう、あんな夢を見て動揺したことはおくびにも出さないように
しよう、と、決めはしたけれど、けど、このままだと罪悪感に負けて、全部告白したくなってしまいそうで。罰して
もらいたいと、そう、思ってしまいそうで。
(けどそれは、スガに、嫌なことを、嫌な思いを、させるってことだから)
(人を怒るのってたいへんだよー(´△`)
だからそれをしてはいけない。いけないと思うけれど。
(……)
迷う。心が重苦しい。目線が少しずつ、さがる。
「あさひ、どうしたの?」
心配そうなスガの声が、優しいから。とても優しいから。
本当のことは言えない。だけど、これなら、言っても、問うても、許されるのではないかと、思ってしまった。
「あの、スガ、さっきさ」
「うん」
「旭だから、俺だから、いい、みたいなこと言ってたけど」
「えっ!あっ、う、うん」
「それはさ、俺がまた、なにか失敗…、またなにか、スガに謝るような失敗、しても…」
「うん」
「キライに、ならないってこと?」
もう、旭は覚えてもいないだろうと思っていた、言葉。突然言い出されてスガは面食らった。
けれど、まだ、覚えていてくれたのなら。そして覚えていて、くれるというなら。
まじめな顔で、スガは答えた。
「うん、そう、だよ」
旭の体から、ふっと力が抜けたのが見てとれる。けれどまた、ひゅっと肩があがった。
「スガは、許してくれる?俺が、どんな失敗、しても」
「どんな!?」
「あっ、いや、すごく借金するとか、犯罪するとか、そういうのはさすがにしないと思うけどっ!」
目を丸くしたスガに旭が慌てて言い加える。その様子が可笑しくて、スガはつい笑ってしまった。
くつくつと声を出して、体を折り曲げて。
「ご、ごめん…、けど急にすごいこと、言い出すから…」
(慌ててるところが可笑しくて笑ったんだけど、そこはちょっと伏せとくスガさん(笑)。けどまあ言ってるこれも
さほど嘘ではない感じで。犯罪ってなんだよ!(´▽`; みたいな感じで(苦笑))
「あ、す、スイマセン…」
「ううん、こっちこそ、笑ってごめん、そうだね、」
スガはふうと息を吐き、すうと吸い、まだ少し笑いの震えが残る体を落ち着かせると、真っ直ぐに、旭を見た。
「うん、許す」
「許すよ、旭なら、どんなことでも」
言って、スガがとても嬉しそうに、そして少し照れくさそうに笑う。旭の顔が、その名前のように明るく輝いた。
(喜ばれないと思った自分の言葉がほんとは喜ばれててすごく嬉しいスガさんと、よほどのことがない限り
スガは自分を見捨てない、という確証が得られて嬉しい旭で、まあそこそこハッピーエンド(苦笑)
先述しましたが、旭はまだそこまでスガのこと…、なので、スガの優しさに甘えて先に言質取っちゃうような
ちょっとずるいことも、自分はダメだなあと思いつつやっちゃう感じで(苦笑)
けど、スガを傷つけないようにがんばって嘘をつき通そうとするのはホントの気持ちだから(´▽`;
その気持ちがくじけないように、言葉が欲しい、という部分もある。そしてそれが叶って、旭は嬉しいと)
「ありがとう、スガ。よかった、俺、これでがんばれるよ」
「がんばる?なにを?」
「んん?いろんなこと!」
満たされた顔で笑う旭に、スガは少し不思議そうに首を傾げたが、けど旭がいいならいいか、と、スガも笑って
残りの食パンに齧りついた。
(学校に行くところで終わりかなーと思ってましたが、ふたりの気持ちにキリよく決着がついたのでここで
おしまい!(´▽`)
ところで、ここまでに、もうスガさんがパン食べ終わってると思っていた方がいらしたらごめんなさい…
ラスト、えっまだパン食べてなかったの?(゜▽゜; と、ひっかかりを感じず、スムーズに読めるように、どこかに
パンまだある描写を入れるべきかとも思ったんですが、それするとそこが妙に説明的になりそうだったのと、
あと、食べ終わった、って描写はないから、いいかなって… ひっかかりを覚えている方がいらしたら、ほんとに
ごめんなさいね!(;▽;)
(けどこのシリーズほんと難産でした(´▽`; 思いついたの一年前だし、今年の初めからなんかうまくいかない、
どう書いてもふたりのキャラが、なんか違う、となってしまって、改めて原作最初から読み返したりしたしな(´▽`;
けどそれやったおかげで今だいぶラクだけど(苦笑)
あと、油断するとすぐ暗い方向に行った!(´▽`;
スガさんが、からかったわけじゃないんだ、ってあんまり卑屈になるから、旭がスガさんのことをなんか殴りたい
とか思ってたりしたこともありました(苦笑)
最後の、許してくれる?のとこも、最初書いたときはなんかもっと旭が卑屈な感じになったりもしてたし…
けど、これはもっとこう、かわいいもじもじした感じにしたいんだよー!!!ヽ(;▽;)ノ
と思って、がんばりました。
ふたりのもじもじ、楽しんでいただけたなら、もうほんとにほんとに嬉しいです(´▽`)
(14/07/29)
(14/08/03 加筆) |