『バンデルフォンの小麦畑で』・諸設定とあとがき

■ホメロス

幼いころ両親と家屋敷を失いはしたものの、王にその頭の良さを買われて城に引き取られ、以降は
ホメロスを息子のように大事にしてくれる王のもとで養育され、教育も受け、
周囲からは王様の秘蔵っ子として将来は国の要職に就かされるのだろうと思われていたから順調に
出世してもそういうもんだと思われてとくに足をひっぱられたりすることもなく、すこやかに将軍やってる
ホメロスです。闇に走ったころの記憶はほとんどない感じ。

ホメロスの一人称ですが、グレイグに出会ったタイミングで『俺』も混ぜるかなあと思ったんですが、
(プライベートで仲良くなったあと、グレイグとふたりのときにだけ『俺』になる、とか)、しかし『私』の
ほうがしっくりくるし、この世界のホメロスは幼少時にグレイグと出会っていないので、
『俺』のグレイグの影響を受けることなく、幼少時の『僕』から、仕事するようになって使い始めた『私』、
という変化しかしていない、ということにしています。

彼の両親の死因や没落した原因、一度だけ行ったソルティコ、などは私の想像です。

(没落した原因については、なんとなく悪い人たちにしたくなかったので…)

ホメロスはクレイモランに留学していたくらいだし魔法の知識はそれなりにあるんだろうけど、だからと
いってあまり多彩に魔法を使わせると、ゲームではこれ使ってなかった、なんで?と、読み手を混乱させて
しまうかなと思い、ゲームに合わせてドルマだけにしています。

(なんとなくメラっぽいものを使ったりもしてますが、そういう理由で名称を出すのは控えてます)

ゲーム中、ホメロスがグレイグにどういうことを思って、どんな気持ちで闇に走ったのか、私にはよく
わからないので、この作品中でも、
闇に走ろうとするほど、魔軍司令になろうとするほど、という意味で、『(ホメロスを)強く揺さぶる、変化させる、
抗えない何か』、という表現にしています。

あとその気持ちが消えてしまったのは、魔軍司令ホメロスとして、あるいは裏切り者の軍師ホメロスとしての
人生が終わった年齢に追いついたからです。死んだあとのことは思い出しようがないということで。
そしてそれを表現したくての、死に絶えてしまった、です。

そのあと作中のホメロスは、かつてグレイグに抱いていた魔軍司令になろうとするほどの強い気持ちを、
今のグレイグに対して、隣りにいたくて将軍職を放り出そうとするほどの気持ちを抱いたのだ、と盛大な
勘違いをしますが、まあこれはグレイグの元にホメロスを行かせる話なので… これでいいんだ…

しかしモーゼフ様との別れのシーンなどで顕著ですが、ほんとホメロスってあのときグレイグと
出会わなければなんにも拗らせることのない人生だったんだなあって…

そういうふうに言うと、この話は闇に走ったホメロスを否定する話なのかと思われてしまうかも
しれませんが、そういうつもりで書いてはいません。
ホメロスとグレイグが出会ってすぐに親密になるのはかつての少年時代に仲良くしていたからだし、
四年間文通だけでも関係が切れなかったのはかつても文通していたからだし、
グレイグはホメロスを失った喪失感から、ホメロスはかつてグレイグに抱いた気持ちはなんだと考えて
この世界のホメロスなりの答えを出したから互いに求め合うのだし、
かつてのあれこれがなければこの世界で出会ってもきっとこうはならなかった、と私は思うので。

■グレイグとリタリフォン

この話はホメロスの一人称で語られるのでグレイグの心中について言及されることはほぼないんですけど、
けどそのへんちゃんと決めておかないとホメロスに対する態度にブレが発生するので、
ということで、グレイグの記憶に関しては、
子どものころ、親を亡くしたとき、自分にはその悲しみを慰めてくれる誰かステキな友達がいたような…?
という記憶と、それから、
自分のなにか、たとえば言葉などが足りなかったせいで、自分はなにか大きなものを失ったような…?
みたいなものがうっすらとある、とは決めています。

それとホメロスを見て、ふっと浮かび上がってくる記憶、みたいなものとして、
握手したときホメロスが泣いたのを見て、ああ今度は自分は失敗しなかったよかった、みたいな気持ちと、
転倒しかけたホメロスを支えたとき、デルカダールの将軍であるホメロスを、王や姫のものであるはずの
ホメロスを自分のせいで闇に走らせてしまった、という負い目からお返しせねばという言葉が出てくる、
と、いうのもあります。いずれもはっきりと思い出しているのではなく、なんとなくふわっと、です。

(このへんもうちょっと詳しく描写できればよかったんですけど、どうにも一人称では限界が…)

あと、ホメロスを失った36才を過ぎたのをトリガーにしてだんだん不安になってくる。だから手紙にああいう
ふうに書いてくる。
ホメロスをバンデルフォンに行かせる都合上、グレイグにはこうなってもらわないと困るんですが、けど、
このへんどれくらいまでグレイグを不安定にさせればいいのか探り探りでした。
きっかけは必要だけど、不安になったグレイグの求めに応じてバンデルフォンに行くのではなく、あくまで、
ホメロス自身がグレイグの隣りにいたいと思ったからバンデルフォンに行く、というようにしたかったので。
けど気を抜くとすぐグレイグが不安定になりたがる… 今までグレイグはわりとメンタル頑丈なほうかと
思っていたけど、意外とあかんときはあかんのかもなと書いてて思いました。けっこうイメージ変わった…

それからグレイグの過去ですが、両親がいないのはゲーム中の設定に揃えた、というか、もし両親が生きて
いたらきっと親のためにさっさと身を固めただろうなと思うので、作劇上の都合でそういうことになりました。

あとグレイグも作ってるバンデルフォンの小麦ですけど、わりと自由に各自好きなところに売っていいよと
いうイメージで書いてます。
ただ、個人で販路を持っている人はあまりいなくて、みんなだいたい国に買ってもらう感じです。

(作中でグレイグが販路を紹介してもらっていますが、それは最後にホメロスが押しかけ女房するから
ちょっと収入アップ描写を入れておいたほうがいいかなってことで)

作中でグレイグがホメロスの助けに入るときの武器、農家だからなあ… くわ?すき?と考えて、そうだ
この世界ならきっと薪割り用の斧があるに違いない!ということで斧になりました。
ゲーム中でもグレイグは斧キャラだから、斧にできてよかったです。

ところでグレイグについてとても心残りなのは、登場シーンの描写がわかりにくかったよなあ、ということ…
この話は私がツイッターで呟いていたことが元になってるんですが、そのとき、
マルティナの縁談絡みでバンデルフォンの城を訪れたホメロスが納品にきていた小麦農家のグレイグと
ばったり出会う、
みたいなこと言ってて、それでもうなんか説明した気になってしまって… けどそんなのすぐ流れちゃうのに…
うっかりしてましたスミマセン…
話の紹介文に小麦作ってるグレイグ、って書いてあるので小麦農家の、ってところでホメロスが目に見惚れた
あの人はグレイグだって気づいていただけてれば… いいなあ…!

リタリフォンですが、リタリフォンはデルカダールの馬、なのか、グレイグの愛馬、なのか考えて後者だろうと
思ったのでグレイグといっしょにバンデルフォンにいてもらっています。

リタリフォン、ゲーム中に登場したときは、きっとこのグレイグ将軍とともに立ちはだかる強敵に違いないし
グレイグとリタリフォンの絆もあるに違いない、と思ったんですが、
しかしこれといって活躍することもなくグレイグはリタリフォンを残して主人公の仲間になってしまったので、
仕方がないから自分で書きましたリタリフォン… たくさん書けて満足です。

(封神ご存知の方ならわかっていただけると思うのですが、リタリフォンは封神でいうところの黒麒麟的な
立ち位置だと思って、あんな感じの活躍を楽しみにしてたんですよね…)

■マルティナとデルカダール王

ホメロスにバンデルフォンに行ってもらわなければならない都合でバンデルフォンの王子と縁組み
されたり、キラーパンサーに襲われてほしい都合で王族の血は特別にされちゃったり、ホメロスに
幸せを感じてもらいたい都合で懐妊させられたり、
いろいろ捏造しちゃってごめんという感じなんですが、けど幸せな感じには書けてると思うのでこれは
別の世界線での仮定の話、だと思って見逃していただけると大変ありがたいです…

あとたしか、ゲーム中マルティナは、自分は我流で強くなったからちゃんと基礎から修行してみたかった、
みたいなことを言っていたと思うので、作中でニマ大師に師事してもらいました。
ユグノアの王子は六年間預けられるそうですけど、マルティナはデルカダールのひとり娘だし二年くらい
かな。

そしてそんなマルティナとホメロスは肉体派(脳筋ともいう)と頭脳派でそこまでそりが合うわけでは
ないんですけど、けどホメロスはマルティナの気高さや強さを、マルティナはホメロスの賢さや仕事熱心さを
互いに尊敬し合っている、というつもりで書いています。

マルティナの幼少時はホメロスがクレイモランに行ってたり、ホメロスが戻ってからもマルティナがドゥルダに
行ってたりしたので、双方がともに子どものころに一緒に過ごした時期はあまりなく、精神的な距離としては
兄妹のようなというよりも、年のあまり離れていない叔父と姪みたいな感じでしょうか。

デルカダール王は、もしウルノーガに乗っ取られなかったらきっとこういうふうにホメロスのこと本当の息子の
ように大事にしただろうし、
ゲーム中では王の心中は語られていないけど、乗っ取られていたときのこととはいえ、自分で切り捨てて
しまったこと、悲しくないわけはなかっただろうと思うので、作中では仲のいい感じに…

(なおモーゼフという名前は公式ガイドブックより)

(父と息子のような親密さを出したくて、ふたりだけのときなどは名前で呼ばせています)

マルティナも王も、ホメロスがなにかを拗らせて世界が大変なことになったり、ホメロスが悲劇的な最期を
迎えたのでもしホメロスに友達ができて幸せを掴みそうになったら応援しないと、みたいなことはなんとなく
ふわっと心の中にあります。だからバンデルフォン行きを快く許すのです。

■バンデルフォンの人たち

広大な小麦畑のもたらす潤沢な食糧、花と芸術を愛する国民性… というわけで、バンデルフォンの
方々は王と王妃をはじめ皆さん明るく親しみやすい、オープンなお人柄、ということにしています。
美しいもの、おいしいもの、楽しいことが大好きなイメージ。身分関係なくフラットに接する。ほがらかで
おおらか。

(というか建国者のネルセン、あの人はたぶん一般人だと思うんですよね。セレンと結婚して海底王国に
行こうとするくらいだから、王族とかではないんだと思う。だから、バンデルフォンは代々あまり威張らない
王様だったんじゃないかなと)

あと兵士長ですが、私このへんの軍隊の組織についてよくわかってないので適当に兵士10人くらいを
率いてる人のイメージで兵士長って書いてしまったけど、もしもっと偉い役職だったら本当にスミマセン。

(少なくとも将軍よりは下だろうからいいかなって思って… ごめん…)

それから、マルティナと結婚した王子なんですけど、結婚したあとも王子って表記するのはヘンかな?
ホメロス視点からなら、旦那様、とかか?と思いましたが、
けどどう呼んだらいいのかまったくわからなかったので、(どこをどう調べたらわかるのかということも
さっぱりわからなかった)、もうそのまま王子で押し通しましたごめんなさい。

■ウルノーガ

まず、ホメロスにかっこよくグレイグのピンチを救ってもらって、そこからの俺の光、という流れに
したかったというのがありまして。
それでまず、台風とか落石とか、自然災害が起こる方向で考えてたんですけど、うまくホメロスひとりで
かっこよく解決できそうな現象をひねり出せなかったのでこういう感じになりました。

で、魔物も最初は、飛ぶしバンデルフォン地方に出没もするし、ということでイビルビーストとかで考えて
いたんですけど、どうせならもうホメロス自身にいろんなことの元凶を叩き切ってもらおう、ということで、
ウルノーガになりそこねたウラノスの残留思念みたいなものにおでましいただきました。

この世界は、セニカがローシュに打倒ニズゼルファを完遂させた世界なので、ウラノスが邪神の甘言に
そそのかされてローシュを刺すこともないし、ウラノスがウルノーガになることもなかったんですけど、
けどそうすると、ニズゼルファにつけ込もうと思わせるほどの、ウラノスのローシュへの思いというのは
どうなっちゃうのかなと。
ゲーム中では刺してしまうことである意味思いを遂げたみたいになってしまっているけど、この世界では
それが叶わなかったぶん、ウラノスは死ぬまでローシュに対する思いを持ち続け、
場合によってはゲーム中より拗れていたかもしれないなと。死後も思いが残るほどに、と。

(だからウル様登場させるのもありだし、対決させるのもありかなと)

なお、このウラノスはウルノーガにはなってないけど、ウルノーガの記憶はなんとなくあるということで
お願いします。

(だから、双頭の鷲のペンダント見て、あっこいつはかつて自分が手下にしたあいつだ、とか思うわけ)

(それでそそのかしにかかるんだけど、幸せいっぱいのホメロスには気づいてもらえませんでした)

あと杖を持っているのは、ホメロスがそれをウラノスの杖だと思い出すシーンを入れることで読み手に
あれはウラノスですと説明するための作劇上の都合です。

(そしてあの杖をよりにもよってドゥルダで保管されていたことにするのはウラノスに対してあまりにも
残酷かなと思ったんですが、他にゆかりの地もなかったので(たしかゲーム中に出てきたのはここだけ
だったはず)ローシュとウラノスが友情を誓ったドゥルダにしました… ごめん…)

■世界について

作中の、グレイグの目がソルティコの海のようにキレイだとか、デルカダールからナプガーナ密林を経由して
ソルティコまでをひと晩で駆け抜けたりとか、ホメロスがバンデルフォン東側の山を登ったりとか、
そのあたりのことはすべて、3DS版のほうで色味や距離感を確認しています。

(もしかしたらPS4版とはいろいろ違う点があるかもしれませんが、私は3DS版しか所持していないので
その点ご容赦いただけると嬉しいです)

この話は過去に戻ったセニカがローシュたちとニズゼルファを倒した世界、なので、勇者の星も存在して
いないし、星の番人としてのサマディーも建国されないはずなのですが、
しかしそれだと私が悲しいので、(ファーリス好き…)、作中ではなんらかの理由でちゃんと建国されたと
いうことにしています。

(セニカも、自分が過去に戻ることで国がひとつなくなってしまうのは本意ではないと思うので、このへんは
未来があまり大きく変わらないように彼女がうまくやってくれたと思いたい)

冒頭、マルティナたちがデルカコスタから船に乗っているのは、いくらデルカダールからいちばん近くの
海に面した街がソルティコだからって、
まさか一国の姫にナプガーナ密林を通らせるわけにはいかないだろう、ということで。

(デルカダールにルーラすると、デルカコスタ地方に船がいますよね。あそこから乗る感じで…)

(なお三日後着、というのにはとくに根拠はありません。だいたいそんなもんかな、くらいの理由です)

逆にホメロスは、グレイグに会いたくて夜中のナプガーナ密林をばっさばっさ草木なぎ払いながら
進むシーンが書きたかったので、一般人はデルカコスタからの航路使用不可、と適当な理由をつけて
ソルティコまで行ってもらいました。

しかしソルティコには港がないんですね。となると、ここからはあまり大きな船の発着はないのかも、けど、
すぐ向かいのダーハルーネまでなら、リゾート地とスイーツが名物の土地、ということで定期的に行き来する
小さな船くらいは出てるんじゃないかな、と思い、ホメロスは、ソルティコからダーハルーネを経由して
バンデルフォンに行く、というルートにしています。

(たしか、ゲーム中、ベロニカだったかな?が、主人公たちと出会ってシルビア号に乗れるようになるまでは
船旅が大変だった、みたいなことを言っていたような気がするので、このホメロスの船旅は、ロトゼタシアに
おいて一般人が船で移動するのは大変、みたいなイメージで書きたかったのです)

それから、ホメロスがソルティコまでの道中で乗っている、旅人のために放牧している馬、というのは、
3DS版ではおなじみの、フィールド各所に配置されている馬のことです。
PS4版ではベルで馬を呼ぶ(フィールドにはいない)そうなので、単に、馬、という表現だけでは、PS4版しか
ご存じない方には、なんでいきなり馬が出てくるんだろう?と不思議に感じさせてしまうかなと思い、こういう
表現にしてみました。

あと、デルカダールからユグノアへは、単純に北上すればいいだけかと思っていましたが、ゲームをよくよく
確認してみると、徒歩や船で行ける直通ルートがなかったので、ゲーム通り、
バンデルフォン地方からユグノア入り江の島の南側のあの細い道を通るルート、で、描写しています。

(主人公は川を流れてユグノアからイシの村まで辿り着いたので、もしかしたらデルカダール地方から川を
遡上すればユグノア地方まで行けるのかもしれませんが、ゲームに登場していないルートを出してもわかり
にくいかと思い、ゲームに準じました)

デルカダールという国について。ゲーム中の本で読める王国の歴史(デルカンとダールのあれです)に
よると、開拓と治水によって実り豊かな大地に変わったそうなんですが、
けどフィールドをうろうろした感じ、あんまり平らな土地もないし、山と密林とあとは海だなあと思ったので、
不毛の大地というほどではないが潤沢というほどでもない、ぎりぎり自給できるレベル、くらいを想定して
書いています。雨が少ないとか、なんらかの自然災害がちょっと起こればもうアウト、みたいな感じ。

(だから作中のホメロスもクレイモランで小麦栽培とか少しでも食糧自給率をあげるための勉強をしています)

また、ゲーム中のデルカダールはかなりの軍事大国のようですが、それはたぶん、魔物が横行している
世界で、魔物討伐のために軍隊を各国に派遣しているからだと思うんですね。
だからゲーム中のデルカダールは、カミュがダーハルーネの町長にも言っていたように睨まれると面倒な、
チカラのある国、だと思うんですけど、
けどこの世界は邪神も魔王もいなくて魔物もあまり強くない世界なのでデルカダールもそこまで軍事的に
強い影響力のある国ではないというか、
そうしておかないとホメロスが思い立ったらほいっと将軍職を投げ出せなくなるので、そういうことにして
います。

(マルティナの護衛でバンデルフォンにも行けなくなっちゃうし)

■雑誌に掲載されたキャラの情報について

11月に発売されたパッシュに載っている、ホメロスのクレイモラン留学、没落した名門貴族の子、あたりは
創作に反映しています。
あと、彼は社交界で他国の将に遅れをとらないように高い香水をつけたりしてがんばっていたそうなので、
あっ、じゃあきっと他国の将からセクハラじみたこともされてるだろうな、
と思い、そういう人を作中に登場させてみました。

(最後に蹴り飛ばされちゃうところまで含めて書いてて楽しかったです。ありがとうパッシュ)

ホメロスの両親の死因とか没落した原因などは私の想像です。

12月に発売されたパッシュに載っている、身長と体重のデータは書き終わったあとに読んだので作中には
反映されていません。

(なので、ふたりの身長差はだいたい10〜15センチくらいを想定して書いていました)

作中、転倒しかけたホメロスをグレイグが支え、それに対してホメロスが安心感を抱くシーンがありますが、
あれはあくまで、

相手がグレイグだからそう感じる

のであって、自分より25センチ大きい人に支えられたから安心、というシーンではない、ということをご留意
いただけると本当に本当に嬉しいです。

(そりゃ体重30キロぶんも体格に差があれば腕の力も強かろう…)

(あと、ここは双方ともに離れたくない離したくないと思ってるシーンなので、そこを別れてホメロスに帰って
もらうためにはなんらかのきっかけがいる、となったとき、
ふたりのペンダントがぶつかって立てた音にはっとなって離れる〜、みたいなのをちょっと考えたんですが、
結果的にそれは使わなくてよかったです。25センチ差じゃまず触れ合わない…)

■小麦について

ゲーム中のフィールドには実った穂とまだ緑色の穂の畑の二種類あるので、たぶん時期をずらして種を
まいているんだろうなと思い、調べてみたら、小麦には秋まきと春まきがあって、収穫時期もそれぞれ
夏と夏の終わりらしいので、作中の季節の描写もそんな感じにしています。

あと、収穫前の小麦に雨ってよくないらしいんですけど、けど、西に傾く日をバックに濡れてきらきらした
ホメロスにばーんとグレイグの家のトビラを開けてもらいたかったので降らせました。

(あまり長時間降らせてないから許してほしい)

(以下、18/06/04追記。
私が小麦について調べたとき、北海道の小麦のことが出てきて、で、バンデルフォンは雪国のクレイモランと
あまり緯度も変わらないし、北海道みたいに広いし、北海道っぽい気候かなあ、と思って北海道の小麦栽培の
ことを参考にしたんですが、しかし先日、

滋賀県は五月の終わりにもう実ってる

ということを知ってしまい… (たしかに、収穫前の小麦に雨はよくないらしいし、それを考えると梅雨のある
本州では収穫が梅雨の前というのもわかる)
なので、

この作品は北海道の小麦栽培を参考にしています

ということを追記しておきます。スミマセン。
(追記終わり))

■年齢について

ゲーム中のユグノア襲撃時のマルティナを、8才と仮定して計算しています。グレイグがこのとき20才なので
同い年のホメロスも20才。
で、マルティナ20才のとき、ホメロス32才。
このとき、グレイグ32才と出会って、四年間文通して、ゲーム中でふたりが死別した36才をトリガーにして
作中の事態が動く…みたいな流れです。

(余談ですが、私はゲーム中のふたりはだいたい12才くらいでそれぞれソルティコ、クレイモランに旅立ち、
16才の成人近くになってデルカダールに戻ってきたと思っています。(そして成人と同時に就職)
作中のふたりが32才で出会うのは、マルティナをはたちと切りのいい年齢にしたかったからというそれだけ
なのですが、同じ四年ほどの時間を文通期間にできたのでちょうどよかったです)

■その他の細かいこと

グレイグに斧を渡すとき、これ贈呈?授与?それとももっと他に相応しい言い方ある?と悩みましたが
王子のことと同様にわからなかったので贈呈にしています。贈るって言ってるし…

(今まで、中世ヨーロッパ風の世界観を持つファンタジー作品にはまったことがないので、本当にまったく
わからなくて… 王族の結婚というものもだいたいこんな感じかな??と、カンで書いていますので、
いろいろおかしなところがあったらスミマセン)

三点リーダ(…)と読点(、)の使い方なんですけど、これらはぜんぶ私の感覚で打ってます。
三点リーダはふたつ使うのが一般的なようなんですが、私はあれだと間が長いように感じてしまって
あまり好きではないのでひとつに。読点は三点リーダひとつよりもっと短い間のつもりで使っています。

作中に出てくる服装についてはご自由にご想像いただければ…
マルティナがグレイグに作った服だけは、ゲーム中のマーシャルセットみたいなイメージで書いていますが、
他はとくに決めていません。

■あとがき

主人公が過去に行くとき、グレイグはなにも言わなかったけれど、もしかしたら、マルティナ様を魔物から
人間に戻したように、ホメロスのことも、と思っていたなら。
けど、過去に戻った主人公はなにもできなくて、またグレイグはホメロスを失うことになって、しかも過去の
大樹でホメロスが消えたときはほとんど口封じみたいな形でなにも言えずにホメロスは消えてしまったから、
きっとあのあとグレイグはずっと、ホメロスどうして、と苦しんだんだろうなと思うと、申し訳なくて、辛くて。

私は、時のオーブを割ると、やり直した過去が遅かれ早かれそれまでの歴史を上書きしていく、と考えて
いるので、じゃあセニカが戻ってニズゼルファを倒して、バンデルフォンもユグノアも滅びなかった世界線で
またグレイグがホメロスを出会う話を考えられたら、ホメロスどうしてと苦しむグレイグの救済になるかなと
思いました。グレイグの腕にホメロスを抱かせることができてよかったです。



(以下18/01/16追記)

この話を書く上で重大なことを失念していました。バンデルフォン滅亡時の王様について、ゲーム中で
言及がありましたね。
ネルセンの宿屋の台所の本棚で読める、『はるか遠き故郷 バンデルフォン』という本の中に、当時、
黄金の獅子王と呼ばれた名君アーサーが治めていたと記載があります。

ゲーム中の設定になるべく準じようとすると作中のバンデルフォン王はこのアーサーでないといけないの
ですが、この本のこともアーサーのことも今の今まですっかり忘れておりまして…

なので作中の王様はアーサーではない、完全に私の捏造の王様です。
そしてアーサー王の設定を踏まえて書き直そうとするとかなり手を入れなければならなくなるので、この
お話はもうこのまま、アーサーではない王様、ということでいこうと思います。申し訳ありません。

(追記終わり)



(17/12/17)

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