10月22日(6日目)
7時起床。8時5分にかばんを廊下に出し、そのまま朝食会場に向かった。朝食はパンとチーズ。9時にホテルを出発した。運転手はマリオさん、ガイドはミラノで合流するので添乗員さんがマイクを握る。今日の夕食時に添乗員さんの年齢当てクイズをするので皆さん考えてくださいとのこと。景品も用意しているというので、何としても当てなければ。10時30分、トイレタイム。
12時40分、バスはミラノ市内に入り、昼食を取った。リゾットとミラノカツレツとデザート。昼食後、再びバスに乗車し、ミラノのドゥオモ広場に向かった。途中で面白い光景が目に入った。イタリアは駐車場が少ないらしい。道路の両側は車がガードレールのように並んでいる。交通のじゃまにならなければどこに車を停めてもかまわないという習慣があるらしい。バスが信号待ちしていると、一台の軽自動車が駐車しようとしていた。そこは車と車の間隔が狭く、どう見てもその軽自動車は入らない。すると、その軽自動車は自分の車のバンパーで前に停めてある車を押して車体を入れ、そのあとバックして後ろの車を押した。そして、見事に駐車することができた。運転していたのは女性で、何事も無かったように車から出てきてどこかへ歩いていった。私達はバスの中でこの光景を唖然として見ていたが、添乗員さんはイタリアではどこでも見ることができますよと言った。ぶつけられるのが嫌いな人は道路に駐車しない。バンパーは車を押す為についているので、誰も文句は言わない。イタリアの車のバンパーは傷だらけだという話でした。
14時10分、ドゥオモ広場に到着した。ミラノのドゥオモは先が尖った形をしていて、最上部には聖母マリア像が掲げられている。ドゥオモは1386年に工事が始まり、1887年に完成した。完成まで500年もかかったそうである。広場にはイタリアを統一したヴィットリオ・エマヌエレ2世像が建っている。写真を撮ろうとしたら、景色に違和感があったので、シャッターを押す手が止まった。像の後ろの建物は修理中だったのだ。日本だったら修理中の建物は白い幕で覆ってしまうが、イタリアでは観光客ががっかりしないように、建物を覆っている幕に復元前の建物と同じ絵が書かれているのだ。おかげで良い写真が撮れそうだ。イタリア人の心遣いに感謝し、シャッターを押した。広場の横にはアーケードがある。ガレリア・ヴィットリオ・エマヌエレ2世というアーケードでおしゃれなお店が並んでいる。このアーケードを歩いていくとオペラハウスがあるスカラ広場だ。
ガレリア・ヴィットリオ・エマヌエレ2世を通ってスカラ広場に向かった。スカラ広場に到着した。広場の中心にはレオナルド・ダ・ヴィンチ像があり、周りのベンチには座って話をしている市民や、お弁当を食べている市民がいた。正面にはオペラハウスがある。第2次世界大戦で爆撃を受け破壊されてしまったが、その後設計図が見つかり復元されたそうだ。クリーム色の落ち着いた建物で、花が飾られている。入り口にはイタリア国旗が掲げられていた。広場の横にはミラノの市庁舎があった。3階建ての格調高い造りだ。こんな建物の中で働いてみたい。正面に3枚の旗が掲げられていた。中央はイタリア国旗、右側はミラノ市の旗、左側はEUの旗。ヨーロッパの一員であるイタリアは、通貨統合を目前にしている。慣れ親しんだリラからユーロという通貨に変わろうとしている。ミラノ市職員の心の葛藤が見えるような気がする。
スカラ広場を離れ、バスに乗ってスフォルツェスコ城に向かった。この城は、ルネッサンス期に建てられた要塞で、周囲は城壁で覆われた強固な建物だ。正面は公園になっていて、噴水はケーキのような形になることで有名だという。残念ながら現在は故障していて、ケーキのような形にはならなくなってしまったそうである。
バスに乗り込み、ホテルへ向かう。途中お店に立ち寄り、スカーフと添乗員さんへのお礼にチョコレートを購入した。バスはミラノ中央駅正面の道を通り、16時30分にホテルに到着した。ホテルの名前はガレス・ミラン。部屋は148号室。17時から夕食が始まる19時30分までフリータイムとなったので、ミラノ市内を散歩してみることにした。
ホテルを出て、コルノ・ブエノス通りを歩いてマクドナルドへ向かった。添乗員さんから、イタリアのハンバーガーは日本のハンバーガーよりもおいしいと聞いていたので、どうしても食べてみたかった。お店に入ると注文表がありメニューが並んでいた。レジには男の店員さんが立っていて、店に入ってきたあやしいアジア系の外国人を見ている。私は覚悟を決めてレジに向かった。
「チーズバーガーセット・オーケー」
すると店員さんは口元に笑みを浮かべ「オーケー」と言い、チーズバーガーのセットを用意してくれた。値段は9900リラだから、日本円にして約600円。日本より少し割高感がある。見た目は日本のパンよりふっくらしている。さっそく食べてみた。「オーケー・ベリー・グッド!」思わず英語になってしまう。お肉は肉汁が出るくらいやわらかく、パンは少し焦げ目がついていてお肉の味ととても良く合う。窓からミラノのショッピング街を眺めながら気持ちの良いひとときを過ごした。
マクドナルドを出て、ミラノ駅まで散歩した。途中すれ違う人はほとんど私より背が高い。イタリア人だけではなくアジア系やアラブ系の人も多い。特に中国人が目立つ。イタリアの若い女性は映画に出てくる女優さんのように美しい人が多いが、年をとるとみんな太ってしまうのだろうか。駅前のヴィトゥールヴィオ通りは歩道が狭いので、イタリアの女性が歩道で話しこんでいると通れない。左右を建築物に囲まれた通りの視野が突然広くなった。どうやら駅前広場に着いたようだ。ミラノ中央駅は巨大な石造りの建物で、巨人が出入りするような大きな入り口が3つ並んでいる。3つの穴にアリの群れが吸い込まれていくように見える。体格の良いイタリア人もこの駅の前では小さなアリ。日本人はアリが運んできたエサよりも小さい。広場では子供達がローラースケートのようなもので遊んでいる。ベンチに座っているのはビジネスマンや学生だろうか。駅前の通りには路面電車が走っている。薄暗くなってきたのでホテルに戻ることにした。通りを歩く人が足を止めて空を眺めている。何を眺めているのだろうと思って空を見ると、鳥の群れが幾何学的な模様を描きながら空を飛んでいた。そのうちの一群が線のようになって大きな木に吸い込まれていった。あちらこちらで歓声があがっている。もう暗いからねぐらに帰るのだろう。鳥が吸い込まれていった木は、葉っぱが揺れている。多くの群れが羽を休めるために木に吸い込まれていく。とても面白い光景だ。空を眺めていたら、イタリアの女性警官に笑顔で話し掛けられた。「面白いでしょ」と言っているのだろうと勝手に解釈して「イエース」と笑顔を返してその場をあとにした。
18時30分、ホテルに戻った。部屋で少し休んだあと、ホテルのレストランに向かった。夕食はミネストローネとチキンとポテト。スプライトが6000リラで、オレンジジュースが8000リラだった。ここで、添乗員さんの年齢当てクイズが行われた。私達は添乗員さんの年齢を29歳か31歳と予想した。しかし残念ながら添乗員さんは30歳だったので、ふたりとも惜しくもハズレでした。食事が終わり部屋に戻ってから荷物の整理をした。今晩がイタリア最後の夜。部屋の窓を開くと、自分が映画俳優になったような気分になれる。窓の外はすでに暗く、ネオンが綺麗だった。
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