現実逃避・魂離脱?
アリンコがエサを運んでいる。
自分の体より大きな虫の死骸を口にくわえて歩いている。
小さなでこぼこも、アリンコにとっては山脈のようだ。
エサを落とさないように右へ左へと何処かへ向かっている。

気のせいかだんだんアリンコが増えてきた。
芋虫をズルズル引っ張っているアリンコもいる。
近くにいたアリンコがそれに気付き、手を貸した。
いや、アゴを貸した。
芋虫は穴の中に運ばれていった。
巣穴だ。

私が目で追っかけていたアリンコはどこへ行った。
キョロキョロ捜すとすぐ見つかった。
私はそのアリンコをアリコと名付けた。
アリコも苦労しているようだった。
アリコが運んでいるのは大きな羽が付いている。
さっきのアリンコと違って誰も助けてくれないようだ。
それでもアリコは必死に巣穴に向かっていた。
後ろ向きに歩いているのに何で巣穴がわかるんだろう?

巣穴に近づくと、さすがに援軍が来た。
アリコがエサをくわえながら巣穴に入っていった。
エサが入らない。
アリコが巣穴から出てきた。
エサはモンシロチョウだった。
どう考えても羽が入らない。
「オー・マイ・ゴッド!」
言ったかどうかわからないけど、アリコが手をあげているように見えた。

周りにいたアリンコがアゴで羽を切り始めた。
そして胴体だけになったモンシロチョウは巣穴に消えた。
羽は巣穴から遠いところに投げられた。

ふと我に返った。
自分は何をしているんだろう?
最近、魂が飛んでいくことが多い。