浅草駅で降りて外に出ると、いつも気になるものがある。
何だあれ?
建物の上に金色の人魂のようなものが?
何であんなものを作ったんだろう?
私には人間の魂に見える。
それにしても浅草の三社祭りは迫力があった。
前も後ろも右も左も人・人・人。
「神輿が通るからどけて!」とどこからともなく聞こえてくる。
目の前のカップルが突然ラブシーンを演じても目をそらすことすらできない。
近くのおばさんが「まあいやらしい」といいながら目を離さない。
二人は目を閉じながら自分達の世界を楽しんでいた。
やっと動けるようになり、その場を離れた。
本堂までどれくらい時間がかかるか見当もつかなかった。
今回はあきらめることにした。
わき道にはいると下町の雰囲気が感じられた。
昔より高齢者が増えたような気がした。
公園は木々で日光が遮られ、ベンチには髭を生やしたおじさんが寝ている。
木陰の青いビニールシートは彼の住み家のようだ。
今日はお祭りだから、ゴミ箱は山のようになっており、入りきらないゴミは、ゴミ箱のまわりに散乱している。
おじさんたちがゴミ箱の中から生活に必要なものを集めていた。
これが日本の首都の姿だ。
海外からの観光客がどう思うだろうか?
浅草駅に戻った。
ロッカーの荷物を取りにいくと、神輿を担いでいた人達が着替えていた。
裸の体から湯気が出ていた。
私より先に荷物を取りにきた人が「ちょっとすいません」と言った。
「少し待ってろ!今着替えてるんだ!」と罵声が返ってきた。
ここで着替えている方がおかしいのに変な世の中だ。
怖そうな人たちだったので私も着替え終わるのを待った。
こんな人たちに拍手する必要はあるのだろうか?
大和魂はどこへいってしまったのだろう?
あの不思議な物体は日本人の魂だ。
どこかへ飛んでいこうとしているんだ。
20年前・30年前の日本を思い出そうよ。
みんな一生懸命だった。
生きる目標があった。
生活に秩序があった。
道徳があった。
親をうやまい、老人をいたわった。
魂が飛び立とうとしている。
誰も止めないの?
日本が世界に誇る大事なもの。
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