ある寒い朝、玄関の前に丸くて大きな氷の塊が落ちていた。空を見たら月が出ていた。私はすぐにピンときた。寒かったから月が凍ったんだ。朝になって暖かくなったから溶けて落ちてきたんだ。
毎日我が家の前だけに落ちてくる氷の塊に疑問を抱くようになった。曇って月が隠れている日にも落ちていた。でも前の日の晩にはたしかに落ちていなかった。わからない。もしかしたら飛行機から落ちてきたのかもしれない。
ある日の午前4時、おじいちゃんが雪かきをする音で目覚めた。手伝おうと思って外へ出た。あれ?氷の塊がない。空を見たら月が出ていた。おじいちゃんが投げてしまったのだろうか。ママさんダンプで除雪をしていると玄関が開いて、おばあちゃんが出てきた。おばあちゃんは、たらいを地面に叩きつけると、また家に戻っていった。
私はママさんダンプをその場に置いて、小走りで玄関前に向かった。そこで見た物はいつも落ちている氷の塊だった。 |