ブロードバンドって何だ?


 ここ数年で通信速度が格段に向上した。やれADSLだの、光ファイバーだの高速回線が目白押しである。これらには
それぞれ8Mbpsとか100Mbpsといった単位の速度が付けられていて、通信速度の目安となっている。しかしこれらの
速度はあくまで理論上の最高速度である。したがってこのスピードが実際に出ることは、まずないだろう。これについて
は雑誌などで紹介されているので知っている人も多いはずである。実際のスピードは最高速度の60〜75%というのが
定説のようだ。また現在でもISDNやアナログ回線を使ってネット接続している人も多数いる。これらはナローバンドと
呼ばれ、時代遅れのレッテルを貼られた感がある。



 しかしこうやって書いてみても、通信速度というのは数値でしか比べることができない。特にブロードバンドと呼ばれる
ADSLなどは8Mbpsと1.5Mbpsはどれぐらい速さが違うのかは、なかなかピンと来ない。そこでこれらの通信速度の違い
を少しでもわかりやすくするために、以下のように例えてみよう。

(1)アナログ回線(56Kbps)…ローカル線

(2)ISDN回線(64Kbps)…都市間幹線

(3)ADSL回線1.5M…ひかり号

(4)ADSL回線8M〜…のぞみ号

(5)FTTH回線(光ファイバー、100Mbps)…ジェット機

 こんな感じに分けてみたが、それぞれなぜそうなのかを説明する。

 (1) 当然あまりスピードが出ない。そしてカーブが多いなど線路状況が悪いため、まともに最高速度を出すことが
できない。→スピードを考えなければ、一番安価で導入しやすい。

 (2) 直線が多い分そこそこスピードを出せるものの、最高速度はまだ低い部類である。しかし安定して大量輸送
することができる。→比較的導入しやすい。また通信が安定しているので、企業内ネットワークにも多用されている。

 (3) 車両と線路が強化されているので、それなりに速い。しかし最高速度で走れる区間が意外と短いので、平均
速度としては少し遅くなる。→(2)と値段的にはあまり変わらないので、コストパフォーマンス(費用性能比)が小さい。

 (4) (3)とほぼ同じであるが最高速度が高くなっているので、多少値段が掛かっても利用率が高い。しかしこれも
(3)と同じく最高速度で走れる区間が意外と短い→コストパフォーマンスを考えればこれが最高。

 (5) 非常にスピードが速く、最高速度で運行する時間が長いので時間的には圧倒的に有利。しかしかなり値が
張るので、そう頻繁には利用できない。
割引が多彩で区間によっては新幹線よりも安くなる。
→速度はダントツで通信も安定している。ただし現状では値段が高すぎ。普及率のアップにより、値段が下がってきた。



 こうしてみると少しはわかりやすくなったと思う。乗り物に例えた理由は体感速度を表現しやすくするためである。

 私自身の話になるが、最初(2)の変形であるPHS接続を利用していた。後に(2)へ変更したのだが当然のこと
ながら体感速度はほとんど変わらなかった。しかし費用を約4分の1に抑えることができた。1年半ほど(2)でネット
接続をしてきたが、時代が変わったのか(2)と(3)の月額利用料がほとんど変わらなくなっていた。実は(5)への
”飛び級”を狙っていたが、物理的に導入できない(マンションなので個別に光ファイバーをひくことができない)ことがわかり、
断念せざるを得なくなってしまった。
 そこで(3)か(4)ということになるが、プロバイダのキャンペーンで申し込んだので自動的に(3)になってしまった。
しかしいざ(3)に変わってみるととてつもなく速いと感じた。速度的には約25倍になったのだが、それ以上に
速くなったような気がしてならない。上の例えで説明すると在来線から新幹線に乗り換えるようなものなので、如何に
体感速度が違うかというのがわかると思う。今後(4)にすることも考えられるが、おそらく体感速度はそう変わらない
はずなので変えるつもりはない。それは例えでもわかる通り、「ひかり号」と「のぞみ号」では時間的速度は違っても
体感速度はあまり変わらないものである。
 (5)についてはどちらも体験していないので何とも言えないが、おそらく体感速度は(3)、(4)とあまり変わらないもの
と思われる。もちろん使い方にもよるので、映像コンテンツや超大容量ファイルのダウンロードなどにはその力を
十二分に発揮できると思われる。月額使用料については以前払っていたぐらいの額なので払えなくはないが、相対的
にはまだ高すぎると思う。これが現在の(3)、(4)ぐらいの費用で利用できれば、気軽に利用できるのだが…。

 これまでのことをまとめてみると、以下の通りとなる。

(1)、(2)→(3)、(4)、(5):体感速度大幅アップ!

(1)→(2)または(3)→(4)、(3,4)→(5):体感的にはそんなに変わらない。

あくまで体感速度だけで分類してみたが、前述の通り使い方にもよるので一概には言えない。ただこれから通信
インフラの乗換えを考えている人は、これが少しでも参考になればと思う。

 理想としてはGbps単位の回線が月額2,3千円で日本全国どの地域でも利用できるようになればと思う。そんな無茶
なという声が聞こえそうだが、これぐらいは何年掛かるかは別として、充分実現可能である。むしろそれができないよう
では、日本はいつまでたっても欧米諸国に追いつくことはできない。有名な話だが、お隣韓国ではADSLの普及率が
90%以上だという。こういうことから日本の通信インフラの整備がいかに遅れているかがわかる。

 あと数年後にどうなっているか期待を込めて見守っていこう。

参考までにブロードバンドスピードテストで計測した結果を掲載しておく。

測定サイト http://speed.on.arena.ne.jp/ v2.0.8
測定時刻 2002/05/24 19:27:01
回線種類/線路長 ADSL/1.5km
キャリア/ISP NTTフレッツADSL 1.5Mbps/biglobe
ホスト1 WebArena(NTTPC) 1.12Mbps(539kB,4.0秒)
ホスト2 at-link(C&W IDC) 990kbps(539kB,4.3秒)
推定最大スループット 1.12Mbps(141kB/s)
コメント NTTフレッツADSL 1.5Mbpsとしては標準的な速度です。(3/5)

そして引越し後…(移転手続きの時、「遅くなりますよ」と言われた)

測定サイト http://www.bspeedtest.com/ v2.0.8
測定時刻 2002/10/27 22:12:34
回線種類/線路長 ADSL/2.5km
キャリア/ISP NTT flet's ADSL 1.5Mbps/biglobe
ホスト1 WebArena(NTTPC) 1.05Mbps(539kB,4.3秒)
ホスト2 at-link(C&W IDC) 950kbps(539kB,5.2秒)
推定最大スループット 1.05Mbps(131kB/s)
コメント NTT flet's ADSL 1.5Mbpsとしては標準的な速度です。(3/5)



2004年7月30日ついに光ファイバーを導入した。前述のようにマンションなので完全に諦めていたが、
VDSLという既存の電話線を使って各戸に供給する方式が普及して、今回実現に至った。
しかし純粋な光ファイバーではないので、どうしても速度が出にくい(13Mbps程度)ようだ。
…と思っていたら、パソコン側の設定に問題があったらしく、MTU値とRWIN値を直したところ、一気にスピードアップ!
測定結果は下記↓の通り。

測定サイト http://www.bspeedtest.jp/ v2.3.3
測定時刻 2004/07/30 18:11:12
回線種類/線路長/OS FTTH/-/Windows XP
キャリア/ISP/地域 NTT Bフレッツ マンション VDSL利用/biglobe/東京都
ホスト1: WebArena(NTTPC) 38Mbps(9971kB,2.2秒)
ホスト2: SAKURAインターネット 47Mbps(16870kB,2.9秒)
推定最大スループット: 47Mbps
コメント: NTT Bフレッツ マンション VDSL利用の平均速度は13Mbpsなのでかなり速い方です!おめでとうございます(下位から95-100%tile)

2002年5月18日脱稿 2002年5月24日,7月21日,10月27日,2004年7月30日加筆修正




新宿侍の戯言へ


トップページへ