パソコンの自己防衛法(番外篇)


 先の2項は人為的なものであり対策さえしっかりしていれば、大きな被害を受ける可能性も低くなる。しかしこれから
書く事柄は突発的かつ不可抗力と言えるものであり、有効な対処法というものがなかなかない。しかしこのまま指を
くわえて見ているわけにはいかない。そこで役に立つ(かもしれない)対処法を挙げてみる。

 さて、その”外敵”とは停電である。これを読んでいる方も1回は経験しているはずである。停電の原因としては
変電所の事故や落雷などの「完全不可抗力型」もあるが、発生率が高いのは家庭や仕事場の電気の使い過ぎに
より、ブレーカーが落ちてしまう「半過失型」であろう。具体的にはパソコンの電源と同じ回路に電子レンジや電熱器
などを同時に使うと、小さいブレーカーの定格容量(一般家庭では20A)を超えて遮断してしまう。これはそれぞれの
機器を別の回路につなぐと解消することが多い。最近の新築家屋は「電子レンジ専用回路」など生活の多様化に
対応するようになってきた。ちなみにブレーカーが”落ちる”のは負荷(照明・コンセントなど)側の電線を保護する
ためのものである(これができなければ火災などの危険性が生じる)。また、たまにリミッタ(大きいブレーカー、
電力会社が契約電流に合わせて設置する電流制限器、電力会社・契約形態によっては設置しない場合もある
が落ちてしまうときがある。こうなると家全体で電気を使い過ぎということなので、電力会社にリミッタの交換(大抵は
無料)を依頼したほうがいい。(ただし毎月の基本料金は当然上がる)

 次にパソコン側でできる停電対策を考えてみる。まず大前提としてパソコン自体も多くの電気を使っている
(デスクトップ型で約250〜500W)ことを頭に入れておかなければならない。そうなると停電させたからといって一方的に
責めることはできない。停電することを”予測”して最悪の事態を回避するのが賢明だ。例えば奥さんが料理を始めた
ときやお子さんがドライヤー(大きいものでは1000Wも)を使っているなど、明らかに電気を使っている時は電源を
切るプロセスが複雑なパソコンをいち早く切らなくてはならない。しかしただ電源を切るだけではあまりにも芸がない。
Windows2000以降搭載のパソコンでは「休止状態」が利用できる。(それ以前の機種でもBIOSでできるものがある)
これを使えば休止前の状態を保持できる。が、休止の時にはアプリケーションを閉じておいたほうがいい。なぜなら
休止状態からの復帰が100%成功するとは言い切れないからだ。特にグラフィック編集ソフトなどメモリを多く
消費するものは必ず編集中のファイルを保存してから休止状態にした方がいい。せっかく停電対策をしたのに休止
状態からの復帰に失敗して、大事なファイルを失ってしまっては何にもならない。休止状態はあくまで起動時の状態に
してからするほうがいい。

 最後に停電対策の”決定打”としてUPS(Uninterruptible Power System 無停電電源装置)がある。これは上の項
とは違い、かなり積極的な停電対策と言えよう。ただ安価なものでも一万円台もするので、コストパフォーマンスが劣る
(つまりめったに稼動しない割には値段が高い)ものである。しかも置き場所も取るのでそうそう買えるものではない。
そしてUPSが動作(停電後バッテリー稼動状態)している時はあくまで「正常に電源を落とす猶予」と思った方がいい。
Windows2000・XPでは自動シャットダウン機能がある。バッテリーにも限界があり、UPSがあるからといって停電後も
作業を続けることは避けるべきである。ここまでの話はもちろん一般用のUPSのことであって、業務用は停電後も
通常運用ができるようになっている(ただしとても高価)。経済的に余裕がある方は購入を検討してみる価値はある。



 始めにもかいたが、停電は突発的なものなので事前に防ぐということが難しい。しかし何の対策もしないというのは
パソコンユーザーとしてはどうかと思う。やはり何らかの対策はしておく方がいい。


2002年3月5日 脱稿




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