7.札幌の夜


ごく標準的なシングルルーム。ちょっと古い建物のせいか、
カーテンではなく、普通の引き戸になっている。

 ホテルに着いてチェックインするなり、まだ17時過ぎだというのにベッドに横たわった。実に3日ぶりに横になった。
身体は相当疲れていたのだろう、すぐに意識が遠のいていった。起きたときには既に窓の外は真っ暗だった。時計は
19時を回っている。テレビを見ながら食事をどうしようか考えた。せっかくの北海道だから豪勢に行きたいところだが、
カニあたりに手を出すと予算上無理が出てくる。それならとジンギスカンでいってみようということになった。これなら
ビールも飲めるし、お腹一杯にもなる。そして札幌にいるのならと、随一の歓楽街ススキノ(本来は”すすきの”だが、
文章の表記上こう記す。以下同じ)へ行ってみることにした。

 20分ほどでススキノに到着、5分ほど歩いて目ぼしい店を探してみる。するとビルの2階に通じる階段の前に、写真
付きのメニューが置いてある。もうこれ以上探す気がない、というより空腹が限界に達していたので、その階段を登り
店の入り口から中の様子を見た。カウンター席があるだけで空席が見えた。

 店に入ると奥に案内され、そこに寒いと思って持ってきたトレーナーを置いて、ジンギスカンと生ビールを注文した。
おなじみの鍋がセットされて、野菜が周りに置かれていった。あとは自分でとばかりに羊肉が乗った皿を渡された。
まずはビールを一気にのどを潤す。店内が鍋の熱気で暑いせいか、はたまた丸2日間の疲れが癒されたのか、
いつものビールよりおいしく感じる。羊肉を焼いて口に入れてみる。それまで羊肉というとクセが強いというイメージが
あったが、牛肉とちょっと違うとはいえ、何の違和感もなく食べられる。ビールとの相乗効果かどんどん皿の羊肉が
減っていく。途中でビールをおかわりし「肉追加しますか?」と言われ、ついもう一人前頼んでしまった。2杯目のビール
がなくなると、ライスを注文した。しかしライスが残り半分になったところで、満腹感が強くなってしまった。ビール2杯と
ジンギスカン2人前それにライスだから、当然と言えば当然である。残すのはもったいないとラストスパートをかけて
(というより多少無理をして)完食した。これだけ食べて3000円でおつりが来た(2560円)のだから、かなりお得だったと
いえよう。

 ホテルへ帰る途中あることに気付いた。口の中がニンニク臭くなっている。ジンギスカンをおろしニンニクで食べた
のだから当たり前だが、このまま地下鉄に乗るわけにもいかない。コンビニを見つけたので、におい消しに牛乳でもと
入った。すると舐めるタイプの口臭予防剤を発見、デジカメ用の電池とともにそれを買ってコンビニを出た。歩きながら
早速口臭予防剤を試してみる。舐めていると口の中がスッキリしてくるのと、小さく硬い粒が口に残る。その粒を飲んで
胃の中の匂いも消すらしい。腹一杯で多少歩くのが苦しかったが、また20分ほどでホテルに戻った。翌日もそう遅く
まで寝ているわけには行かないので早めに寝ておこうと、時計が23時を指した頃、部屋の照明とテレビを消してベッド
に入った。


筆者より

この後1日分ありますが、またしても長くなってしまったので、ここで一度区切りを付けます。
大変申し訳ありませんが、この続きはしばらくお待ち下さい。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。(次回で完結します)

2003年2月15日脱稿



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