プレーヤーを取り出した。まだ聴いていなかった「FINE」をかけて、しばし車窓に見とれていた。蛇足だが、この CDは旅にはピッタリなので、宣伝するわけではないが、是非購入をお奨めする。 ![]() 途中、先ほど下車した伊勢市駅に到着。この時点で参宮線の未乗区間(伊勢市〜鳥羽)を乗車し、晴れて 参宮線完乗を成し遂げた。ここから先は何度か乗車しているせいか、一気に睡魔に襲われた。しかし寝る前に 車掌を捉まえて、途中通過する伊勢鉄道(津〜河原田)の運賃(490円)を払った。18きっぷはあくまでJR線内で だけ有効なので、第3セクターである伊勢鉄道の運賃を払うのは当然である。ちなみにこの文章を読んだ以上は 「知らなかった」という言い訳は通じない。 津を過ぎて伊勢鉄道に入った時点で、車掌が検札を始めた。先ほど購入した車内発行券と18きっぷを提示 して、また眠りに就いた。目が覚めて通過駅の駅名板を見ると「弥富」の文字。つまり桑名をも過ぎて愛知県内に 突入してしまったようだ。高架化されて様子が変わった八田駅付近を通過して、名古屋の町並みへと近づいて いった。 思った以上に混雑していた。それでも名古屋下車の人と入れ替わるので、1つぐらい空席があるだろうと勘ぐって いたが、列車が到着してもあまり降りる人はいない。名古屋を通り抜ける人が多いようだ。まして4両編成なの だから、なおさら混雑が激しい。運転席後ろの狭いスペースを確保して、”かぶりつき”特等席に腰を据えた。 次の停車駅金山を過ぎると、速度計は100km/hを超える時間が長くなり、ついには120km/hにまで達した。並行 する名鉄に対抗するために、これほどのスピードを出しているのだが、当の名鉄は線形が悪いこともあって、 名古屋〜豊橋間におけるJRとの差が広がっている。しかしJRと名鉄では経由地が少し違うので、途中駅からの 乗客については名鉄に軍配が上がる。 ![]() からの乗換客が多いせいか、一部の列車が浜松まで直通するようになった。この列車も浜松行きなので、豊橋で 客が入れ替わるかと思いきや、ほとんど降りなかった。依然混雑したまま豊橋から各駅停車となって、更に東を 目指す。この時点で1時間近く立ちっぱなしなので、さすがに足が疲れてきた。周りを見るとあまり顔ぶれが 変わっていない。どうやら18キッパーのようで、同じく東京を目指しているのだろう。この混雑とこれから夕方 ラッシュ時間帯に入ることからして、浜松からの列車も混雑が予想される。ただ浜松からは多少余裕時間が あるので、1本列車を遅らせてもいいようになっている。 埋まっているのを見て、次の列車にしようと思ったその時、ドア横に空席を見つけて約1時間ぶりに座ることが できた。通勤電車と同じように窓に対して平行になっている座席(ロングシート)なので、あまり車窓は望めない。 しかし座れただけでもマシである。移動の疲れが出てきたせいか、少し眠くなってきた。しかしなぜか眠ることは できなかった。新幹線で30分足らずのところを、1時間以上掛かって静岡に到着した。 静岡からは19時34分発の東京行きに乗る。まだ19時前なので40分近く待ち時間がある。夕食に駅弁とビール を購入し、ホームの乗車目標に荷物を置いて、列車の到着を待った。実はこの間にも東京方面への列車は あり、それらに乗って沼津か熱海で乗り換えれば、もっと早く帰ることができる。しかし敢えて30分以上待った理由 は、乗換なしで東京まで行きたかったのと、34分発の東京行きに乗ること自体が目的だったからである。 ![]() 普通列車だが、東京到着後折り返し「ムーンライトながら」として運転される。所属車庫が静岡にあるためだが、 特急として運転するには時間が遅いので、「ムーンライトながら」の回送を兼ねて毎日運転されている。ちなみに 上り「ムーンライトながら」の折り返し普通列車もあり、東京5時20分発静岡行きがそれである。(既に乗車済み) この列車は18キッパーなら確実に知っており、先ほどの18キッパーも数人並んでいた。 車内に入るとリクライニングシートが迎えてくれる。この列車を選んだ最大の理由である。もちろん特別料金は 一切不要なので、18きっぷだけで乗車できる。リクライニングシートに身を委ねて、缶ビールの封を切った。 疲れ切った体にアルコールが染み渡る。駅弁を平らげて一眠りしようと思ったが、昼間十分に寝たせいかもう 眠気が感じられない。しかし窓の外を見ても夜の闇にしか見えない。当たり前だが富士山の姿も見えない。(昼間 でもなかなか見ることはできない)途中熱海で、伊東方面からの接続待ちで10分ほど遅れた。伊東線が台風の 影響を受けていたのだろう。 22時34分、3分遅れにまで回復して、2日前旅立った品川に到着した。反対のホームを見ると、下写真のように 臨時大垣行きに乗り込む18キッパーたちが、列車の到着を待ちわびていた。2日前はこの列に2時間以上も 並んでいたのである。月曜日でさえこの混雑なので、土曜日だった2日前はもっと混雑していたのだろう。 ![]() (回)分しか使っていない。残り3回分をどうするかである。これについては次の機会に話そうと思う。 これを以って終了です。最後までお読み頂き、ありがとうございました。
2002年10月7日脱稿、ちょっと長くなり過ぎた。次はどれぐらいになってしまうのか…。
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