◆◇◆ OL三人組、三重・愛知路暴飲暴食いい旅夢気分殺人事件 ◆◇◆
…殺人事件は起こりませんでした…



15/Jun/'02

ある程度予想はしていた。
“その場のチャンスは逃すな!”というスタンスで、好奇心旺盛なOLが3人集まれば、
『文殊の知恵』と言うより『かしまし娘』だろうと…

切っ掛けは『同じ高校時代の友人に子供が産まれたので顔を見に行こう』だった。
行き先は名古屋。
「でもさー、このメンバーで旅行なんて久々じゃない?ついでに観光しようよ。」
しかし名古屋と言えば『しゃちほこ、ドラゴンズ 、名古屋コーチン、ひつまむし、ういろう』
この程度のご当地知識しか持たないメンバーにどういう観光が出来ると言うのか…
同行者は2名の計3名。

一ヶ月前に訪問先家庭の都合を聞く事すら忘れて、こちらで勝手に日程を組む。
訪問約一週間前「そういえば、あっちの都合は大丈夫?」
慌てて確認ついでに観光スケジュールを組む。
ワタクシとしては『志摩スペイン村』で走ったり、カウントダウンしたり、ボートに乗ったり、
「おまえの事が好きだからだよ…この地球上の…誰よりも。」とコナン君を真似て告白したり、
撃たれてみたり(←!?)…と色々やりたいことは山積。
うしし。『瞳の中の暗殺者』でも見直すかね。

駄菓子菓子。(どうしてもこの第一変換癖が直らん…(ーー;)
スペイン村に着いた所で、日帰り予定ではじっくりと遊べる時間に到着は無理なので、
再度観光計画を練り直すため、東京のベッドタウンに隣接している繁華街の吉祥寺にメンバー集合。
新規オープンの串揚げ屋で、串をブクブク揚げながら気合はあるが、やる気のない作戦会議。
「松阪牛」「赤福」「赤福氷」「鮎」「鵜飼」「ひつまむし」
名古屋近郊で行きたい所をピックアップしたつもりが、気付くと『食べたいものリスト』になっている!!
結局『一日目は松阪牛を食べて、お伊勢参りをしたら赤福を食べ、夕食は鵜飼を見ながら鮎を食べ、
二日目にはホテルで豪華ブレックファーストを食した後、ボストン美術館で名画を鑑賞後、
ひつまむしを名古屋駅ビルで掻き込んでから赤子を見に行く』ツアーになった。
一体どれが本当のメインなのやら…

一日目に予定している松阪牛なんてなー、
デパ地下できれいなさらしに巻かれ、『松阪牛』と彫られた木彫り看板の下で
ガラスのショーケースに鎮座ましましているのしか見たことないわ。
「あー、『和田金』で食いてー」とつぶやいたのは三重に親戚宅がある同行者その1。
なんやわからんけど、その名前が老舗っぽいので「そこにしよう!」

当日、曇天で肌寒い東京を9時発の『のぞみ』に乗車し一路名古屋へ…
車内で現地の天候の話になる。
幸い、中部地方は晴れている予報だったので胸をなで下ろしながら、
私が『雨女』だった話しに花が咲く。
「そういえばさー、いつだったか房総半島に旅行に行った時には、台風で電車が止まったんだよね〜」
「そうそう。あの時に誰かが「雨が降るのはアンタのせいだ。海に人柱で沈めてやるぅ!」と言われて半分本気で怒られたんだよね。あれは恐かった。」
朝まで冷たい雨が降り続き、半袖では寒くてジャケットまで着込んだ梅雨寒だった東京に比べ、
ムワッっと熱風が吹く名古屋に到着後、紀伊線に乗り換えて特急『伊勢』で約一時間後に松阪へ。
松阪に着いたらくだんの『和田金』まで駅から徒歩8分。
…確かにまっすぐに行けば徒歩8分。
ところが、途中のコンビニの前に差し掛かると、
ワタクシの煩悩アラームが「ボンボンボン…」と脳内に鳴り響き、
明りに引かれるガの如く、フラフラと引き寄せられる……
「ご、ごめん。私の煩悩アラームが…」コンビニのドアを押し開け、
ガム等の駄菓子コーナーを覗く。目的は当然カバヤのガム&グミの第二弾。
生協のカタログで見かけた新一のうなじはないかなぁ…

そのちょっと前、松阪駅改札を出たすぐ脇にKIOSUKがあり、
そこにピンバッジが売っていたのを、私が目ざとく見つけたあたりから、
なんだか予想は付いていたらしく「はいよ。行っておいで。」と見送られる。

「なかった〜」とつぶやき通しの煩悩エリアを無事に脱出し、
大きい通りに突き当たったら、角を曲がって直進すれば目指す『和田金』!
…と言う所まで来たら、いきなり後ろから激しい『膝カックン』を食らう。
「ぎゃあ!!」何が起こったかも分からず砕けた腰の体制維持のため、
隣にいた『同行者その1』の腕をつかんで振りかえると、
後ろから小学生が自転車で突っ込んで来た模様!!
「いっ…(痛み我慢中)………だ、大丈夫だよ。」と言うと、
うろたえている小学生、そのまま自転車で走り去っていった。
気を取り直して歩くと、電話ボックスの様なガラス張りのボックスの中に、
からくり人形と言うか、そんな物が入っている。しかもちょんまげ。
中にいたのはご当地の有名人の本居宣長さんが、机に向かって書道をしている人形だったのだ。
しかも、電動で筆を持つ手がゆるゆると動いている。
「わあ!なんじゃこりゃ〜〜??」
奇妙な物、ご当地物大好き3人組み、写真を撮ろうとしたけれど、
食事の予約時間が迫っているので後ろ髪を引かれつつ先を急ぐ。

「あれかなぁ〜?」指差す方向には旅館と言われても納得しそうな、
シックながらも威風堂々とした5階建て程の建物がそびえ立っている。
引き戸をカラカラと開けると、いかにも老舗を思わせるような土間風な床に、
木のカウンターが目に飛び込んできた。

一階は肉の量り売りもしていると聞いていたけれど、
想像していたショーケースの類は一切なく、右の奥に肉をおいてあるとおぼしき場所がある。
例えて言えば、パチンコの換金場所の枠が木になって品がよくなった感じで、
昔風の台秤がそなえてあり、カウンター向こうの白衣のおじさまの見えない手元は肉を切っている模様。
「ここは、お肉屋さんだよね?」
左を見ると、ガラスの引き戸を挟んで、
まさしく旅館の入り口の如くたたきと立派な玄関にスリッパが並べてある。
「あっちかなぁ…」
ビシッ!と和装の女性と黒いスーツ姿の男性にビビリながら、へっぴり腰で歩を進める。
「あの…予約していた○○と申しますが…」
「はい。お待ち申し上げていました。」
うひゃあ。食事処と言うより高級旅館感覚。
靴を脱ぐと、番頭さんが「こちらの札をお持ちください。」と丁寧に赤と緑の靴札を出してくれた。
大理石の縁取りがしてある玄関を上がってスリッパを履くと、
蝶ネクタイの男性が丁寧にエレベーターボタンを押して開けてくれた。
「どうぞ。」先導してくれたのは和装の仲居さん。
上のフロアに到着し、ふかふかの絨毯や、花が生けられたり、水がちろちろ流れている廊下を進む。
たかだかランチを食べるだけで、仲居さんに先導してもらったのは始めてだ!
驚いたことに全室個室。入り口でスリッパを脱ぎ、四畳半ほどの和室に通された。
これがもー、ちゃんと吉野杉の床の間もあり掛け軸に花も生けてあってビックリ。
部屋の真ん中の大きな丸テーブルには丸い炉が切られ、灰の上に炭がうず高く積んである。
「あのさ。ここ旅館じゃないの?」
「本当だね…」
畳の上にドサッっと荷物を置いて座椅子にくつろぐと、
「本日はようこそいらっしゃいました。」
別の仲居さんが真の礼で挨拶をしてくれる。
わっ、やべっ。足を崩して座っている場合じゃないや!!
「よろしくお願いします。」こちらもつられて行の礼。
「何をお出ししましょうか?」
出してくれたメニューを見ると、あらかじめのインフォメーションで知っていたとは言え、
メインのメニュー数は少ない。
ここに来る途中の電車の中で『志お焼(塩焼き)』が気になるね。と話していたので、
「志お焼にしようか…」と話していると仲居さんは「『寿き焼(すき焼き)』がお勧めですねぇ。」
自己主張のない優柔不断なOL軍団、一気に『寿き焼』に心が揺らぐ。
「んじゃ、寿き焼にしようか…」「…そうする?」
そこに仲居さんの助け船。「それでは1.5人前ずつでいかがですか?」
それなら二種類が食べられる!!「はい、それでお願いします!!」
「お飲み物はよろしかったですか?」
ビミョーに耳に引っかかる日本語に押されドリンクメニューを見る。
まだ昼だしね…「んとー、烏龍茶をお願いします。」「あ。私も〜」と言ったのは同行者その2。
「え?うそ。飲まないの?」おお。そうであった、同行者その1は酔漢だった。
「飲むなら飲む!!」2人でアルコールを注文。

メニューと共に差し出されたお茶を飲みながら、料理が出てくるのをボケッっと待つ。
「こんなくつろげる部屋に通されたら寝ちゃうよね。」
「うん。テーブルに突っ伏して寝ていようか。」
「それよりも、畳の上で無造作に寝転んでいたら驚かれるね〜〜」
「あのね、あまりにも旅館みたいだから、さっき仲居さんが出て行くとき心づけ渡しそうになった!」
こんな会話をしていると、さらに別の仲居さんが料理を持って登場!
(実はこの時点で、部屋に通されてから40分以上経過している。)
「では、寿き焼きからお召し上がりいただきます。」
目も眩むようなピカピカと輝く、見るからに極上霜降り肉の薄切りが、
まるでフグの刺し身の如く皿にぴったりと張り付いていた。
驚いたことに、なんと中居さんが全部全部料理して個別の取り皿に取り分けてくれる!
私たちだけのために料理してくれているのか…
行ったことはないが気分は芸者遊び。
一番最初に肉を焼き、溶き卵の入った皿に入れてくれる。
そっと箸で肉をつまんで驚いた。あの…箸で肉が切れるんですが…
ゆっくりと口に運ぶと、濃い目の甘辛に味付けられた肉がハラリと口の中で溶けていく。
醤油の香りとは別に、甘い脂の香りが広がっていく…
「脂が臭くない!いい香りって感じだよ!」
「中途半端に「美味しい」って言葉が陳腐に聞こえるくらい美味しい!」
鍋の大きさの関係で、二枚しか焼けないので、肉を待つ同行者その2に、
同行者その1と2人でワアワア説明する。
その後のネギや椎茸、豆腐に三つ葉どれもこれもうまし。

お腹が空いているのも手伝って、皿に出された物をあっという間に食べちゃうので焼くのが間に合わない。
その合間に3人で高校時代の思い出話に花が咲く。
今の校長、教頭がまだ一般教師だった高校時代、
「あの先生が校長にねぇ…」「それより、担任って誰だった?」
「○○先生だった。あの先生ね。廊下を歩いていたのを、私が後ろから走って来たら、
『ふみ(仮)!俺より後に教室に入ったら遅刻だ!!』って走り出した!」
「なんかコントみたいだよね。でもありえそうだけど。」
その時の私は教室の後ろのドアから入ったから、前から入らなければならない教師より、
距離が短くてすんだので、何とか遅刻扱いされずにすんだんだっけ…(遠い目)
そんな会話を中居さんは笑って聞いている。

寿き焼きを食べ終わったら、志お焼き用の新しい鍋を取りに中居さんが離席した。
「………」
「………」
「………」
3人とも手元に残った溶き卵が入っていた器を無言で見つめる。
中はタレでいい感じに味が付いた溶き卵液。
「これご飯にかけて食べたいね。」
「ていうか、飲みたいし。」
中居さんがいないうちに3人で一気飲み。
「おいしーーい!!」
新しいお鍋と共に中居さん再登場。
素知らぬ振りをして卵の入っていた器を下げてもらう。
そして、いよいよ気になっていた志お焼!
こっちはシンプルに、ただ焼いた肉に塩を振っただけ。
「お好みでポン酢もどうぞ。」
んもう、塩だけで十分です!!
さっきとは違って、砂糖の甘みではなく自然の脂の甘みでうっとり……
「ポン酢はよろしかったですか?」ポン酢もかけて食べてみる。
結局、息つく暇もなく、あっという間に肉が消えてしまった。
続く野菜は『寿き焼き』と同じ野菜にキャベツがプラス。
…キャベツはちょっと葉が硬いので、煮ないで焼く料理には口に障るかも…
むしろ寿き焼きの様な、割り下でまんべんなく熱が通る料理の方に向いているかもしれない。

お腹が一杯になり、深いため息と共に無言で座椅子の背もたれに寄りかかる。
「いかがでしたか?」
「大っ変っ美味しく頂きました!」
「それは何よりでした。どうぞごゆっくりなさってください。本日はどうもありがとうございました。」
またしても丁寧な真の礼をして中居さんが下がっていく。

満腹で動くのも面倒くさいけれど、気付くと予想以上に時間がかかったので慌てて部屋を後にする。
会計を済ませ(ちなみに一人前税・飲み物込みで8000円ちょっと)、
最初に間違って入った精肉売り場で婚家と生家、それぞれの実家に肉を送る手配をお願いして駅に向かった。

駅に途中で、行きに気になっていた本居宣長像と一緒に写真を撮り、
文房具屋さんでノートとペンを買い込み、このメンツ恒例旅日記を書く事にする。

次に向かうは伊勢神宮。
「ねー、伊勢神宮上空ってお札が空を舞っているんだよね〜?」
「そりゃ。面白い冗談だ。」
ちっ。真顔で受け流されたか…

急行に乗り込み旅日記を書いている約20分後には「伊勢市」駅に到着。
「まずは外宮だよね〜」意気揚々と参道を進んだものの、
ここを17時に出発しないと夕方に予約した鵜飼いに間に合わない。
…え?今15時40分って事は1時間ちょっとで内宮・外宮を廻るの!?
そりゃ無理だ!!

「どうする〜?」と同行者その1。
「両方見るのは無理だから、内宮か外宮のどちらかだけにしない?」と私。
「それだと、赤福氷を食べる時間がなくなるよ〜」
そう言ったのは同行者その2。
外宮から内宮までは距離にして約6キロ。バスで約15分。
「じゃあ、内宮だけにしようか?あっちの方が観光って感じでしょ?」
結局「だって、私もう内宮は観光したことあるから、赤福氷は今の季節限定だよ!」と言う
同行者その2の言葉で内宮近くにある『おかげ横丁』にある赤福氷を食べることにする。

外宮は入り口近くに有った菖蒲が咲き乱れる池を背景に、数枚の写真を撮影し、
大鳥居だけ眺め、奥に続く緑深い参道を指くわえて参拝気分。
程なく来たバスに乗り、後ろ髪を引かれながら内宮へ。

終点の一つ手前で降りたら、赤福本店がある『おかげ横丁』に向かう。
そこは、いかにも作られた木造のひなびた趣の商店街風で、
駄菓子屋や土産物屋、食べ物屋が軒を並べている奥に有名な赤福本店が有った!

とーこーろーが赤福氷は本店にはなく、支店のみの販売とのこと。
支店は内宮に一番近い横丁の端にあるらしい。
げげっ。この長い横丁を歩く時間があったら、内宮が少しは観光できた?
そう思った所でしょうがないので、だらだらと横丁を歩く。
そこへまたもや脳内で「煩、ボン、煩、ボン、煩…」
むっ!?なぜにこんなところで煩悩センサーがいきなり鳴り出す!?

ふと振り返った先には、木造平屋で情緒たっぷり、一見それと分からない文房具やさん。
なんと、店頭のラックにあるのはまごう事なき塗り絵、それも警視庁捜査一課の『同僚以上恋人未満』の佐藤刑事と高木刑事のツーショットや、バイクに乗っている関西カップル(バイクが細かすぎて子供には塗れんぞ〜!!)や、毛利夫妻に工藤夫妻、どこにいるか分からない人にバレンタイのチョコを渡せないと、泣き疲れてソファに寝入った蘭ちゃんに、そっとコートを掛けるコナン君、哀ちゃんの手を握って走るコナン君(灰戸シティホテル事件)の禁断のアダルトチャイルドカップルや、などカップル率の異様な高さにお姉様向けと誉れも高き第4弾!!(説明長っ!)
「ぎゃっ!!“彼”が私を見て微笑んでる!!」
「…見てない見てない。」
お約束の突っ込みをもらいながら、コナン君に手を振り別れを告げる。

赤福の支店に着いたら、赤福氷を楽しみにしていた同行者その2に、
食券の購買を依頼し、同行者その1と一緒に内宮へ。
「どうせ、奥までは見られないけれど、せめて入り口付近だけでも見たいね。」
大きな木製の太鼓橋の近くに、やはり木造の小さな守衛所がある。、
ふと見ると『衛視詰め所』と書いてある。……衛視?
「ねぇ、ここって国の神社なの?」博学な同行者その1に尋ねる。
「あー、そうみたいだよー。なんだっけ、ほらなんとか庁の管轄じゃない?」
祭り事を司ると言えば…「宮内庁?」「たぶんね。」
(↑「政(まつりごと)」と、あやうく書いてしまうところでした…)

橋を渡って初夏の緑濃い参道を眺めて「そろそろ戻ろうか?」
結局、内宮も外宮も建物一つ見ることはなかった……
行きに渡った橋を戻ると携帯電話が鳴る。
「氷来たよ〜」「あと2分以内で着く〜〜」

出てきた赤福氷は夏用のお薄茶碗に、赤福の白玉持ちとあんこが入れられ、
その上に氷を削って山盛りにして、そこに抹茶シロップがかけられた物だった。
「なんか懐かしい味だよね。」
「よくある抹茶氷と言えば、それまでな気もするけど、400円でこれは美味しい。」
色々な観光を省略したおかげで、若干時間がある。
結局、内宮からタクシーではなく、おかげ横町の来た道を戻り、ここに来る時にバスを降りたところでタクシーに乗って駅に戻ることにした。
土産物屋の店頭を眺めながら歩いていたら妙な物が目に飛び込んできた。
それは『伊勢限定 HALLO KITTY』こと伊勢エビの被り物を着込んでいるキティ。
「なにこれーーーっ!!!キティに二本角が生えている!」
「このストラップや根付け、ちゃんと伊勢エビの腰が曲がっているし!!」
職場にキティラーの先輩を持つ私は、先輩に驚いて貰いたいので食指がグラグラと動く。
「ううう。これ買って渡したらどうなるかな…イジメっぽいよね。」
「あんたそりゃー、イジメでしょーー」
だらだらと未練を残しつつ「ココで買わなくても、名古屋駅に行けば中部地方のキティ色々売っているよ。」との言葉でその場を後にする。

タクシーに乗って慌てて戻った伊勢市駅から、特急に乗って名古屋へとんぼ返り。
名古屋からは別の線(名鉄だったかなぁ…(ーー;)に乗り換え、特急で鵜飼いをしているという木曽川まで行く。
霊長類の研究で名高い『犬山モンキーパーク』の最寄り駅(名前忘れました)で下車し、
駅員さんに教えて貰ったとおりに、大きな幹線と線路を横切ると目の前に川が広がる。
「わあ、住宅街の中を流れている川だったらどうしようかと思ったけれど、ちゃんと断崖もあって自然の中じゃん。」
観光船の受付の隣にある、『無料休憩所』と書かれた土産物屋の中で、
トイレに行った同行者を待ちながら、土産を見てまたもやビックリ。
「がーーん。ここは鵜飼いキティだ……」
キティが真っ黒な鵜の被り物を来て、その手には鮎とおぼしき緑の魚を抱えているばかりでなく、背後には人魂にしか見えない篝火が2竿…
「ごめん。イジメでも何でもいい、これを買わずにはおれないっ!!」
耳のない真っ黒いキティに衝撃を受けて思わずハンドタオルを衝動買い。
そう言えば、ハワイに行った時にはパイナップルの被り物を着ていたハンドタオルをお土産にしたんだっけ…
よおっし!あの先輩の土産物はご当地キティハンドタオルに(勝手に)決定だー!!

三人揃ったところで、観光船受付窓口に行くと、なんと我々は大遅刻していたことが判明。
他の乗船客は既に屋形船に乗り込み食事をしているとのこと。
「すみませ〜〜ん」各方面に謝り通して渡し船に乗り込み、屋形船まで運んで貰った。
……そか。鵜飼いを見ながら食事ではなく、食事をした後に鵜飼いなんだ。
鮎の甘露煮や塩焼きなど鮎二匹が付いている、かなーーーり豪華な松花堂弁当を、
「まだ昼の肉が残っている…」と呟きながらもほとんど完食。
「胃の中で牛と赤福氷と鮎が渾然一体となって……ふぅ。」
ところで、食べながら3人で気になっていることが一つ…
我々は屋形船の長いテーブルのほぼ真ん中に陣取っていたのだけど、
左の一団は私の実家最寄り、右の一団は同行者その2の最寄り町名を話している。
てーことは、この船は東京からの観光客オンリーってことか…(笑)

全員が食べ終わったら一旦岸に着岸し、少しの休憩後いよいよ鵜飼い見学!
休憩の間に食事用のテーブルも食べ終わった器も片づけられて、
ゴザが敷かれた床がむき出しになったので、足を伸ばして船の縁に寄りかかる。
二人と一人に別れて向かい合う格好になり、これから始まる鵜飼いに思いを巡らす。
そのうち、向かい側に座っていた同行者その1が喫水線を見ようと、後ろを向いて身を乗り出した。
目の前に彼女のシリがあったので、思わず条件反射で蹴ると、私の隣に座っていた同行者その2も蹴っていた!!
「なにすんのさーー!!!」
「…え?シリがあったから…ねぇ?」
「うん。やっぱり蹴らなきゃでしょ〜」
「同時に蹴るってどうよ〜!?」
蹴りこんだ二人で「惜しかった…」「やっぱ、下から上に突き上げるように蹴るべきだったね。」等々…

そんな事をしているうちに、いよいよ鵜飼い船がやってきた。
篝火にゆらゆらと鵜が水面から首を出しているシルエットが、山の稜線に沈み掛けた夕日にぼんやりと浮かぶ。
「ぎゃーーーっ!可愛い〜〜!!」動物好きの3人。ぎゃあぎゃあ大騒ぎ。
一生懸命船の舳先の前を泳ぐ姿が健気だわ、鮎を飲み込んだら船に引き上げられる姿が愛らしいわ、
乗っている屋形船に近づくと嬉しくて可愛くて思わず身を乗り出す。
その時に聞いた説明によると鵜ちゃんはね、天然の鵜を獲って飼い慣らすんだって。
しかもデリケートな鳥だから、環境が変わると卵を産まなくなるので雌雄は判らないんだって…
「なんかかわいそうだね〜」

鵜ちゃんと別れ、駅に戻ったら一路ホテルへ。
名古屋駅隣の「金山」にある全日空ホテル1920号室。
案内してくれたベルボーイが若くて一生懸命。
「あの、設備のご説明はいかがしましょうか?」
「大丈夫だと思います。みんなホテルに慣れていますから。」
「はい、何かありましたら電話でフロントまでご遠慮なくお申し付け下さい。それでは。」
ベルボーイが下がった後、外に出てコンビニへ飲み物を買いに行く。
「さっきのベルボーイ、美味しそうだったね〜」
「…ふみ(仮)、あんたまたそう言うことを…」
コンビニでュースと缶入りカクテルに、名古屋で初めて見た『濃厚豆乳』を購入。
ホテルに戻って代わる代わる入浴をしながら、だらだらしゃべったり好きなことをしたり…
とかく冷え性のワタクシ。ベッドに潜り込んで、最近なかなかじっくり読めないので旅行に持ってきた単行本を読み返す。
33巻『妻の忘れ形見』で、誰よりも笑顔でいて欲しい大切な人にとって、今の自分は泣かせてしまう存在でしかないのなら、いっそのこと自分を忘れて欲しいと言う、余りにも切なく痛々しい決心で哀しい笑顔をするコナン君に、酔いも手伝ってブワッっと涙腺がゆるみそうになる。
自分の絶望と引き替えに、相手の平安を願うような愛情は天は許しても私は許さん!!いや、天だって許すわけがない!!

そうこうしているうちに、全員入浴完了。
「今日は疲れたね。明日もあるから寝ようか。おやすみ〜」
そう言って電気を消した次の瞬間は朝だった………


15/Jun/'02


目覚まし代わりにしていた携帯電話の『Mysterious eyes』と、なんだか苦しさを覚えて目が覚める。
ホテルのベッドって、ビチッ!!とベッドメーキングされていて、どうも封筒を連想させるのよね〜
足元までベッドカバーをはいだつもりが、
やはり、足のどこかを圧迫されていたようで寝返りもままならなかった模様。
わずかに開けた遮光カーテンの隙間から漏れてくる朝日で、同行者2人が起きるまで昨晩の続きの単行本を読む。
35巻のコナン君と高木刑事の起爆装置解体2人っきりの密室会議(若干語弊あり(笑))で「そこにいるかもしれないんだ。この世で一番死なせたくない大切な人が…」と「教えてあげるよ…あの世でね。」の相変わらず痛々しい決心にオロオロしていると、同行者その1がゴソゴソ動く気配がする。
す、すまん。今いい所なんで『おはよ』も言えんわ。(汗)
程なく無事に35巻も読み終わり、「おはよー」とベッドから起き上がる。
身支度を整えているうちに、ベッドサイドの目覚ましで同行者その2も起きてきた。
とにかく、朝食を食べにレッツゴー。
典型的なコンチネンタルブレックファースト&和食を各種取り揃えましたバイキング形式の朝食。
「そう言えば、国内のホテルでバイキングなんて久々かも…」
「海外旅行の朝食バイキングと違って、味付けは安心できそうだよね〜」
色々な料理に目移りして、沢山皿に盛りすぎた挙げ句に残しそうになるのが常なので、自分では物足りないと思う量を、ちまちまと皿に盛り付ける。
それがさ…洋食コーナーで"そろそろいいかな?"と思っていたのに、
和食コーナーを見たら、本にがりを使用したホテルメイドの豆腐発見!!
わあ。前日に豆乳を飲んでいたくらいに大豆加工品ダイスキーノビッチ(ロシア系)としては、何がなんでも食べる〜〜〜!!

器に豆腐を盛りつけ、万能ネギとおかか、醤油をまわしかけたらテーブルに戻る。
食べながら『ホテルの朝食バイキングに出てくる数種類のジュースはミックスすると美味しい』や『ただの焼き玉子料理なのに、なぜかココットカップに入れるとかわいい』など、どうでもいい話しに花が咲く。
そのうち「お客様。朝食のお時間は10時まででございます。間もなくお下げいたしますので、お早めにお取りください。」とレストランの人に急かされた。
だらだらと喋りながら食べていたら、もうこんな時間!?
一回目に取った豆腐にまだ手もつけていないと言うのに、もう一皿豆腐を取ってくる。
「ちょっとー、ふみ(仮)。いったい豆腐何皿食べるの〜?」
「え?これで二皿目だよ。」
「さっきも取ってたでしょ?」
豆腐はうまい!体にいい!お肌にもいい!高蛋白低カロリーは日本食の原点だ!!
ちなみに納豆も大好きだ!

満腹になるまで食べると、たとえ栄養とカロリー的には充足していても、満腹にならないと満足できない癖がついて、結果、肥満になると知っているのに、昨日の松阪牛&赤福氷&豪華鮎の松花堂弁当で、すっかり満腹癖がついて、朝食だと言うのに身動きが出来なくなるほど食べてしまった。
「これであと2・3時間後には、彼女の家で手料理食べるんだよね…」
本当は、お昼ご飯に『ひつまむし』を食べる予定だったけれど、昨晩、訪問宅に電話掛けたら「えー、もう作ったから、うちで食べて〜」と言われたので、ひつまむしは次回に繰り越しになったのだった。

ホテルをチェックアウト後、そのまま同じビル内にある『ボストン美術館』へ行く。
フロントを出たら、目の前のエスカレーターを上れば美術館の入り口で、移動時間は約30秒。こりゃ便利。
特別展で『ミレー展』をやっているけれど、目玉の『種蒔く人』は本来あった美術館に里帰りをしてしまったとの事で、常設展だけ見に行くことにした。
チケットを買ったらすぐ隣にミュージアムショップがあったので、いきなり3人とも寄り道。
「ねー、移動時間リミットまで、あと1時間30分位しかないんですが〜」
とぼやきつつ、ここは悲しき女の性。ショッピングの誘惑には勝てない。
結局、ヒエログリフのウジャト(ホルスの目)が書かれているスタンプを購入。
同行者その1は、同じウジャトのスタンプと青いバステト神(猫)の置物も購入。
「顔がさー、微妙に違うんだよね。」と慎重に選んでいた。
そのお店で、材料費だけを考えれば1000円もしないようなビーズのアクセサリーが8000円で売られていることに驚き、
「…私が作って、ここで半額で売ろうかな…」とぼやいてみる。

この美術館のシンボルマーク的存在らしい古代エジプトの少女のマスクが、
なんだか困っているような笑顔なので、3人とも「気になるね…」とつぶやきながら、
入り口にそのマスクが飾ってある常設展にレッツゴー
小中学校の頃、根拠がまるでないのに“前世は古代エジプト人”だと、なぜか信じていた私。
前世云々はともかくとして、写真集や美術館の目録を眺めていた当時を思い出し、
懐かしくて楽しくて夢中になって鑑賞する。
ミイラの棺、カピノス容器、色々な副葬品に石像に改めて感心したり、
ギリシア文明の典型的なアンフォラ(両手付き壷)の美しさに見とれたり、
エジプト文明とは異なり、写実的になったローマ文明の石像やブロンズ像にため息をつき…

そうこうしているうちに「ぎゃっ、もう時間だ!!」
慌てて名鉄に乗り、本来の目的地である友人宅へ…

久々の再会を喜ぶと、何とビックリ。同じく高校の同級生で、やはり同じく名古屋に引っ越していた別の友人も子連れでやってきた!
「久しぶりだね〜!何年ぶり?」
東京で高校生活を送っていた5人が、期せずして名古屋で同窓会。
生後2ヶ月の子供を抱くと、やっぱりまだ首が据わっていないからグラグラする。
「あ、でもね。うちではもう据わっていることにした。(笑)」
「ふーん。そうしたんだ……って、おい!」
同じ事を友人ご主人も言う「親がこうだから、きっとこの子はたくましく育つよ。(笑)」
飛び入り参加の友人子供は、そろそろ人見知りをする年齢らしく、
恥ずかしがってママから離れようとしない。

そしてテーブルに乗り切らないほど出された昼食。
美味しい。確かに美味しいんだけど、朝ご飯食べ過ぎて入らない…
「ふみ(仮)さん。食べられなくても飲むでしょ?(にやり)」
「うん。(即答)」
ご主人が出してくれたのは缶入りカクテル数種。
「どれがいい?」
「うーんとー、一番でかいやつ。」
「はい、どうぞ。でも、そんなにお腹一杯になるまで何を食べた?」
「豆腐〜、大豆製品好きなの。昨晩も名古屋限定らしい『濃厚豆乳』飲んだ。」
「えーーーっ!!豆乳!?まずいじゃん!!」
「まずくないよ〜!豆腐の味だよー。ワタシ豆乳党に入っているもん!」
「なんだよ、その豆乳党って!?(爆笑)」
「与党より偉い。」

こんな四方山話と子供話で2時間ほどゆっくりさせて貰ったら、さすがに乳児のいる家に長居も出来ないので「そろそろ帰るね。」
駅に向かいながら「ここ、名古屋なんだよね。東京じゃないんだよね…なんか不思議。」「あと数時間後は東京にいるんだよ。」「うーん。この線路が中央線のような感覚だわ…」
なんだろねー、このあまりにも日常の延長にあるような2時間は、一体全体何だったんだろうか?
昨日の日常とかけ離れた一日が余りにも強烈だったからだろうか……
名古屋駅に着くまで、しばしばこの感覚について考え込む。

さて実は、名古屋駅で一つ行きたい所がある。
駅ビルの上にあるスターバックスに行きたい!!
「ねー、スタバによっていい?ここのスタバって日本一高い所にあるんだって。」
慣れないツーリストには判りづらい駅ビルをどうにかこうにか上に上がり、
スタバを探したら、なんとも客がギッシリで、のんびり注文して受け取りカウンターの行列に並んで飲んでいたら、ここに上がってくる前にキップを買った新幹線に間に合いそうもない!!
メソメソしながら、さっき上がってきたエレベーターで降り、慌ててお土産を買い込み一路東京へ…

ああ、久々に旧交を温めのんびりしたわ。
そして、この旅の強烈な置き土産は、たった二日間で体重3Kg増加!!!!


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