顔を打つ何かの感触。 そして息苦しさ。 心地よさとは縁遠い状態で、晶は目を覚ました。 「あれ、わたし……、夢……?」 夢? 何だったっけ、確か私が遠野先輩を……。ええと……。 何処だろ、ここ。 まだ頭が起きていない。 半覚醒のまま晶はぼんやりとしていた。 「あら、お目覚め?」 静かな聞きなれた声。 ええと? 誰だったかな、そんな事を思いながら顔をそちらに向ける。 振り向いた顔に、生暖かい液体がぴしゃと降り注ぐ。 「遠野先輩? え、きゃっ」 反射的に顔を背けながら、目だけは声のする方を追う。 秋葉の顔が見える。 笑っている。 遠野先輩が笑っている。 そして……。 !!! とっさの反射行動とは言え、それを避けるような真似をしてしまった。 その事実の認知が瞬時に晶を目覚めさせ、同時に半狂乱にさせる。 慌てて晶は這い寄り、顔を上に向け、それを受ける。 勢いの弱まったそれの飛滴が顔に弾ける。 それの独特の臭気が漂う。 そして恐る恐る秋葉の顔色を伺う。 「きれいにして」 平然とした声。 怒ってはいない。遠野先輩は怒ってはいない。 安堵で胸をいっぱいにして、晶は顔を寄せる。 しゃがみ込んだ姿勢の秋葉の股間に、晶は顔を埋める。 そしてためらい無く唇を寄せて舌を差し出す。 滴るそれを、自分の顔に浴びせられていたそれを、綺麗に舐めとる。 それ、秋葉の尿……、の残滓を何ら抵抗無く舐めとる。 別に珍しい行為ではない。 罰として呑まされた事もある。 ご褒美としてかけられた事もある。 床にこぼしてしまったのを舌を使って全部舐めさせられた事もある。 決して晶にとって特別な行為ではない。 丹念に晶の舌が秋葉の谷間から下の方まで往復する。 熱心な舌の奉仕を受けながら秋葉が言う。 「いい夢でも見てたのかしら、瀬尾?」 「わかりません。何かぼんやりとして……。でも、わたしと遠野先輩がいたような……」 「ふうん、気絶してたのに、夢の中でもわたしに可愛がられていたんだ……」 「気絶……?」 「薬が効きすぎたようね」 事も無げに秋葉は言う。 その言葉で晶は思い出す。 そうだ、遠野先輩がお家から持って来たお薬……。 秋葉が持ってきた塗り薬を、秘裂とお尻のすぼまりへと塗り込まれ、熱くなって何もわ からなくなり、晶は倒れたのだった。 ああ、まだじんじんしている……。 「あんなに効果があるなんてね。もう少し弱くさせましょう」 「わたし、あの……?」 「悲鳴を上げてのた打ち回った挙句、感極まって意識を失ったみたいね。 特に異常はないからあなたの可愛い寝顔を眺めていて、それから気付けのお水をと思っ たけどあいにくなかったから、自分でね。 目覚めた処で続きをしましょうか。夢の中なんかよりずっと可愛がってあげるわ」 「はい……」 期待に潤む晶の瞳。 秋葉も妖艶に微笑みを浮かべる。 「……でも、その前にシャワーでも浴びた方がいいわ、酷い有り様だから。うん、お風呂 で楽しむのも悪くないわね。」 秋葉に浴びせられた尿、薬の効果故か、秘裂や脚、床に到るまでびしょびしょに垂れ流 された晶自身が分泌した淫水、それらで確かに酷い有り様になっていた。 「お散歩に出かけるわよ」 「はい」 晶はくっと顎を上げる。 すでに白い喉には首輪が、犬用の首輪が嵌められている。 秋葉に隷従する証となるリング。 散歩紐を手に取ると秋葉は、その晶の首輪につける。 「うん、似合うわね、瀬尾」 「……」 いつもこの瞬間だけは、晶は喜びでも悲しみでも無い、虚ろな無色の表情を見せる。 人からそうでないモノに堕ちる為の儀式であるかのように。 秋葉は無言で歩き始めた。 晶がついて来る事を微塵も疑っていないように。 そしてそれは正しく、晶は四つん這いで主人に従う。 首輪から秋葉の手に続く物理的拘束故ではなく、心が鎖で繋がれていめ為に。 ここから浴室までの決して短くは無い距離。 深夜であっても多くの生徒が一つ屋根の下で住まう寄宿舎である。 誰が夜更かしをしているか、または突然起き出して来るか知れず危険性は高い。 最初のうち、晶は泣いて拒み、秋葉に許しを乞うていた。 しかし今では、その誰かに見つかるかもしれないという恐れは、晶にとってぞくぞくす る甘美なアクセントに過ぎない。 夜の寮内の廊下を、すっと背を伸ばして秋葉は歩いて行く。 その背を目にしながら、うっとりとした顔をして幸せだと晶は思った。 夜の帳が下ろされている間は秋葉のモノとなっている自分を。 お風呂ではどう可愛がって貰えるのだろう? そんな事を思いながら晶は四つん這いで歩む。 「瀬尾、ずっとあなたは私のペットよ、いいわね」 「はい」 唐突に投げられた秋葉の言葉に、喜色を浮かべて晶は答えた。 それだけで太股の方まで濡らしながら……。 お風呂までイかずにもつかな、と思いながら……。 《FIN》 ―――後書き 「下克上!?」と「夢でした……」という二つの絵をご覧になって、ストーリーを頭の中 で作り上げた人は多いのではないでしょうか? 優れた音楽が脳裏に絵や映像を生み出すように。 プリシラ・ロバーツが踊っている時に、観ている者の耳にありもしない曲が聞こえたよ うに(「昴」8巻より)。 本作品も私が書いたというより、水冬さんの絵が書いてくれたようなものです。 我ながら他人の褌で相撲を取る真似をしているなあと思いましたが、無理を言って了承 頂いたので晒してみます。ある意味出来の悪い感想文かもしれません。 改めて水冬さんにお礼を申し上げます。 しかし秋葉ってなんでこうも異様に書き易いかな……。 by しにを 2002/4/13
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