声もさっきまでと違い明瞭で冷たい。  そしてなによりもシラフの状態で一子さんのこんな表情は見たことがない。  ――まるで男を誘惑する妖(あやかし)の女のよう。 「あ、あのですね…」  一子さんは戸惑う俺を見つめて妖しく微笑む――  気を抜けば…このまま虜になってしまいそうだ。 「なあに……?」  まるで幼子に問いかけるような口調  今の一子さんはどこかオカシイ…。 「放してくれません?肩が痛いんですけど」  ソレは本当だ。彼女は万力のようにキリキリと俺の両肩に力をこめている。 「あらあら、ごめんなさいね」  と、彼女の両手が俺の両肩から離れた瞬間だった。  これまた絶妙なスキをついて一子さんが俺の顔をその両手で固定し自分の唇を押しつける。 「ん……ぐぅ!!」  ぬちゃ…  ぬちゃ…  ぬちゃ… 「………!?」  刹那、言い知れぬ違和感を感じた。  何かが一子さんの口から俺の口の中に入って来ている…  ゴクン… (……これは…酒!?) 「くぅ…はっ…くぅ…あっはぁ…」  一子さんは俺の口内を自分の舌で掻き回す。  舌と舌が混ざり合い、俺の抵抗する気力は灰になって消える。  気がつけば自分からも一子さんとのキスを味わっていた。  やがて唇が離れ、互いの舌が別れを惜しむように銀色の弦を引く。 「ふふふ…うまいわ、有間…誰かとやったことがあるの?」  意地悪な質問―― 「……そ、それは……」  答えられず…言いよどむ。  すると彼女は冷淡な笑みを浮かべ 「そう、ならやめましょうか」  とクールな態度で俺から離れようとする。  ―ヤダ―  ココロがそう叫ぶ 「一子さん!!」  今度は俺が一子さんの手を引き、抱きつく。  しかし……果たしてどちらが引きずり込まれたのか? 「ふふふ…」  俺のリアクションが予想通りだったのか一子さんは満足げに微笑むと 首筋を妖艶に舐め始めた。 「ああ…」  つい首筋に走る快感に嬌声を上げてしまう。 「かわいいわ…女のコみたい」  そう言って一子さんが首筋に貪りついた。 「くあ……」  天使のように優しく、悪魔のように激しく、首筋が舐められていく…。  タバコくさい吐息が鼻にかかるが、俺はもう、そんな些細なこと 気にする余裕はなかった。 彼女の舌を感じたいが為に…首筋に感覚を集中させる。  ――意識が、汚染されていく  ……どのくらいそうしていたのか、彼女の行為に身を任せ、 されるがままになっていると  一子さんはふと、顔を上げ、俺を見つめる。  そして 「……気持ちいい?」  と、訊ねる。  この気持ち良さに否定はしない――。  素直に首を縦に振る。 「ふふ…正直ね有間は」  もぞ… 「!!」  彼女の手が股間に触れた。  さわり…  さわり…  掌が股間を中心に螺旋を描く――  どくん… 「く、ぅっ……あっ……」  どくん…  心臓が早鐘を打つ――破裂しそうなほど心臓が狂う。 「有間……こんなに勃って…」  俺のはもう彼女の行為によって、はちきれそうなくらい反り返っていた。  そして彼女はまた耳元で囁く 「して…欲しい?」  と。 「…………。」  どくん、どくん、どくん……!! 「どうなの?」  ……意地悪だ…ここまでやっておいてその問いかけはあまりにも……。 「……して欲しくない?」  一子さんは酷く、哀しそうな表情を浮かべる。  それを見てつい、残像を残すぐらいの速度で首を横に振って否定してしまう。 「ふふ…そう」  ぞくっ!!  一子さんはまた先ほどの男を喰らっているような妖の笑みを浮かべる。  あ…これは……いっぱい食わされた。  そう思った時は遅かった。何もかも――。 「でも、そういうのはちゃんと言葉で言うべきよ…」  脳が警鐘を告げる。  ――言うな。と  それを言ってしまえばトンでもないことになると――。  警鐘が訴える。  しかし…俺は 「……て…………さ、…い」 「何?聞こえないわ」 「……し、て……ださい」 「はっきり言いなさい」 「続きを…してください…一子さん」  警鐘はもう聞こえなかった。  ―――もういいと、俺は自分で警鐘を打ち切ってしまった。 「フフフ……素直な子は好きよ…でも、“一子さん”なんて呼び方はないわ」  その呼び方は今の二人にもはや他人行儀な呼び方だから……。 「そうねぇ…私も志貴と呼ぶから…私のことは姉様と呼んで」  この時全てを受け入れてしまおうと俺は決めた…。  だから…さあ、紡ごう、その言葉を…  ―――それは契約の言霊。 「……はい、一子姉様」  その一言で契約は…完了した。 「ふふふ……」  一子姉様は髪を束ねているゴムを外した。  俺の顔を赤い奔流が流れる。  遂に、一子姉様との情事がはじまる――。  理性を剥がしていくように互いに服を一枚ずつ脱いでいく。  部屋には無造作に服が散らばる。 「志貴、横になって…」  俺は一子姉様の思うが侭に身をベットに投げ出す。  すると一子姉様はピタリと肌と肌を密着させてきた。  あまりに気持ち良くて――その感触にしばし酔う。  女の肌はやはり柔らかい――。 「志貴…」  一子姉様は熱っぽく俺の名を紡ぐ。  ちゅ…  そして口付け。  それは触れ合う程度の接吻だった。  だからもっと感じたい…。  今度はもっと長く、唇を重ねてみる。 「ん…………。」  静かな…夜  外の喧騒はまるで耳に入ってこない。  俺の舌が一子姉様の口内に入っていく。 「ん……くぅ…あ、っ…はぁ…」  先ほどの奪うような口付けではない。  恋人同士がするような、甘く…静かな混ざり合い…。  そして申し合わせたかのように唇は離れる。  互いに言葉はない…けどなんとなく予想はできたりする。  一子姉様が人差し指を俺の唇に当て、  ツツツ……  一子姉様の細い指が俺の唇から下へ降りていく。 「……?」  指が俺の胸の前で止まった。 「……ここに欲しい?」 「え?」  質問の意味がよくわからなかった。  予想が見事に外れている。 「キスマーク…首にはもうついているから」 「あ、あぅ…ああ…」  どう答えていいか言いよどむ… 「欲しくない?」  ぶるぶるぶる…!! 「ふふ……可愛いわ…志貴」  一子姉様は唇を俺の胸に近づけ…  ちゅ…………。 「く、ああぁ…」  何か大切なものが吸われていく感覚…。  一子姉様が目を細めてそんな俺を見ている…。  侮蔑しているのか、愉しんでいるのか…  唇が、離れた。そこに残ったのは  ―赤い烙印。―  押されてしまった…。  もう、逃げられない、彼女から…  だがソレを見て俺の中である衝動が芽生えたのも事実。  ―つけたい!!― 「一子姉様…」 「なぁに?」 「……たいな、と」 「?」  顔が熱をもっているのが自分でも分かる。  一子姉様の目を見れず、俺は必死に自分の願望を伝えようとする。 「聞こえないわ、志貴…」 「キス……つけ…た……なぁと…」 「…………?」 「いや、だからその…キスマークを一子姉様につけたいなぁ…と、」  その答えにはちょっとした間があった。  一子姉様は表情を変えずキョトンと俺を見つめ、見つめられる俺はといえば羞恥で 顔が真っ赤になり視線を完全に逸らしてしまっていたりする。 「志貴…」 「はい…」  おずおずと視線を戻す。まるで 『こっちを向けといわれた』  気がしたからだ。  一子姉様に視線を戻すと 「……なかなか、可愛いこと言うじゃない?」  と、妖艶に微笑んで見せた。 「あっ…………。」  その微笑で俺の心は鷲掴みにされた。  心に微かに残っていた他の女性への思いが  全て乾一子の名に塗り替えられていく。  これは…もう…やられたとしか言い様がない。  骨抜きにされたという言葉が今まさに俺の為にある。と思えるほど…  虜にされてしまった…。  多分…調教ゲームで主人公に堕ちた女の心境を俺は今、味わっている。 「いいわよ、つけなさい…」  と、一子姉様は俺にもっと身を寄せてきた。  自分の胸板に当たる姉様の胸の感触がたまらない…。  その快感に俺は溺れながらオズオズと彼女の背中に手を回し、 姉様の撫肩に唇を寄せる。 「あ…」  そっと口付け。  だが、ただつけるのも勿体無かったので  その周辺を舐めまわしてみる。  ねちゃ…ねちゃ…ねちゃ… 「う、ん…」  微かに姉様は身をよじる。 「くすぐったいわ…」  愛しい…乾一子という女の仕種の全てが、 惹かれていく、奪われていく、委ねてしまう。  何もかも…  ――そして俺の想いの篭ったキスマークが彼女の肩に付いた。 「……そろそろかしらね?」  一子姉様は身を放し半ば陶酔している俺を見つめる。 「…………?」  さっきから翻弄されっぱなしで俺は姉様の言葉をよく理解できない。  全ての行為が甘美で何も考える気がしない。  今俺は一子姉様のことしか考えられない。  金髪の姫も、怒ると恐い妹も、ちょっと偽善ちっくな先輩もタナトスな双子姉妹も ここまで自分を攻めてこない。  この目の前の女が初めてだ。  俺は壊れた。  遠野志貴の心は、篭絡した  そして一子姉様が動いた。  腰を上げ、そそりたつ肉棒に照準を合わせて 「……いくわよ、志貴」  そのまま腰をおろした。  ぬちゃ… 「うわっ!?」 「くぅぅ……。」  俺の肉棒は彼女の体に消えた。  スンナリと、何の抵抗もなく。 「ああ、志貴…」  姉様は俺の名を紡ぐ、そして淫らに腰を動かし始めた。  ズチャ、ズチャ、ヌチャ…  今気がついた。姉様はもう、濡れている。  だからすんなりと肉棒を受け入れたんだ。 「ああ、いいわ志貴…」  頬を紅く染め、姉様は腰をふる。 「く、あぁ…」 「し、志貴…気持ちいいの…よく分からないけど…濡れてて」 「………!!」 「こ、こんなの初めて、いいの…いいの志貴!!」  激しく、一子姉様は悶える。  その姿は美しい 「あばたもえくぼ」という野暮な言葉もあるけど  俺にとって今の彼女は美の究極地といっても…過言ではない 「もっと、もっと感じたいの!あぁ…志貴う、動いて…!!」  その言葉に俺の体はずぐに反応した。  意思がなくても体が反応し、一子姉様に衝撃をくわえる。 「くぁああ!!」  そこで上半身をやっとの思いで起こす、すると一子姉様の両腕が 俺を抱きしめる。 「い、一子、姉様…!!」 「あぁ…!!なんで…駄目…まだ…まだ…!!」  律動は止まらない。  激しく…激しく…求め合う  何度も…何度も!!  淫らな音が部屋を支配する。  そして… 「い、いっちゃう…!!」 「い、一子ねぇ…さ」  ピュルルル……  ドクドク………!!  ドサッ………。 「…………」 「…………」  激しい息遣いが場を支配する…。  あ、なんだろう…なんだか急に…眠くなってきた…。  ご、ごめんなさい…一子姉様、明日の朝に…  バチン!! 「いでっ!!」  突然の平手打ち  夢に行こうとした俺は完璧に現実に引き戻された。 「まだ…よ、志貴」  息を切らし、獣のように自分を見つめる一子さん  そんな彼女に俺は…底知れぬ彼女への魅力を感じてしまうのだった…。 エピローグ/  夢……そう、夢を見ている…。  浜辺でガキが数人集まって何かの生物(なまもの)を蹴っている。 「こら、止めないか」    私はガキを諭す。    ガキは自分達のだから邪魔するなといったので  ボコボコにしてやったら逃げていった。  蹴られていたナマモノに言葉が通じないのを知りつつ尋ねる。 「ほら、もう大丈夫だ…って…カメ?」 「はい一子さん」  相手はカメ…しかも顔は私のよく知る奴 「有間…その姿に疑問を感じないか?」 「いえ全然」  有間ガメ(命名・乾一子)はあっさりと答える。  ――まあいいか、どうせユメだし 「助けて頂いてありがとうございます…お礼に…」  ほら来た…全く自分の夢とはいえなんと貧のない欲にまみれた夢だ。 「噛みつきましょう」 「は?今なんて言った、有間ガメ?」 「噛みつきましょう…と言いましたが?」 「いま自分が取ろうとしている行動に躊躇いはないか?」 「ありません」  なんて夢だ…まだ御伽噺の夢の方がマシだ。 「さあ、一子さんその細くて繊細でカミカミしたくなるような指をお出しなさい」  ささっ…  私は両手を後ろに隠す。 「こんなふざけた状況で出せと言われて出す馬鹿がいるか」 「……照れ屋さんですねぇ」 「お前本当に今の自分に疑問を感じない?」 「かんじません」  話にならん…… 「やあ、でも…そうされると噛みたくなるのが鼈の性…」 「鼈だったのか…お前」 「はい」 と、有間ガメは背中の甲羅を見せる。  ――鼈―― 「さあ、遊びも作者の気合もここまでです!!覚悟を決めてください、一子さん!!」 「ちかよるなナマモノ」 「なら…仕方ありません…強行手段です」  有間は顔と手と足を引っ込ませると、ソコから火を吹いて回り始めた。 「なっ…!!」  やはり背中の甲羅には  ――我罵羅―― 『ふふふ…いきますよ〜!!』  ぐるぐるぐるぐる!! 「う、うわあああ!!」  おそるべき不可視のスピードのタックル。  私は簡単に捕まり押し倒される。  私を捕まえた有間ガメはニヤついて… 「さあカミカミしましょうねぇ…♪」  カプ!! 「ぎゃああああああああああああああ!!」  ………………  ……………  …………  ………  ……  …  と、私は飛び起きた…  辺りを見回しここが自分の部屋だと確認すると大きく溜め息をつく 「全く…なんて夢を見るんだ…」  ――そこで不意に自分が裸だと言うことに気がついた。 「……え?」  なんで…?  床に視線を送るとそこには昨日の夜自分が着ていたスーツと 青を基調にした見覚えのある学生服が散乱していた。 「……??」  まだ起きたばかりで思考が上手く働いてくれないのか 私はまだ事態が飲み込めないでいる。  えぇと、なんだったっけ…昨日は… 『チュパ…チュパ…』 「そう、飲んでてあいつらに結婚しろだのなんだの言われて…」 「う、うぐぅ…ふぅ…」 「キレテ家に帰ってそれから…」 「くっ、あっ、ぷはあ…」 「………!!」  右手に生温かい感触――  私は空いている左手で顔を覆う。  はっきりいって…見たくない…見たくないけど 「くっ…あっ(ちゅぱちゅぱ)一子、あ、ねぇさ、まぁ…」  頬を真っ赤に染め志貴は上目遣いで私の指を舐め上げている。 「………誰だお前は?」 「貴方の忠実な奴隷です」 「自分の発言に疑問は抱かないか?」 「抱きませんよ」 「はぁ…」  私は溜め息をつくと再びベットに倒れ込んだ。  昨日の夜…何が起きたのか…まあ、コイツを見れば大体の予想はついてしまう… 「我ながら何て恐ろしいことを…」  まあ、形はどうあれ有間志貴という男が手に入ったんだ…。  今度、自慢してやろう…っと、 「……一子姉様〜♪」  子猫のようにスリよってくる志貴…  ……その前にコイツを元に戻さないとな…  私は苦笑すると志貴の口から指を抜き  志貴の唇を塞いだ。  私は…どちらかといえば愛されるより愛してみたいからな…。  だから、これからは志貴を自分が本気で愛せるいい男にしていこう…  舌を絡ませながらも私は目の前の志貴をどういう男に仕上げようか考えた。  二人きりの時間はまだ始まったばかりなのだから…  考える時間は十分にある――。  FIN…… あとがき/  はい、後編です。えぇ…後編です…  な、なんですか皆さん、その白い目は…!!  え?「お前には縛られたいとかそういう欲望があるのか?」ですか?  わ、私にはそんな趣味は…あ、ありませんよ…(動揺)  し、失敬な…(汗)  出すのが遅れて大変申し訳ありません(謝)  ラストがどうしても気に入らず何度も書き直しておりました。  なにが足りないかったかと言えば… おまけ/1  遠野家地下室  瀬尾晶の絶叫が木霊する… 「ごめんなさああああああああいいっ!!」  泣きながら晶は許しをこう  真っ暗で何も見えないこの部屋には ピンク色の玩具があちこちに転がっていた。 「瀬尾…貴方が何故、こんな目にあっているか理解できて?」  紅くなった長髪を靡かせ、鬼女…遠野秋葉は嗤う。 「ひっぐ…ごめんなさい…」  余程恐い目にあったのか、瀬尾は幼児退行をしてしまっていた。  浅女の制服はところどころ裂けており、そこから覗く肌は赤く腫れ上がっていた。 「泣けばいいものではないのよ?……瀬尾!!」  ぴしーっ!! 紅い髪が鞭のように晶の白い身体を打つ 「ひゃああああああ!!」 「私がアレだけ頼んだのに…貴女って子はぁ!!」  パシーン!!パシーン!! 「兄さんが頼めば何でも上げてしまうのね!?」 「ち、ちがいま…!!」 「じゃあ、なんで私の頼みに応えず、兄さんの頼みには応えたのかしらァ!?」 「そ、それは…」  幻の酒「呉羽」が呑みたいと言っていたのは何も志貴だけではなかった  自称酒仙である秋葉の耳にもその呉羽の名は入っていたのだ。  そしてこの秋葉の怒りよう…  実は呉羽という酒には昔からの言伝えがあるからなのだ…。  ―呉羽を呑んで結ばれた男女は生涯離れることはなく添い遂げることができるという…―  その酒は実は縁結びの酒だったらしいのだ…  自分が必死に頼み込んだのに(最愛の兄と添い遂げるため)晶は首を縦に振らず 最悪にも晶は志貴に上げてしまったのだ。  そして秋葉の怒りの中にはもう一つ怒りの原因があった。  ――兄が呉羽を持って私のところに来ない事実!! (兄さんの本命は私ではないのですかああああ!?)  断っておくが志貴は呉羽が縁結びの酒であるとは知らない。  ただ、ホントウに幻の酒が呑みたかっただけであると記しておく…  では、どうして秋葉に呉羽がばれたのか…  それはただ単に晶が口を滑らしただけだったりする。  そのばれた日が…よりによって志貴と一子が結ばれた日であることも追記しておこう 「ユルシテェェェェェ!!」  晶の絶叫が…地下室に木霊する…。 おまけ/2 「まさか、お前がホントウに俺のお兄さんになるとは思わなかったぜ…」 「あはははは…」  俺は苦笑いを浮かべた。  ここは新郎控え室…おれはソファに腰掛け有彦と会話をしていた。  そう…今日は俺と一子姉…ゴホン!!一子の結婚式…  あれからズルズルと関係が続いてしまい、とうとう俺も年貢を納めなければならなくなった。  そして、一子の希望もあって、俺の姓は…遠野から乾になる。  遠野の屋敷は堅苦しいからイヤだからというのは一子の談である。 「これからは志貴義兄さんなんて呼ばなきゃいけないのか…。」 「違和感ありまくりだよなぁ…」 「ホントウだよなァ」  互いにクスクス笑いあう…だが暫くして有彦が真面目な顔をした 「こほん……に、義兄さん」 「はい」 「姉貴は料理も家事もこなせない…」 「うん、知ってる」 「一言で言うとガサツな女だ」 「……うん」 「でも、根は寂しがり屋だ…誰か傍にいなけりゃ、支える奴がいなければ…駄目だ」 「知ってるよ…」 「今まではその役目は俺だったけど…に、義兄さんこれからはあんたが姉貴を支えるんだ」 「ああ、まかせてくれ…!!」 「姉貴、乾一子をお願いするぜ?」  有彦が手を差し出す、俺はその手に手を伸ばし、堅い握手を交わした。  それからも有彦と談笑をかわしていると 「志貴さん、一子さんの着付けが終ったそうですよ。」  琥珀さんが白いリボンに紺色のドレス姿で現れた。 「あーはい、すぐ、行きます…それと琥珀さん?」 「はい?」 「秋葉はどうしてる…?」 「あはぁ…拗ねていますよ」  琥珀さんは苦笑する。  そして俺のスーツ姿を見て 「似合っていますよ志貴さん」  と、一言 「ああ、ありがとう……さて一子のウエディングドレスでも見に行くかな!!」  俺は勢いよく立ちあがり愛しき妻の所へ向かった。 あとがき/  はい…蛇足とも言えるおまけ2本でしたぁ♪  一様、おまけで物語の補完をしました(つもり)がどうでしょうか?  古い話ですが私は「Dry?」で一子さん萌えました。書いてて楽しかったからです…  思わず、口元がにやけていたのはナイショの話です。  次書くなら、一子×青子×志貴かなぁ…?  それでは機会があればまた…それでは!!  AE86に魅せられた夜に…  戦闘BGM「RED ZONE」


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