「姉さん」 そういって翡翠ちゃんは、わたしの手をぐいっとつかみました。 思わず腰が引けてしまいます。  今さっきまで秋葉様とつき合ってお酒を頂いていたのがまずかったのでしょうか? ――翡翠ちゃんの目はすわっていました。 「……いったいどうしたの……翡翠ちゃん……」 わたしは慌てていました。狼狽えていました。そして――怯えていたのです。

雅 魅

   瑞香


 こんなことは初めてだと思います。  目の前の同じ顔をもつ――まぁ双子ですから当然なのですけど――妹の翡翠ちゃんが、 ゆっくりと迫ってくるのです。  その顔で違うのは瞳の色だけで。 わたしのとは違うその翡翠色深い輝きに思わず、ごくり、とつばを飲み込んでしまいます。 それほどの迫力でした。 「……姉さん」 「あ、あのぅ、翡翠ちゃん――なんですか?」  いつものあはーとした笑みを浮かべてみます。  でも止まらずに、そのままにじり寄ってくるのです。  なぜか――身の危険を感じます。  いつもなら逆でしょう、と言いたいところですが。  今の翡翠ちゃんにそんなことをいうと危険な気がして。  というか、すでに目がすわっていて。  なんていうかもう止まらないモードに突入状態。  なぜかいつも手玉にとっていた妹が突然このように牙をむくと、どうしていいのか、 わからなくなります。  でも大丈夫なはずです。  槙久様も四季様もそして秋葉様も手玉に取ってきたという自負があります。 この程度の妹の対応でおたおたするなど――わたしらしくない、と思います。  わたしらしくない――この考えに、つい場違いな笑みを浮かべてしまいます。  なにが自分らしいんでしょうね。 「……ずるい」 そういって翡翠ちゃんはわたしを握る手の力を強めていきます。 「……ひ、翡翠ちゃん……」  落ち着かせようと、まず話しかけてみますが――。  突然、翡翠ちゃんはわたしの唇を奪ったのです。 その柔らかい感触に、甘い香りに驚いてしまいます。  槙久様やシキ様に感じていた男のあの独特の体臭ではなく、志貴さんのあのやわらかな でも情熱的な口づけではなく、ただひたすらに柔らかい女の唇。  い、いえ、わたしはそんな趣味はありませんよ。えぇ絶対に。  でも同じ顔の、可愛い翡翠ちゃんの柔らかい唇にくらっときました。 百戦錬磨のわたしがくらっとくるほどの、甘い口づけ――翡翠ちゃん何時の間にここまで!?  わたしはわけがわかんなくておたおたしています。たぶん顔も真っ赤になっている のでしょう。 どうすればいいのかわからないわたしをただ翡翠ちゃんは攻めるのです。 唇を翡翠ちゃんの舌がわって入ってきます。  女の人と口づけなんて――ようやくわたしはことの異常さに気づきます。  ――でも その柔らかい舌はわたしの歯と歯茎を丁寧にねぶり、優しく快楽を引き出そうとしている のです。  おもわず腰の奥がくすぶります。  こんなに優しいキスなど初めてです。  槙久様も四季様もただ荒々しい、男性的な攻撃的なものをぶつけているだけで――。  志貴さんはなるべく優しくしてくれますが、やはりなんというか男の人で――。  こんなに甘くとろけるようなキスは初めてです。  なんて――甘い。  は、こんなことを考えている場合ではありません。  わたしは体をあずけてくる翡翠ちゃんを離そうと努力します。  しかし翡翠ちゃんはわたしの首に両手をかけて、笑います。  その顔を見た途端――火照ってきます。  腰の奥のくすぶりが、熱くなってくるのです。  なんて――いやらしい。  そこにあるのは翡翠ちゃんの顔。  いえ違います。  翡翠ちゃんの女の貌。  その深い翡翠色の瞳は潤み、まぶたはうっすらとだけ開いてわたしを見ています。  頬は上気し、唾液で濡れた唇は半分開いていて――。  なんて――淫らなんでしょう。  そしてその貌は、わたしの貌でもあるのです。  双子である翡翠ちゃんのその蕩けた貌は、わたしの貌でもあるのです。  なんていやらしい貌をしているんでしょう――わたしは。  なんて淫らな貌をしているんでしょう――わたしは。 「姉さんだけ……ずるいです」 再び唇を重ねます。今度はわたしも望んで。  柔らかくそして暖かいヌラヌラとした舌を絡み合わせます。  お互いの荒い息が掛かり合い、高ぶっていく。 「翡翠ちゃん……」 「姉さんだけ……志貴様と……」 言葉とともに翡翠ちゃんはわたしを攻めてきます。 そっと唇を瞼にします。  舌でてらてらと右目のまぶたを舐め上げるのです。  その柔らかな感触がとてもたまりません。 「この瞳の色しか違わないのに……姉さんだけ……」 そして次は左目。 わたしはそれをただ感じるだけ。  躰の奥からじわじわと圧力が高まってきます。  あの強い衝動が、躰の芯をくらくらとせるのです。  両目を舐められたわたしは目を開けることができません。  あのぬるぬるとした舌が、わたしの瞼を、眉を、鼻を、頬を舐めていくのです。  涎がわたしの顔にまんべんなくなすりつけられて――こんなに汚されていくというに、 体がしなるほどの興奮を覚えているわたしがいます。  槙久様とも、四季様とも、そして志貴さんとも違うこの身から震えが来るような悦楽。  わたしにはそのような趣味はありませんのに、妹の唇が躰を這うたびに、甘い痺れが うずきとなってわき上がってくるのです。  そして首筋をなめ――つい昨日の志貴さんの逢瀬が思い出されます。 「こんなところに――」 翡翠ちゃんの声。いつもの無機質な事務的な声。 なのに――とても甘く響いて聞こえます。 「……志貴様の跡が……」  襟元で隠れているはずの鎖骨の上をちろちろと舐め始めます。そして志貴さんがつけた 鬱血のあとを丹念になめ回すのです。  志貴さんよりも興奮してきます。目を閉じているためでしょうか。 頭がくらくらしてきます。  すると着物の裾から冷たい手が割り入ってきます。 そしてそっと胸にふれました。 着物のため下着はつけていません。  そのまま直に胸に触れるのです。 「ひ、翡翠ちゃん……」 わたしは慌てていいます。これ以上進むのは、なにか危険な感じがしたからです。 「も、もうヤメましょうよ。ね、ね?」 薄目をあけて、なんとか確認します。 ねっとりとした唾液が目の中に入ってきて見づらいですが、よく見てみますと。  翡翠ちゃんはわたしの着物を脱がせています。 「駄目ですよ、翡翠ちゃん」 わたしは素早く襟元を抑えます。 これ以上はとても――クセになってしまいそうで。 でもその手に翡翠ちゃんの冷たい手が触れます。 じんわりとその冷たさが染みいってきて、指が動かなくなりました。 そしてその瞳に魅入られてしまったのです。 その深い翡翠色はわたしの心を縛り上げ、『琥珀』の仮面をとろうとしてくるのです。    ――姉さん   なんて淫らな目。   なんて淫らな唇。   なんて淫らな貌。 ――なんて   なんて淫らなわたしの貌――  淫乱で、淫猥で、淫蕩で、なんていやらしい。  わたしはその貌をそっと手をやりました。  うっすらと上気した頬はしっとりとしていて、指が吸い付くようです。  その頬を撫でていると、その冷たい指先がわたしの指と絡まり、そっと口に運ぶのです。  ああ!  翡翠ちゃんはそっと口に含むのです。    ぬちゃり、と――  あの舌がわたしの指を丹念に舐め上げていきます。  まるでわたしの指先を陰茎のように舐めあげ、すするのです。  指が口の中でとろけていきます。  しゃぶられ、舐められ、すすられている指先からじんわりとした甘いうずきが広がって いきます。  それが躰の奥のくすぶりを、悦楽を引きずり出してくるのです。 奥から出てくる悦楽という名の甘い疼きと焦燥感がじわじわと昇ってくると、わたしの 神経を、脳髄を灼くのです。  じわりと、あそこから花の雫があふれてきたのがわかります。  そしてそれがゆっくりと、ゆっくりとひろがり、満ちていき、そして、とろりとこぼれ そうになっていきます。  躰はわななき、それだけで快感を感じているのがわかります。  でも――翡翠ちゃんの目から視線を一時でも離すことはできませんでした。  その深い瞳に魂が縛られていたのです。  そして、つつーと太股を伝わって、蜜が滴っていきます。  それだけで躰が震えました。  翡翠ちゃんは、かすかに笑います。  あのいつものメイドとしての顔のまま。  でもとても愉快そうだったのです。  それがわたしの劣情を煽ります。  そして動けないわたしの首筋にまた口づけしたのです。  まるで――反転した四季様のよう。  吸血鬼に魅入られた者は、吸血鬼のなすがままだといいます。  まるで今のわたしのようです。  そしてそのまま、はだけて見えてしまっている肩に口づけします。  そのまま下へ――  そして胸にそっと口づけします。  志貴さんよりもやさしく、まるで触れていないかのように。  でも触れられたところは熱く蕩けていくようで、熱くジンジンしています。  こんなのは、初めてです。  勃った乳首を他がなで回します。  そのたびに甘い疼きが躰へと広がっていき、脳が直接舐められているようです。  白く何かがスパークしていきます。  その舌はわたしが弱いところ、感じるところを的確になめ回し、口づけし、嬲るのです。  わたしは喘ぎながら、首をふりました。  これ以上そんなところだけを攻められたら狂ってしまいます。  でも翡翠ちゃんは、まるでわたしの急所をしっているかのように、そこだけを的確に 触り、苛めるのです。  ゆっくりとあの感覚が高まっていきます。  あの淫らな波が、奥から指先まで広がっていきます。  でも達するにはか細く、弱々しくて。  もっと強い刺激をもとめて、わたしは太股をすりあわせました。  何度すりあわせても、直接ふれたような、あの刺激はなく、どうしてもいけません。  あそこへいけない。  焦らされます。  もうちょっとだけというのに、です。 「……姉さん」 翡翠ちゃんはもじもじしているわたしに向かって、笑いかけてきます。 「腰をもじもじさせて……」 心を読むかのように、そっと囁きます。 わたしの目尻を舐め、そのまま潤んだ涙を舐めとめとるのです。 「……たまらない、ですか――姉さん」 いつものならば、わたしがいうような台詞を言う翡翠ちゃんに、躰がびくんと反応します。  いつもならば――そうそはわたしの台詞。  これは『琥珀』の台詞のはず。  だから目の前にいるのは翡翠ちゃんでなく――『琥珀』で。    あぁ――だから  納得しました。    だから、逆らえないんだ、と――。  震える躰を翡翠ちゃん――いえ琥珀はそっと抱きしめ、そして下へと手を伸ばして きます。裾から手を入れ、太股を伝わってきます。  そのゆっくりとした感触が、  その冷たい手が、  もうすぐ触れるのだという期待が、  躰をわななかせるのです。 しかし手はぴたりとその手前で止まってしまうのです。 こぼれた雫を太股になすりつけるだけで――。  切なくて、たまらなくて見つめるわたしに向かって 「おねだりしないのですか」 その言葉が頭に突き刺さります。  なぜ、どうして、こんな意地悪を――。  あの人だってこんなことを言わないのに――なんて酷いのでしょう。 でも太股をまさぐる手は、わたしの神経の1つ1つをなであげ、高まった快感を、その 状態で維持します――なんてひどい。 冷たいはずの指先に触れられたところが熱く、かすかに触れてくるところがむずかゆくて。  わたしはいやいやと首をふります。  でもゆるしてはくれないのです。  わたしが淫らな言葉でおねだりするのを待っているのです。  言うまで何もしない――とその目は告げています。  でも太股をさすりあげる指先は止まらず、その唇はただ乳首をいじめるだけで。  歯をあてて、とがった乳首に刺激を与えるだけで。  でも足りないのです。  もっと。  もう少し。  あとちょっと。  じらされます。  背筋を何度もむずむずとした快感が走り抜けていきます。  なのに――足りないのです。  焦燥感にあおられます。  躰の奥底でくすぶっているものが、わたしの躰を灼き始めます。  ゆっくりとじわじわと焼き尽くすのです。  でもその強さでは、足りません。 「……」 あぁ赦してくれません。 そんな小さな声では駄目だと言わんばかりに見つめてきます。 舌先でただちろちろと乳首をなめ、太股を触れるだけで。 そのくすぐるような感覚はすでに敏感になったわたしの躰には快楽しかもたらさなくて。  わたしの中のオンナが、淫らな牝がうずいて、もうどうしようもありませんでした。  真っ赤になった女襞がひくついているのがわかるほど、興奮していたのです。  ああ! 「お願いです!」  わたしは自分に向かって、懇願していていました。  叫んでいました。  喘ぎ声とともに、魂を吐き出すかのように気がつくとしゃべっていました。  屈辱です。  でもその屈辱感がさらにわたしを煽るのです。  さらにあそこから雫があふれてで、着物を、太股を汚していくのがわかります。  身を焦がすような屈辱感と同時に、なんともいえない解放感。  こんなに淫らな――。 「疼きをとめてください。わたしのあそこを、とろとろになっているあそこを、イジって ください。――お情けを!」  すると、あぁなんということでしょうか。  立ち上がると、わたしの顔にまたがってきるのです。  そしてそのままわたしの太股をわって、顔をいれます。  シックスナインといわれる体型になると、そっと顔にそれが押しつけられました。 「……まずは……こちらね」  そこにはひっそりと咲くオンナがありました。  初めて見ましたオンナは――とても卑猥でした。  柔らかそうな茂みがほっそりと生え、その下にそっと咲く淫らな花。  赤く充血しきった襞はまるで花弁で――そこは朝露のような雫で濡れていました。  しかしそにからは熱くねっとりとしたなにかがあって。  すると躰に強い刺激が一瞬だけ走ります。  わたしのが舐められたのです。  あまりにも心地よい刺激に、鳥肌が立ちます。 「……さぁ……」 そして催促され、言われるがまま、そこに口づけしました。  襞に舌を這わせ、そこの蜜を啜ります。  と同時にわたしのもいじられ、躰が引きつります。  わたしがイジり、すすり、舌を這わせるたびに、同じようにイジって、すすって、 這わせてくれるです。  顔を押しつけ、蜜で顔が汚れるのもかまわず、なめ回します。  とろとろとこぼれる雫は、初めてでしたが、そんなに嫌悪感を感じませんでした。  それよりもより強い快楽を求めて、わたしは指で広げ、舌を突き入れます。。  舌をいれるたびにそこからはとろりと蜜がこぼれ、それを舌ですくいとるのです。  わたしのオンナは大きく広げられて、啜られます。 強烈なほどの甘美感が全身を貫きます。  その強い官能のうねりにしたがって、わたしは必死に舐めます。  そして陰核に舌をはわせ、そして口づけします。  すると彼女の躰は震え、感じているのがわかります。  そのまま唇に挟むと、舌先で強く弱く、ぬにぬにと刺激を与えました。  とたん、彼女も同じコトをしてくるのです。  下の口からはしどどに愛液が流れ落ち、うち震えて、ひくついています。  陰核と膣とを舌で舐め上げます。何度も大きく。  そのたびにわたしのも舐め上げてくれるのです。  とろとろとなったわたしの愛液を、ふくれた陰核を、開いた肉襞を、その舌がいたぶり、 責めてくるのです。  わたしたちはわななき、求めあい、淫らな喘ぎをあげます。  もっともっととお互いの躰をまるで熟知した自分のもののようにいたぶるのです。  甘くうずく官能の炎だけがわたしたちにありました。  この赤いオンナと神経を灼く甘い炎だけが、あぁそれだけでも足りず、その炎もっと 強くするためにオンナをせめ、いじるのです。  軽いエクスタシーがはじけ、それをもっと貪欲に求め、いじりあうのです。  突然のことに頭が真っ白になります。  体の中に入ってきました。  撫でるでもなく、イジるのでもく、いきなり入ってきたのです。  求めていたその感触に。  わたしは絶叫しました。  それだけでイってしまいます。 、躰が仰反ってしまうのです。  ぬちゃぬちゃと粘膜が淫らに掻き回される卑猥な音が、わたしのあそこから聞こえて きます。  わたしは熱くねっとりとした息を吐きながら、嬌声を上げ続けました。  指は粘膜を、真っ赤に充血しきったそこを、かき乱し、なすり、いじり続けています。  わたしのアソコは、まるでつるかのようにその指を締め付けて、貪欲に飲み込もうと 淫らに煽動します。  その指は突然広がり、前後いえ左右……あぁ……ともにかく動き出し、快感をさらに 引きだそうと蠢くのです。 柔らかい粘膜をつめたてられ、いじられてる、そのつよい快感に、わたしは涙を流しながら、 首をふりました。  躰が熱く燃え滾っています。  果てたい、イキたいと、震えが走ります。  入った指先は、そのままどんどん躰の奥へはいってくるようでした。  すでに腹をこえ、胸まで来ています。  それだけの圧迫感で。  体の中をとろとろに溶かしていくのです。  いやらしい液体に体の中から蕩けていく、この快感。  手足が突っ張ります。突っ張ってしまうのです。  もしかしたら涎も流しているのかもしれません。  するともう一方の手が、わたしの華の上の突起に触れました。  皮から出てぷっくりと充血しきったそれをなで上げた時。 「――――――!!」  声にならない声をあげました。  強すぎる刺激に、何も考えられません。  そこをこねくり回させ、膣をかき乱されて、ただ喘ぐだけで。  すぐに頭が真っ白になります。  はじけてしまうのです。  幾度も幾度も、躰に痙攣が駆け抜けます。 「――――――あああああああああ」  一度達したというのに、またイってしまいます。  何度も、幾度も、淫らにいってしまいます。  淫らな声をあげて、もっともっととせがんでしまうのです。  あのわたしの淫らな貌に。  もう一人のわたしに。  あそこがとろけていきます。  あそこから何か電気が発しているのです。  甘く痺れさせてくれる電気が何度も躰をはしるたびに、ほとばしらせてしまいます。  最後は躰の中からすべての出してしまうような快感が何度も幾度も、躰を貫きます。  それがわたしを溶かしていきます。  どろどろな淫靡な悦楽の中に溶かしていくのです。  幾度となく走る甘美感。  拡散して。  霧散して。  消して。  とろかしていくのです――。  そして真っ白になって、ぐずぐすに溶けていき、散っていき、消えてしまう――淫らな わたしたちの躰。  ………………。  ………………。  ………………。 「くちゅん」  意識を取り戻します。  淫らな牝のにおいが充満していました。  そこには裸になったわたしとわたし――いえ翡翠ちゃんがいました。 躰を絡ませ、抱き合い、まるで躰を一つにしようかというように結びついていました。  ……ズルい 翡翠ちゃんのか細く震える声が浮かびます。    翡翠ちゃんったら、そんなに志貴さんのことを……    ふふふ、じゃあ今度はふたりで わたしは、寝ている翡翠ちゃんに笑いかけます。    ふたりで志貴さん……いえ志貴様に抱かれちゃいましょうか? その淫らな光景を想像して、わたしは次の逢瀬について、ふたりっきりではなく、三人が 睦まじく淫らに絡み合う淫靡な逢瀬について、考えを巡らせはじめました。    なんだか……そそりますねぇ。  そして気持ちよさそうに寝ている翡翠ちゃんをみて、今さっきまでの絡み合いを思い 出し、かぁっとなります。    ……でもこれってクセなっちゃいそうですね。 そんな確信めいた予感に、期待をこめて躰が震えるのでした。    まぁそれもいいかもしれませんね。 そのまま躰を絡ませて、寝てしまいます。体は疲れ切っていて、服を着るとかそういう のも一切思いつかないほどトロトロで――そのまま倒れ込むと、瞼を閉じます。  気持ちよくて、眠くて――そのまま意識が拡散し、消えていきます。    お休みなさい、翡翠ちゃん  そうわたしは自分に挨拶して、眠りにトロトロと溶ろけていったのです……。
- Fin - 10th. May. 2002 #25

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