「挿れるよ」

 返答も待たず、ずぶりと突き入れる。
 乱暴なほどいきなり、激しく。
 琥珀さんのまだ準備が整っていない秘裂に入っただけで、そのまま射精してしまいそう
になる。
 いきなりクライマックス。

 さすがに挿入即放出という無様な真似は防いだが、少しセーブしないと……。
 理性はそう判断するが、体はさらにさらにと快楽を求めて動く。
 上から交わっての感触を堪能すると、つながったまま琥珀さんの腰を掴んでぐるりと引
っくり返してしまう。

「琥珀さん、腰を上げて……」
「は、はい」

 四つん這いでお尻を高く上げる恥ずかしい獣の姿。
 いったん引き抜く。
 着物であれば、そのまま乱して脱がしてしまうところだけど……。
 スカートが落ちるのを手にとって、捲り上げお尻を丸出しにする。
 濃紺の布と白い肌の対比が実に魅惑的に目を射抜く。
 誘うように見えるお尻をつかんで後ろから琥珀さんを刺し貫く。

「あ……、はうぅぅん……」

 琥珀さんが悲鳴を洩らし、それに合わせて琥珀さんの中もぎゅっと収縮する。
 いつも以上に琥珀さんも敏感になっていて、過敏に反応が返ってくる。
 こちらへの快感の跳ね返りとなって。

 おさえなきゃ。
 おさえなきゃ。
 おさえなきゃ。
 僅かに残った理性が必死に叫んでいるのに、体は止まらなかった。
 激しく腰が前後に動き、琥珀さんの中を動く。
 何度も何度も貪欲に、琥珀さんを貪り続ける。
 
 いつもの激しくはあっても何とか制御している動きとは違う、情欲に支配された荒々し
いだけの単調な動き。
 琥珀さんをまるで道具のように扱って……。

「ごめん、琥珀さん。止まらない……」

 琥珀さんの顔は下を向いていて、この体勢では見る事が出来ない。
 もしかして、怒っているのか。
 こんな乱暴なやり方で悲しんでいるのか。
 それとも?

「……大丈夫ですよ、志貴さん。そのまま続けて、気持よくなって下さい」

 その声に僅かに理性が戻る。
 勢いはそのままに、心持ち琥珀さんを気遣い自分の浸っている快美感を共有して貰う動
きを取る。
 後ろから、琥珀さんの胸をつかみ、動きにあわせて揉む。

「うんん……」

 琥珀さんが吐息を洩らした。
 感じてくれている。
 琥珀さんが感じてくれている。

 嬉しさがこみ上げ、さらに快感が高まる。
 本当にこの興奮振りは異常だ。
 さすがに堪えたものの、既に限界は間近。
 ラストスパートと、ばしばしと腰を琥珀さんに打ちつける。

「琥珀さん。もう俺……」
「いいですよ。志貴さんの好きな時に」
「うんん、ああっっ」
 
 琥珀さんの中が収縮する。
 根本から亀頭の先まで全体がぎゅっと締め付けられる。
 それで限界の限界。

 琥珀さんの中に激しく放った。
 放ちながら、まだ奥へと腰を突き入れる。
 これ以上無理という処に辿り着いてようやく放出が止まる。
 結合部の激しい動きで、捲くっていたスカートの裾がはらりと落ちる。
 俺の下腹部、臍あたりに。

 片手でそれをどけながら、琥珀さんから俺を引き抜く。
 愛液と精液がぽたぽたと落ちる。
 そしてそれにまみれたまだ固い肉棒を手にした布にこすりつける。
 少し荒めの感触。
 びゅく、と残りの飛滴が弾ける。
 秋葉の制服が、俺に汚され、白い染みを作る。
 制服を汚す奇妙な満足感…………。

 って、ああっ。
 はっと我に返る。
 
 あ、凄い事に。
 握り締めて皺だらけだし。
 琥珀さんの谷間から落ちたので、内側を濡らしてるし。
 俺が駄目押しとばかりにどろどろをなすりつけて、そしてスカートめがけて。
 ええと……、まあクリーニング出すし。

「酷いです、志貴さん、秋葉さまのこんなにしちゃって」
「あ、あはは」
「わたしもケダモノの志貴さんに貪られてすっかり食べられちゃって」
「ごめん。あまりに興奮しすぎて歯止めが利かなかった」
「おまけにまだまだ、わたしの事苛めようと……」

 琥珀さんがじいーっと俺の股間を見つめている。
 はっはっはっ、一回くらいじゃ全然おさまらない。
 ちょっと恨みがましい目の琥珀さんにどう言おうか考える。

「じゃあさ、今度は琥珀さんが……」

 言いながら仰向けに寝る。
 体の真中で肉棒だけがあさっての方向を向く。

「満足して寝ているオオカミに仕返ししたらどうかな?」
「赤頭巾ちゃんが食べられて、猟師の登場ですか」

 そうですね、と琥珀さんは妖艶な光を一瞬目に走らせる。
 そして上半身のセーラー服に手をかけて、脱ぎ捨てようとする。

「ストップ」
「え?」
「そのままです」
「そのままって……?」
「上は脱がないでそのままにして下さい。靴下も脱がないで。
 ああ、凄くえっちでいい感じですよ、琥珀さん」
「やだ……」

 琥珀さんの顔がかあっとまた紅くなる。
 可愛い、可愛いよ。
 上半身のみのセーラー服姿で下は一糸纏わぬ……いや、紺のソックスのみ……、という
格好で頬を染めている琥珀さんの一撃必殺の破壊力に満ちた姿。

「じゃあ、いきますよ」

 足を広げて跨ぐと。しゃがみ込む。
 左手で俺の肉棒の向きを整え、一方の手で自分の谷間を……。
 うわあ、中からさっきのがこぼれてトロリとしている。
 凄くえっちだ。
 指で開いて奥の方まで見せ付けている。
 充血した媚肉。
 きらきらと感じている証拠で濡れ光って、そしてさっきの残滓がまとわりついている。
 生々しく、いやらしい。

 肉棒に添えられた手も、ただじっとしている訳では無い。
 人差し指が、裏側をゆるゆると撫でさすり、親指は亀頭の先をくにくにと弄っている。
 残りのただ添えられた指も掌の感触も、柔らかく心地よい。

 目から受ける間接的な刺激と、急所への的確な直接的な刺激。
 一気に感情が沸騰点に近づく。

「いきます……」

 囁くような小さい声と共に、琥珀さんの体が沈む。
 屈むようにしながら、手で角度をあわせた俺の肉棒に近づいていく……。
 何度体験してもこの瞬間のワクワク感は堪らない。
 自分で入れるのとは違った、受身の喰われるようなイメージ。

 喰われた。
 ……。
 さっきとは中の感触も違う。
 さらに柔らかく、優しい感じがする。

 しかし激しいは激しい。
 凄い、この琥珀さんの動き……。

「ごめんなさい、志貴さん。わたしも高まってしまって抑えようとしても……」
「いいよ、今度は琥珀さんのペースで」

 口を利くのも辛い。
 いや辛いと言うのは変で、気持ち良い。気持ち良いのだけど……。
 いつものラストスパートの動きを初っ端から受けている感じで、二回目とはいえ、凄く
て耐えるのが……、凄い、くうぅぅ。
 琥珀さんもえらい事になっているのが見て取れる。それだけに先にイってしまう訳には
いかない、いかないのだけれど……。
 これは、ちょっと。
 琥珀さんと一緒に……、うっっ。……これは無理か?

 肉体的な快楽もそうだけど、セーラー服の上だけで下半身剥き出しの琥珀さんが俺に跨
る様にして必死に体を上下させ揺らしている姿は、それを見る事は、頭を乱打されるよう
な衝撃で、それだけで……、ダメだ。まだ、もう少し我慢するんだ。
 
 たぶたぶと揺れるセーラー服の撓みと中の膨らみに目をやる。
 手を伸ばした。
 少しでも気を逸らす為に。
 琥珀さんの動きをセーブする為に。

 下から手を伸ばして、揺れる琥珀さんの胸を掴む。
 ブラジャーはつけていない。
 手と胸の間には秋葉の制服の布地。
 直接艶かしい肌に触れるのとは違った感触がこれはこれで良い。
 手を動かさないで、むしろ固定しておく事で、琥珀さんの動きで手の中でたわむ。
 気持ちいいなあ。
 掌中の宝物の感触に酔う。
 そんなに大きな胸はしていないけれど、琥珀さんのは形も良いし、柔らかさも感度の良
さも申し分ない。
 ほら、今だって、先っちょが固くなっているのが布越しなのにはっきりとわかる。

 今度は裾の方から手を差し入れる。
 少し汗ばんだ肌。
 しっとりとした肌の感触がまた堪らない。
 こねるように揉みしだく。
 目から入ってくる刺激がまた凄い。
 セーラー服の中で手が動いて胸を掴んでいるのが、布の膨らみと皺とで間接的に見て取
れる。
 自分の手なのに何だか凄くどきどきする。
 苦痛に耐えるようにも見える琥珀さんの顔といい、制服でそんな事をされているという
事実といい、とてもとてもいけない事をしているような気分になる。
 その罪悪感にも似たなにかはいっそう俺を酔わせる。
 夢中で琥珀さんの胸を可愛がり蹂躙する。

 目をとろんとさせて琥珀さんが上半身を傾ける。
 唇が近づく。
 キスをねだっていた。

 さっきとは違う快楽を深めるための、キス。
 俺も顔を上げて唇を合わせた。
 直ぐに舌を差し入れ、同じく俺の口腔にやってきた琥珀さんと絡み合い、互いを舌先で
刺激しあう。
 琥珀さんの甘い唾液が舌を通して注ぎ込まれる。
 口の端からだらしなくこぼしながらもその美酒を啜りこむ。

 その間も手の動きは止めない。
 いやむしろ痛いくらい強く鷲づかみにしたり、乳首を摘んでも揉み込んだり、琥珀さん
を刺激し続ける。
 それが功を奏して、口と胸と秘裂からの快感で琥珀さんも限界を迎えつつあった。
 唇が離れ、首を後ろに仰け反らせる。

「ああ、志貴さん、わたし……」
「イクの? イクんだね」
「……」

 もはや返事も出来ずに、熱い喘ぎ声だけ。
 琥珀さんは夢中で腰の動きを速める。
 コントロールを失った体が勝手に動いているかのように、俺の肉棒に刺し貫かれている
体が上下に激しく動く。
 ゆさゆさと体が揺られる。

「志貴さん」

 情念がこもった声で名前を呼ばれる。

「琥珀」

 その声に応える。
 そして琥珀さんが体重をかけるのに合わせて、俺も腰を突き上げる。

「あっ、あああああーーーー」
「俺も、琥珀の中に」

 琥珀さんんの絶頂を告げる声が迸る。
 僅かに遅れて俺も激しい快感に体が貫かれる。
 どくどくとありったけの精液を、こんな目の眩むような快感を与えてくれた琥珀さんに
捧げた。
 


                ◇   ◇


 ちゅぷっと言う音と共に琥珀さんの顔が上げられ、上半身が起こされた。
 思わず溜息が洩れる。
 あまりの満足感の大きさに。

 琥珀さんがハンカチで口を拭っている。
 今の今まで琥珀さんを絶頂に誘ったモノを咥えていた口。
 すっかり縮こまった俺のを、琥珀さんは舌で清めて後始末をしてくれていたのだ。
 嫌がる事無く、精液と自分の愛液を舌で舐め取り、尿道もちゅっと吸い出してくれた。
 ご奉仕と称して快楽を引き出す目的でする口交とも、射精後に幾分うなだれた肉棒をす
ばやく回復させる為の行為とも違う、優しく穏やかな舌と唇の動き。
 すっかり残滓を取り除くと、濡れたタオルで丹念に拭いてくれる。
 最初からそれでよさそうなものだけど、口での後始末がどれほど俺の目を楽しませ、喜
ばせるか琥珀さんは熟知しているから。

「綺麗になりました」
「ありがとう、琥珀さん」
「いえいえ。……それに激しかったですねえ。志貴さんも、わたしも」
「そうだね、こんなのはちょっと珍しいよね」
「はい。志貴さんを喜ばせたくてこんな格好してるんですけど、こんなに普段と変わっち
ゃうなんて。ちょっと予想外でした。
 ふふふ、いっぱい頂いちゃった」

 琥珀さんがお腹に手をやって嬉しそうに笑っている。
 つつ、と手が動いて下の谷間へ滑り込む。
 外に出ているのは俺がティッシュで何度も拭きはしたのだけど、まだ中には注がれた精
液が残っている。
 それがこぼれ出たのか、濡れ光る琥珀さんの指に白い粘液がついている。

「制服にもこんなに……」
 
 いまだセーラー服の上だけという琥珀さんが、脱ぎ散らしたスカートを手にとる。
 さっきの交合でポタポタとこぼれた精液はシーツだけでなくここにも付着している。

「あーあ。……琥珀さん、秋葉には絶対にばれないようにしてよ」
「当然です」

 琥珀さんも真顔。
 それはそうだよな。
 琥珀さんも、血まみれな俺が倒れ伏し、声も出ない琥珀さんにゆっくりと秋葉が振り向
き笑みを浮かべる……、なんていう光景を頭に浮かべたのだろう。
 
「後で凄く罪悪感がありそう。今は充実感が大きすぎて入り込む余地がないけど」
「あれ、後悔なされているんですか」
「ちょっとだけ」
「そうですか、ではダメでしょうかね……」

 何か含みのある言い方。
 琥珀さんの目を見ると、はたして少し悪戯っぽく言葉を続ける。

「少し前の事ですけど、実は秋葉さまは転校を決意なさっていたんですよ」
「秋葉が転校?」
「志貴さんがこの家に戻られてから、夜に外出をなさったりしていたでしょう。
 秋葉さま、凄く心配なされて、少しでも志貴さんの近くで時間を共にされようと……」
「え、もしかして、うちの学校に転校?」
「はい。まあ、志貴さんと一緒に学校に行かれて学園生活を送られたり、そんな事もお望
みだったのだと思います。直後にいろいろあって取り止めになりましたけど」
「全然、知らなかった……」

 秋葉が同じ学校で下級生に?
 想像も出来ない。
 格式のあるお嬢様学校の秋葉が、平々凡々たる一般庶民の高校に通っている姿なんて。
 でも、それが?
 
「で、それがどうかしたの?」
「はい。いろいろ転校するにあたって必要品の手配は済んでましてね、……あるんですよ」
「あるって何が?」
「志貴さんの学校の制服。もっとも試しに一度袖を通されたきりですけど。何だかお気に
召さなかったみたいでいすね」
「うちの制服?」
 
 頭の中で思い描いてみる。
 今のセーラー服姿があまりに馴染みすぎていて、それ以外考えにくいけど。
 秋葉から浅上の制服を取って。
 代わりにうちの学校の制服……、と。
 うーん似合うような、似合わないような。
 違和感はあるかな。
 これなら琥珀さんのほうが……。
 ……。
 っと、そこで初めて琥珀さんの言葉の意味がわかった。

「ええと、今度はそっちを使って……、何て事を言っているのかな?」
「はい。志貴さんがお望みならと思いまして」

 素直な笑み、本当に何の邪気もない従順な様子に見える。
 でも俺の反応を期待して面白がっているのがわかる。
 悪戯っぽい目の輝きが微かに見て取れる。
 どうせ志貴さん断れないでしょう、とか思っていますね。
 見くびってはいけませんよ、琥珀さん。
 ここはあえて否と答える。

「琥珀さん、馬鹿を言っちゃいけないな」
「ええっ」

 ふっふっ、ほら、琥珀さん意外と言いたげな顔。
 時にはこう自分に嘘をついてでも矜持を保つのが、男と言うものなんです。

「俺が嫌と言う訳ないでしょう。喜んでお相手しますとも」

 おや?
 自分デ考エテイル以上ニ心ハ正直ダッタ。
 結局、琥珀さんに手玉に取られているなあ。溜息。

 でもうちの制服着てくれるんなら、そのうちに学校連れて行ったりできるかなあ、そし
てそこで……、とかさらなるよこしまな事を考えてたりもするし。
 そして、それも琥珀さんの思惑に入っているのかなあと思ったり。
 結局、琥珀さんに手玉に取られているのかな。



 でも、いいや。
 今はこの大切な一時に浸ろう。
 琥珀さんを抱き寄せる。
 口を閉ざして琥珀さんも身を摺り寄せてくる。
 ただ、腕の中の琥珀さんを意識する。

 こうして言葉もなく、二人でただ抱き合っている時間。
 蕩けて一つになって近しくお互いを感じている、何ものにも代えがたい時間。

 これがあれば、他の事などどうでもよくなる、そんな幸せなひととき。
 琥珀さんとの幸せなひととき。
 


 《FIN》







―――後書き

 と言う訳で『裏双子祭』没作品でした(笑)
 まだ予告のみで開催も決定じゃないのに、没って……。
 かなりカブるネタを別に使うつもりなので、自分の所用に書いてみたのですけど。琥珀
さんについては下手なものを書くと門前払いされそうですし、練習用という事で。

 意外と琥珀さんも書きやすいなあ。時間は掛かったけど。
 シリアスなお話だと分からないけど、この程度の馬鹿作品だと比較的楽。
 と言うか、シエル先輩だけ難しいのか?

 翡翠のお話も考えましたが、エプロンドレス→セーラー服よりは和服→セーラー服の方
が変化が大きいような気するし、翡翠には別なものを着ていただく予定なので。
 翡翠にアルクェイドの服とか、琥珀さんチャイナ服とか、「歌月十夜」での姿がそれは
もう素晴らしかったし、着せ替えモノはけっこういい鉱脈かもしれません。

 どうでもいいけど、タイトルの「古い皮袋に」って、相反する意味が二種類あるんです
よね。ここでは聖書での意味ではなくて、肯定的な意味での言葉として使っています。

  by しにを(2002/4/20)





二次創作へ戻る