lingerie.  約束の時間の少し前  既に待ち人はいた。 「珍しいわね、そっちから呼び出しなんて」   「その態度は何なの。  私だってあなたと必要以上ににこやかになんて出来ないけど、少なくとも頼まれたからこうしてやって来たのよ」 「ごめん」  ちょっと驚く。  あの式が私の言葉に即座に謝意を示すなんて。 「その……」 「手伝って欲しいんだ」 「何を?」 「……下着を買うのを」  時計の秒針が一周するくらいは、たっぷりと固まっていたと思う。 「何を言っているの」 「だから、下着を…」 「それはわかったわよ。  どう言うつもりよ、いったい。  何かと思えば、勝手に好きなのを買えばいいじゃない」 「橙子師はどうなの?」 「あいつに掛かったら何をされるかわからない。  鮮花なら、断わられる事はあっても、ふざけた真似はしないだろう?」 「まあ、それは式の言う通りね」 「それに、橙子が了解したとしてもだな」 「何?」 「あいつのセンスで選ぶんだぞ。そんなの嫌だ」 「橙子師の……」  頭の中でシミュレーションしてみる。  ああ。  あああ。  なるほど。 「理解したわ。  うん、いいわ。それくらいなら、協力してあげるわ」 「ありがとう」  くすぐったいが、嫌な気持ちではない。 「なんで、下着なんてつけようと思ったの?  つけるのが普通だとは思うけど」 「つまらないって言うんだ」 「つまらない?」 「すぐに終わっちゃうからって。上は晒しを巻いているからいいけど。  わざわざ脱がす為に穿かせるって何を考えているんだろう。幹也の奴」 「ほほぉぉぉおおおおおおお!!!!」