小山道夫の活動日記


「ベトナム中部での車椅子贈呈の大きな意義」 ピースボート情報誌「まるP」掲載(2003.2.25)



  ベトナム中部での車椅子贈呈の大きな意義

       ベトナムの「子どもの家」を支える会 代表 小山 道夫

私は10年前にベトナム中部の古都フエ市(人口20万人)に行き、ストリートチルドレンの支援活動を行っています。
ストリートチルドレン支援活動をする中で多くの障害児が生活苦と行政の無策のために放置されている実情を見て心痛む思いがしました。

7年前、フエ市内に障害児医療センターを設立し、障害児の支援活動を始めました。1998年から4年間「JICA」(国際協力事業団)の支援を受けて、ベトナム中部トゥアティエンフエ省(人口100万人・省都はフエ市)での障害児支援プロジェクトを実施しました。

2万6千軒の家庭を1軒1軒訪問し、約2000人の障害児を見つけ、900人以上の手術、700人のリハビリテーションを行いました。手術やリハビリテーションで多くの障害児が救済され、心臓病の手術をして学校へ行けるようになったり、リハビリテーションで歩けるようになったりしました。

しかし、手術やリハビリテーションも出来ない多くの障害児がいることも分りました。
以前ある家庭を訪問しました。水頭症の12才の男の子が暗い部屋の片隅で寝ていました。親に聞いてみると「小さい時はおぶって外に出ていたが、今では大ききなっておんぶすることも出来ず、この数年は1回も外に出ていない」とのことでした。男の子は、毎日ベッドで天井を見ているだけでした。そこで私は手術やリハビリテーションが出来なくても、せめて外に出て「太陽と青空、きれいな花を障害児に見せたい」と思う様になりました。そこで日本から粗大ごみとして捨てられる車椅子をベトナムの障害児に送る取り組みをはじめました。この6年間ほどで2000台以上の車椅子をベトナム中部の障害児に贈呈しています。

この2000台の車椅子は「ピースボート」で運ばれたものです。車椅子を贈呈した障害児の多くは、車椅子で学校へ行ったり外出することが出来るようになりました。残念ながら障害そのものは治せませんが、こうして人間として少しでも幸せに生きて欲しいと念願しています。ピースボートに感謝している次第です。



小山道夫の活動日記