そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.10 我が家のお雛様

 我が家には女の子がいない。しかし,3月3日のひな祭りのころには,一対のお雛様を飾る。

 女の子がいないから,別にお雛様など飾らなくてもいい,などと思っていたのだが,考えてみると「ちょっと大きなお雛様」が我が家にもいると思いついたのは,結婚して10年も経ったころだったのだろうか。何も男女区別とか差別だとか,そんなことは考えることはない。私は日本古来のいい行事ではないかと思っている。高い雛飾りを売ろうとする商業主義と、見栄を張ろうとする人達は別だろうが。

 だから,子どもを連れて鳥取の人形店に雛人形を買いに出かけた。

「お母さんに雛人形をプレゼントしよう。」 鳥取市の大きな人形店で一対の雛人形を買って帰った。

 それ以来である。我が家にお雛様が飾られるようになったのは。2月終わり頃には,私が雄雛,雌雛を押入れから出して,きちんと飾る。まあちょっとお菓子なども供える。それが我が家のひな祭りである。

 学校で,職員の間にひな祭りの話が出た。誰がお雛様を出して飾るか,ということだった。何の事はない,男が飾るか,女が飾るか,それは地域によって違うものなのか,などということだった。

「うちでは私が毎年飾っていますよ。」

「えっ」というのが職員の反応だったが,別に驚くことではない。私にとっては毎年のことだから。箱から出して,髪の乱れなどがないか確かめて,きれいにして飾ってやる。そんなことは当たり前のことではありませんか。

 もちろん季節が終わると箱に収めてしまうのも私。旧暦のひな祭りまで飾るから,2ヶ月のお雛様のお目見えである。今年も飾ってありますよ。別に自慢することでもありませんが。