そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.100 現代詩大会 

 
 まだ国民文化祭である。10月26日には北条町の文芸祭・現代詩大会に出かけた。このようなお祭りで,現代詩の動向のようなものが分かるはずはないと思ったが,それでも,昔の仲間には会えるだろうと思ったのだった。また,現代詩にどれだけの人が興味を持っているかにも関心があった。

 開会式の後,表彰式があった。町内外から現代詩を募集して審査をし,入賞・入選者を招待して表彰するというものであった。
 入賞者の中に西崎氏の名前があり,審査員の中に井上氏,小寺氏,池澤氏,福田氏の名前があった。いずれもその昔同人としていっしょに活動した人たちで,年賀状程度の付き合いは続いている。休憩時間にはあいさつを交わす。

 高校・一般の部には34都府県から477編,海外からも4編の応募があった。これを見る限り,現代詩の広がりがかなりのものになっていると理解してよいように思われる。しかし,小・中学生の部では総数1071編と多いものの,8府県からの応募しかなかった。おそらく応募学校数もそれに近い数字ではないかと思われる。
 趣味であろうとプロであろうと,大人の「書き手」にはそう大きな変動はないかもしれない。しかし,子どもの「詩作活動」は,100が0になることはよくあることなのだ。それは指導者の側に問題があることが多い。
 こう考えてくると,これらの数字は決して喜んでばいられないものだと思った。

 詩人で神戸松蔭女子学院大学教授の安水稔和氏の講演があった。演題は『歌の行方』。菅江真澄という江戸時代中期の国学者,紀行家のあとをたどりながら,現代詩のこれからを考えるという内容であった。要約すると次の通り。
〜〜 菅江真澄の旅日記『真澄遊覧紀』は,諸国を巡って珍しい風景や物や人を紹介するものではなく,あるものをあるがままに伝え,人々の生活・風習を生き生きと描写している。他を他として受けとめる,21世紀の新しい詩の形を考えるとき,大いに考えていかなければならないことではなかろうか。〜〜
 短く端折ったのと,私の勝手な理解や解釈が相当入っているので,間違っていることがあるかもしれない。その場合はご容赦を。

 現代詩の会にどれだけの人が集まるか,かなり心配したのだが,200名以上の人が集まっていた(カナダからの入選者も見えていたのには驚いた)。午後のアトラクションには地元の人たちがさらに集まるだろうと思いながら,会場を後にした。(2002.10.28)