そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.106 京の秋2 

 
 京都2日目は定期観光バスで洛南観光である。 
 朝少し時間があったので,駅近くにある東本願寺にお参りをする。境内に入ると本堂の大きさに圧倒されそうな感じになる。松本清張によれば,東大寺大仏殿が「世界一の大仏を容れる必要からつくられた世界一の木造建築」であるのに対して,この本堂は「日本一の宗教人口を容れるためにつくられた世界第二の木造建築」なのだそうだ。簡単にお参りをしてバス出発の場所に向かう。
 今日の主な観光場所は万福寺,平等院,三室戸寺,醍醐寺三宝院,勧修寺の五つである。三連休の翌日のためか乗客は11人。「ギリシア旅行と同じ人数だ。」「こんなことで採算が取れるだろうか。」などと余計な心配をしてしまう。

 黄檗山万福寺には30年ほど前に来たことがある。中に入ってお坊さんの説明を聞く。ここではお経は中国読みなのだそうだ。寒い。お坊さんは日の当たったところで説明し,われわれは日陰の寒いところで聞いている。布袋さんがまつられていて,長い回廊があり,板で作られた魚がぶら下がっている。前と変わらない。でも,まわりの様子はずいぶん変わった。新しい建物ができているし,駐車場が整備されている。

 宇治平等院も修学旅行の引率で2・3度来たことがある。鳳凰堂と十円玉の図柄とを比べてみたものだ。ここも平等院ミュージアム「鳳翔館」ができていて,国宝などをまとめて見ることができる。
 平等院を出ると昼が近い。ここでは自由散策になっているので,昼食をとることにする。出口の前の店で宇治茶うどん定食を食べる。昨日の昼は京都有名漬物展の漬物定食だったから,今回の旅は「京都和食の旅」と言っていいのかもしれない。

 三室戸寺は,アジサイやツツジが有名らしく,季節には特別に回る有料コースも作られている。5・6月には最高の景色が見えるのだろう。
 醍醐寺三宝院,ここの庭は素晴らしい。1590年に豊臣秀吉が指揮監督して作ったものだとパンフレットに書いてある。ここはいっさい写真撮影禁止。外に出て少し撮ったが,中でもちょっとくらい撮らせてほしかった。ちょうど「お講」があるから聞いてください,と言うので本堂に上がって聞く。内容は特筆するほどのものではないが,お坊さんの説教を聞くというお寺ならではの雰囲気を体験するよい機会だった。

 勧修寺の庭(写真)も,大きくはないがよかった。ほかの観光地より紅葉が進んでいて,秋の京都のよさを色で感じ取ることができた。(2002.11.12)