そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.108 11月の詩 

 
    冬支度
            清水行人

今年は雪が早いねえ
鷲峰に三度来たら里にも雪が降るというが
一度で来てしまった
冬支度をしなければ

蘇鉄に何か巻いてやらなきゃ
柚子にもちょいと囲いをしてやらなきゃね
チューリップはこつこつと
五十ばかりの穴を掘って植えてやろう
アネモネは水分を少しずつとらせてから植えるんだって
エンドウの種も播かなきゃ
玉葱の苗も植えなきゃ

やっぱり寒いねえ
銀杏は葉っぱをばらばらと落として
近所中にあいさつをしているし
楓はちりちりと枯れてしまった
サンシュユはそれでも赤い実をつけて元気だけど
メダカだってねえ
寒さを感じてるだろうよ
あんな体じゃあ骨身にしみると思うよ
熊なんかもう眠りについたろう
狸は狸寝入りしているかもしれんねえ

ところで我々はどんな支度をすればいいんだよ
やっぱり結構寒いけどさ
大陸からの寒波がやって来て
明日から猛烈に寒いと言ってるのに
なんの支度することもありゃあしない
眠るわけにもいかないしさ
大きなくしゃみを一つして
肩をすぼめて歩いているしかないのかよ  (2002.11.16)