そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.119 魔笛(オペラ鑑賞) 

 
 本格的なヨーロッパ・オペラを初めて見る機会を得た。モーツァルトの『魔笛』公演会が,倉吉市の「未来中心」大ホールで行われたので,日曜日の午後出かけて鑑賞することにしたのだ。

 「倉吉未来中心」は,2年ほど前にできた県中部の文化総合施設である。県中部にある文化施設なので,県内から集まりやすいことから,最近の会合はここで行われることも多くなったようだ。駐車場もかなりの面積とってあるが,案内が十分でなく,ぐるぐる回ってやっと空きを見つけた。

 ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場オペラは,2度目の来日だそうだ。総勢150名という。「一体どこに泊まったのでしょう」などと,妻が心配している。
 鳥取県では滅多にできないオペラ公演ということで,会場はほぼ満席の状態であった。「まず成功の部類だろうが,金もかかるだろうなあ」と私はそちらの方を心配していた。

 私たちは,なぜかS席の最前列,つまり観客席全体のいちばん前。席の前には,床を外した地下部分が作られていて,50〜60名の楽団(ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場オペラ管弦楽団)がいる。しかし,私たちとの間は高さ1メートルくらいのパネルで仕切られていて,最前列の私たちは演奏の様子を見ることができなかった(見たかったのに)。最前列というのも考えものだ。

 ポーランドのオペラということで,言葉が通じなくて意味がわからないのではないかと最初心配していた。しかし,その点は「日本語字幕」で解消した。歌詞やせりふが日本語で舞台横に字幕で出てくるのだ。大体のストーリーがこれで分かった。
 ただし,訳が正確なのかそうでないのか,私には難解なところがかなりあった。ドイツ語の訳が直訳なのかなと感じられることも多くあり,見ながら読みながら,分かりにくいところがある。そのためか,テーマについてはどうも私自身なんとも理解が十分できなかったと思う。

 それでも,だんだん慣れてきて,観客の中からも面白おかしい場面では笑いも出るようになってきた。拍手のタイミングもうまく取れるようになったようだ。観客の多く(私も)は初めての鑑賞だろうが,オペラを少しずつ理解し始めたようだった。
 休憩20分を含む3時間。ステージとしては非常に長い。しかし,ストーリーと音楽,素晴らしい声楽を十分に味わえた時間であった。このような本格的なオペラに出会えたことに満足して帰路についた。(2002.12.10)