そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.136  気高はなくなるの 

 
 気高郡3町とも鳥取市との合併協議会に加わることになった。これで合併が決まったわけではない,スタートラインについたところだという。もちろんこれから多くの事柄について検討していくのであり,「合併しない」という道がないわけではない。しかし,合併を進めるための協議であるから,問題があるとしても合併する方向で検討されよう。

 県西部についてはっきりしない面があるようだが,東・中部では大体の方向が定まった。
 それによると,鳥取市・国府町・福部村・河原町・用瀬町・佐治村・気高町・鹿野町・青谷町の1市6町2村が一つに。郡家町・八東町・船岡町・若桜町の4町が一つに。岩美町と智頭町がそれぞれ単独で。これが東部の合併の様子である。
 中部では,東郷町・羽合町・泊村の2町1村が一つに。倉吉市・三朝町・関金町・北条町・大栄町の1市4町が一つに。東伯町・赤碕町が一つになる。
 
 町村合併でも学校統合でもよく問題になるのが名前である。
 東伯郡では,早くからこの問題に取り組んでいた泊・東郷・羽合で,最終的には住民投票により「湯梨浜(ゆりはま)町」という新しい名前に決定した。しかし,特に「羽合」については何らかの形で残してほしいとの声があると聞く。

 東部の3郡について考えてみよう。鳥取市との合併となると,吸収合併であり「鳥取市」がそのまま引き継がれるだろう。岩美郡,八頭郡には町が残るので「岩美」「八頭」の名前が残ることになるだろう。中部では東伯郡も飛び地になるが残すことはできる。
 しかし,気高郡はなくなる。

 明治11年7月,郡区町村編成法の制定に伴って,千代川以西の気多郡,高草郡を一つの行政区とし,それぞれの頭の文字を取って「気高郡」と称することになったものである。学校の古い日誌などを紐解いて見ても,この大きな郡で運動会を行った,というような記録がある。
 その後,昭和28年の市町村合併により旧高草郡は鳥取市に編入になり,現在の気高,鹿野,青谷の3町だけになったが,「気高郡」の名前は引き継がれて現在に至る。
 そして今回の大合併。3町ともに鳥取市に編入ということになれば,「気高郡」は名実ともに消滅することになる。

「郡」が現在行政面で機能していることはあまりなく,それが消えてもなんの不都合もなかろう。しかし,言葉は文化であり,地名は土地や人々の歴史,心のふるさとである。せめて「気高町」の名前で歴史を残していきたいものである。(2003.1.20)