そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.139  大寒 

 
  四囲の音聴き澄ますとき冬深く  加藤楸邨

 1月20日は大寒だった。2月4日の立春の頃までが,1年で最も気温が低く寒い時期である。以前にもふれたことのある『山陰の気象暦と潮汐』で気温の平年値(1971〜2000)を見る。
 鳥取の最低気温は2月1,2日が−0.1℃でもっとも低く,その前後4日ずつが0.0℃となっている。確かに暦通りだ。しかし,もっとも寒かった日となると若干ずれてくる。1943年からの統計資料によると,1981年2月26日の−7.4℃,28日の−7.0℃,1953年2月9日の−7.0℃が3位までの記録となっている。
 雪について見よう。最深積雪の統計では,1947年2月22日129p,1977年2月18日の105p,1983年12月26日の95pがベストスリー,いや,「ベスト」というのは変か。(いずれも鳥取の数値)
 
 古文書にはもっとすごいのがあるらしい。1711(正徳元)年2月28日鳥取雪1丈余(3m),1709(宝永5)年1月28日鳥取雪8〜9尺(2.4〜2.7m)など。この数字が本当なら大変なことで,今なら大きな被害が出そうだ。
 しかし,どこでどんな測り方をしたものか,真偽の程も確かめようがない。

 戦後,私が小学生の頃は,子どもの目で見るからそうだったのかもしれないが,今よりもっと雪が多かったように思う。大雪のために集団下校をしたこともあった。それが1950年前後だとすると,そんなに大雪とか低温など大変だったという記録は先ほどの1947年以外残っていない。つまり,普通のことだったのか。
 最近は暖冬続きで,地球温暖化だとかなんだとかいろいろ言って2・30年たつ。気象は生き物と同じくらい説明が難しいものらしい。

 今年の冬場3か月の長期予報が1月には変更になったこと一つを取っても,現在の天気予報は確実でなく間違いも多い。多分これは,経験不足の予報官が多いことに原因があるのではないか,と私は思っている。
 30年,いや50年の地方の天気を経験したものが感じること,知っていることがある。それを収集し整理して情報に加えたら,少なくとも地方予報は現在の予報より数倍正確なものが出せるはずだ。

 そんな中,我が家では福寿草が咲いた。数年前から鉢植えして庭に置き,花芽を見て中に入れる。毎年1・2輪の花を咲かせる。
 福寿草という名前から正月の花と思われがちだが,路地に置いたままだと,旧正月に合わせて花を見る。
 外では深鉢に入れているが,蕾が見えたところでちょっときれいな浅鉢に植え替えて,苔も付けて屋内に入れたら2週間ばかりで咲いた(写真)。
 今年の旧正月は2月1日。やっぱりそれにあわせて花は開く。自然のことは自然に任せよう。   (2003.0.25)