そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.140  火の用心(勝見シリーズ2) 

 
  1月26日には,文化庁,消防庁主唱による「文化財防火デー」の行事が全国各地で行われた。第49回というので,どんないわく因縁があるのかと思ったら,昭和24年の法隆寺火災を契機に,貴重な国内の文化財を守ろうとして始まった運動だという。
 今回,勝見薬師堂が消火訓練の対象となった。

 勝見薬師堂は,「一の湯」の山の中腹にあり,本尊は東方瑠璃光薬師如来。池田家の紋所が瓦などに使用されているが,歴代藩主の崇敬厚く勝見温泉に湯治の際には参詣したという。薬師堂の中にある京都の仏師の手による薬師如来像と,「宝永二年」と記された仏龕(ぶつがん=仏像を入れる厨子)が,平成10年3月気高町文化財に指定された。(宝永2年は西暦1705年)

 勝見薬師広場には気高広域消防署,町消防団,勝見自警団が集まって消火訓練を行った。見物のわれわれ4・50人の前で消防車三台を使って放水を行い,文化財を火災その他の災害から守ることを,実地訓練を通して確かめ合った。

 今回の訓練は,それらの文化財を火災から守るためのものであるが,地域住民の防火意識の高揚を図るものでもあろう。勝見は,私が知るだけでも何度かの火災を経験している。「とうがらし味噌」にまつわる数百年前にあったといわれる「勝見大火」については,来月このページに書く予定である。また,例祭「勝見薬師祭り」は4月19日(土)20日(日)に行われるので,4月にはもう一度「薬師さん」に登場願うつもりだ。

 消防車の放水訓練が終わって,消火器を使っての初期消火を習った。学校でも時々やっていたので,特に目新しいことはなかったが,訓練用の消火器があるということを初めて知った。消火剤ではなく,水が出てくるものだった。
学校にも一つあると訓練にいいかもしれない。

 その後二つのグループに分かれて,消火栓を使って放水する訓練もした。これも何度かしたことがあるし,溝さらえの町内作業の折には,最後に消火栓を使って道路を洗っているので,大体知っていることだった。
 しかし,知っていることと使えることは大違いだ。実際,20年位前に近くでぼやがあったとき,ひどくあわてていたのを思い出す。こういう訓練は何度もして,体で覚えることが一番だろう。
 そして,何よりも火事を出さないことが大切なのは言うまでもないことだ。(2003.1.28)