そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.147  2月の読書 

  
 『五輪書(ごりんのしょ)』(ニュートンプレス発行『原本現代訳116』 宮本武蔵原著 大河内昭爾訳)
 NHKの大河ドラマで現在放映中の『宮本武蔵』の著した兵法家伝書である。地・水・火・風・空の五巻になっている。「地の巻」には,次のよう心得が述べられている。

 第一に,邪心を持たぬこと。
 第二に,二天一流の道をきびしく修行すること。
 第三に,広く諸芸にふれること。
 第四に,さまざまな職能の道を知ること。
 第五に,ものごとの利害損得をわきまえること。
 第六に,あらゆることについて,ものごとの真実を見分ける力を養うこと。
 第七に,目に見えぬ本質をさとること。
 第八に,わずかなことにも,注意をおこたらぬこと。
 第九に,役にたたぬことをしないこと。

「二天一流」は剣の道で言えば彼の生み出した「二刀流」のこと。他のことは,読んでみればどんな道にも通用する心得である。それだけの大物ということか。大河ドラマはあまり見ていないが,武蔵は興味ある人物である。

 正和会(No.146勝見正和会)に中林保氏のミニ講演を入れることになり,私が講師紹介をすることになった。氏の著『因幡・伯耆の町と街道』(富士書店1997年刊)をあわてて読む。と言っても560ページにも及ぶものだから,熟読はできない。勝見に関係のありそうなところを探しながら読んだ。古代,中世,近世の3章で構成されていて県内すべての地理・歴史に関する検証・考察がなされている。
「勝見」は古代からは出てくる。そのあたりに少し触れて講師の紹介をすることにしよう。

『金子みすゞ 花と海と空の詩』(勉誠出版 詩と詩論研究会編)
 金子みすゞについては,これまでにも書いたことがある(No.57金子みすゞ)。この本は,彼女の詩集ではない。詩と詩論研究会のメンバー20名が,みすゞの文学の魅力を解明すべくそれぞれに論じているものである。
 みすゞは,1903年4月11日山口県長門市仙崎に生まれた。つまり今年が生誕 百年に当たる。それにあわせての研究であり,発行であろう。

 あとは,西村京太郎のトラベルミステリーでも読むか。(2003.2.14)