そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.158  自然観察会4 

 
 3月寒波が日本を包んで,寒い日だった。3月自然観察会は岩美郡の駟馳山付近での植物観察である。集合場所のかまぼこ屋さんの駐車場には5分前に着いたが,寒さのせいかちょっと集まりが悪い。
 「徒歩で駟馳山峠を越えて観察する予定にしていましたが,この寒さですので車で移動します。」と清末先生がコースについて相談される。
 その後車に分乗して岩美町の小畑一号墳付近まで行く。

 最初に横穴式石室の見学。この古墳は古墳時代後期のもの。玄室の高さが3m50cmもあり,中には33体の石造の観音さんが祀られていたことから,「穴観音さん」と呼ばれていたという。その観音さんは,今は別に安置所を設けて祀ってあった。

 「これはヒメオドリコソウ(姫踊子草)です。花をルーペでよく見てください。」
 淡紅色のこの花は,横から見るとお姫様が手を上げて踊っている様子そのままだ。そういえば先日散歩のときに見つけた群生はこれだった。
「コハコベの花びらは何枚ありますか。」小さな白い花弁を見つめて数える。
「重なっているからたくさんある。」「10枚かもしれない。」
「10枚あるように見えますが,その半分の5枚です。」

 道路横の斜面にロゼットを見つけた。
「これはコオゾリナのロゼットです。葉をよく観察してください。毛がたくさん生えているでしょう。顔の毛がこんなになったら剃りなさい,ということからついた名前です。コオ(顔)ソリ(剃り)ナ(菜)です。」なるほど。

 駟馳山峠の石畳道を登る。その昔,この峠は急な坂道でしかも滑りやすく,村人や通行人は難儀していたという。ここを通りその難儀を見た多十郎という六部(遍路さん)が,近くの庄屋や藩の協力を得て石畳道を作った。
 石畳道を登りながら,もう花の時期を迎えたコタチツボスミレやテングスミレ,ナワシログミなどを観察,採集した。
 寒いので,まとめは福部まで帰って喫茶店で行う。スミレは県内の里山には25種類程度あることやその見分け方など,今日の復習もまじえて学習し観察会は終わった。

 そうだ。かまぼこ屋さんで竹輪を買ってくるよう,妻に頼まれているのを思い出した。三本600円なり。おまけの竹輪をほおばりながら帰路につく。(2003.3.9)