そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.162  仕事終了 

 
 11月からかかっていた教育センターの図書室の仕事も,いつまでもやってはいられない。年度末でもある。ある程度の見通しもついたから,完全には終わらないがとりあえず終了ということにした。

 教科書センターの整理からかかって,多少は「センター」らしくした。ここに図書室の教科書のほとんどを集結したことがよかった。図書室にスペースができたからだ。(概算,図書二千冊分)
 教科書に関して言えば,県内おそらくこれほどの教科書が存在するところはなかろう。小・中・高のほとんどの教科書がある。

「資料が増えて困る」「置き場所がない」「とにかく廃棄しなければ」こんな声ばかりだったが,教科書が占めていた図書室のスペースを,他の領域に配ることができるようになった。捨てればよい,ということではないと思う。資料の価値判断は難しい。どう整理し,保存し,廃棄するかだ。

 ここでいろいろな資料に出会った。昭和20年代後半からの多くの教科書,教育関係図書,教育雑誌,各県・大学の資料である。よくもまあこんなに出したものだ。しかも,それは増えつつある。大型化の傾向もあって,既設の書架では収納しにくくなってきている。
 学校現場にいるとき視察などがあれば,何を準備するかが問題になった。「印刷物を準備する必要はありません」と言われていたものだが,この状況を見ると競争で出している感じだ。

 そんな中で,いい資料に出会うこともできた。
『鳥取県方言分布の実態』(昭和32年2月 石黒武顕著) についてはこのページNo.149「方言」で取り上げた。『鳥取県地名姓氏語源辞典』(増井金典編著 1995年刊)についても,No.159「タイトル一つに苦労せよ」で取り上げている。
 資料一つ一つを詳しく見ている暇はなく,書架を機械的に移動することが多かったが,もっともっといい資料が埋もれているような気がする。

 意見書を提出し,「まだ十分の整理はできていませんが,私の仕事は終わりにさせていただきます。」と所長,課長にお願いした。
 埃で手を黒くして,それでも日陰の本たちを少しでも明るいところに出してやれたこと,膨大な資料の整理の方向を見出せたことに自己満足しながら,約5ヶ月,50日ばかりの仕事に一応の終止符を打つ。(2003.3.18)