そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.170  窯元を訪ねて 

 
  郡家町の因久山焼の窯開きが4月の初めだと聞いていたので,行ってみる。2月にも記念品を買う予定があったので来たから,二度目の訪問である。道路のすぐそばに登り窯がある。
 窯の横に,焼くときの入れ物がたくさん積み上げてある。新しい作品はもう全部出してあるようだった。

 作品が展示してある建物に入る。先回は九代目窯元が説明してくれたが,今回は留守らしく奥さんがいろいろ話してくれた。
 抹茶茶碗を見た。確かにいいものだが高い。戸棚に飾ってある八代目のものは数十万円である。
「手ごろなのはありませんか。」と聞いてみる。
 安いところで数千円のものもあるが,あまりいいものはなさそうだ。

「いいのになるかもしれないと,銘も彫っているのですが,十分に焼きあがらなかったり,歪みができてしまったり,ひびがはいったりで,こればかりは思ったようにならないものです。」
「それでも今回まあまあというのがこんなところでしょうか。」
 奥さんはそう言いながら,別の部屋からいくつかの茶碗を出してきた。数万円というところか,光沢がありよさそうに見える。
 しかし私達にはそこまでの出費の予定はないので,家で使う皿とコーヒー茶碗を買って帰路につく。外は雨になっていた。

 帰り道,布勢の広場で焼き物市をしているのを見かけたので立ち寄る。全国あちこちの焼き物をテントの下に並べている。雨のため客は少ない。
「この雨だから大サービスです。」
と呼びこんでいる。一応全部覗いて回る。安いものは百円単位から千円程度,間があまりなくて万の単位に跳ね上がっている。やっぱり焼き物ってこんなものらしい。

 ここでも妻は「祭り用にするか」と皿を2枚買った。
 テントの外は風も寒い。鳥取でも開花が宣言されたが,この冷たい雨で桜も足踏みしているかもしれない。
 風邪気味,立て続けにくしゃみ。(2003.4.3)