そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.172  アゲハとカエル 

 
 アゲハチョウ
 物置でごそごそしていると,何かカサカサと動くものがある。なんだろうか。ペットボトルを切って二つあわせたものの中にその動くものはあった。
 去年の秋,サンショウについていたアゲハの幼虫をこの中で飼っていたら蛹になった。さあ蝶になるぞと待ったのだがいくらたっても出てこなかった。駄目だったのかな,と思ってそのままにして,冬になってしまった。その後私はそのことをすっかり忘れていた。

 蛹は一冬物置で過ごしたのだ。そして4月になって暖かくなって,見事羽化した。しかし,ペットボトルの中ではどうすることもできない。パタパタと羽を動かしているところを私に発見されたというわけだ。
 早速出してやらなければならない。つないだ部分を開けると,アゲハはよたよたと出てきた。

 はて飛べるだろうか,と見ていると,ふらふらと飛びあがった。1メートルほど飛んで,近くに咲いているプリムラの花にしがみついた(写真)。いや蜜を吸おうとしているようだ。空腹なのか。ペットボトルで蝶になってかなりの時間がたっているのかもしれない。
 2・3度それを繰返して,今度はアネモネの花にとまる。それから高く舞いあがっていった。暗い物置の中で何ヶ月か,たった一匹で何を考えていたのだろうか。
 今年のアゲハの初見は物置の中でだった。

 アマガエル
 我が家の一坪ばかりのサンルームにアマガエルを見つけたのは,冬のさなかだった。緑の葉の上にちょこんと乗っかって動かない。体長3センチメートルくらい。植木鉢を入れたとき一緒についてきたものだろう。
 昨日見つけたと思うと今日はどこに行ったか見えない。次の日にはまた別の場所にいる,という具合だ。

「一体何を餌にしているんだろう。」
「メダカでも食べちゃったんじゃない。」
 メダカを冬越しのホテイアオイなどといっしょにして飼ってはいるが,魚を追っかけて泳いでいる蛙なんているのだろうか。
 暖かくなったのでホテイアオイをそろそろ外に出すことにして,メダカも外に。確かに1匹足りない。まさか。カエルはどこに行ったのか見当たらない。(2003.4.9)