そらのやま「通信」     Yukito Shimizu


No.173  自然観察会(4月) 

 
 雨が上がりそうでなんとなくしとしと。4月の自然観察会は「出合いの森」で行われた。
 出合いの森は鳥取市の東に位置する布勢運動公園の一部,地域の山や川を取り込んで作られた自然公園である。
「雨が降りそうだしなあ。」と思っていると,
「初めに別荘に行きましょう。」
と,清末先生。早速車で移動する。
 
 公園の片隅にその「別荘」はあった。
「この公園を作るとき,工事関係者の宿舎として作られたもので,完成後は公園管理者の宿舎になる予定だったのですが,公園管理はこの近くの人が当たっているため,現在この建物は使われていません。」
 だから事務所に頼めば使わせてもらえるという。
 今日の観察はこの付近の植物観察をし,野草を料理して会食すること。そのため調理のできる設備のあるこの場所を選んだようだ。

「ああ,もうワラビがあんなに大きくなっている。」 
 もう葉を広げているワラビが小高いところに見える。枯草を掻き分けて上がってみると,まだ数少ないが柔らかそうなワラビが顔を出していた。採ってナイロン袋に収める。この分だと私が毎年採りに行っているところも出ているかもしれない。明日にも採りに行ってみよう。

 タラの木もあるのだが,上の芽が僅かに残されているだけで,きれいに取られてしまっている。これ以上取るのは気の毒だ。
 フキも少し収穫。ただし,ワラビやフキは灰汁を抜かないと食べられない(ワラビはてんぷらにすればいいそうだ)。調理のときにまとめておいてあったが,誰かが持って帰ったのだろう,会の後にはなかった。

 ヨモギ,カラスノエンドウ,スズメノエンドウ,リョウブの芽,タラの芽,タンポポの花などはてんぷらにする。スイバのマヨネーズ和えはすっぱいような不思議な味がする。ツクシの酢味噌和えは歯ざわりがよくおいしい。
 調理の間,ツクシの胞子やフキノトウの葉の気孔を顕微鏡で観察した。ツクシの胞子には毛(弾糸)があり,盛んに動いている。乾湿に応じて運動し,半ば自力で,半ば風によって飛散するのだそうだ。スギナの繁殖力の強さがわかる。(2003.4.12)